初夏の光
ひとつ前の駅で降ります
虫かごもないのに


+


栞はかつて
誰かの魚でした
本の中で溺れるまでは


+


夕日のあたたかいところに
古いネ ....
目を閉じると 暗闇の中に 無数の蟻が蠢いていた 右から左に 左から右に 幾億の蟻が 幾筋もの列を成し 暗闇の中に 餌を求め餌を運ぶ 幾億の蟻は 俺の暗闇よりも一段と黒く だから 暗闇の中に 俺は幾億の .... あまりに鮮やかな景色なので
手ですくってみる
途端に枯れしぼんでいく
ちいさな玉になり
突然はじける
はじけた景色はちりぢりに
もとの場所に還っていく
わたしは苦笑し
せめてもと
景 ....
肺の病で
彼はもう煙草が吸えない

禁断症状は
仕事とゲームで紛らわす
けれど

私は煙草を吸う
くわえ煙草で空を睨んで
足元を見下ろして
死んだ灰を捨てる

私の肺は
彼と ....
{引用=ただいま}
毎年の
「ただいま」
が年々ぎこちなくなってゆくのを
自分で感じているのに


{引用=おかえりなさい}
あなたの
「おかえりなさい」
は年々なじんで
小川の ....
りんごを
はだかにすると
あまずっぱい
においが
する


あなたを
はだかにすると
あまずっぱい
きもちに
なる


あなたを
むさぼるように
りんごを
ひとかけら ....
ねえ どうして



君はいないの
耳掻きをしたら
大きな塊が出てきて
それはティッシュペーパーに包んで捨てたけど
なんだか聞こえが良すぎて
虫の鼓動まで聞こえた時は
部屋に入って来て邪魔な虫も
どうしても殺せなくて
埃の ....
 
ブルースがうたわれた街角で
夜の真ん中あたりで
さみしい人がさみしいと言う
足音は皆、孤独で
渇いた風に乗る
 
渋谷の路上で猫が轢かれて
同じような誰かが
弔いとは何か、問う
 ....
あなたの揺れる水面が
まるで涙のように見えたので
やさしくなだめたくなりました

あなたは水際にたたずむ
一羽の渡り鳥のようでしたから
どこかへ行ってしまいそうで不安でした

あなたが ....
ゆらゆらと、
たゆたう海の真ん中に澱む
水の温きに抱かれて
小さな魚達は
大きな大きな夢を育む
故郷遠く旅をして
辿り着いた大洋の真ん中で
ぷかりぷかりと浮き沈み
ゆらゆらゆらと漂いながら
日がな ....
傷つけられた一言を
あとから何度も
思い出す

{ルビ酌=く}むべき意味が
あったのかもしれない、と
一人でそっと
思い出す

けれどもそれは
あらたに痛みを増やすだけ
やっ ....
夕暮れ、薔薇は香っていた
まだ残る夕光の中で
私は花びらをそっとむしりとる
指先がいとしくて
何かを待ちわびて


ふっと夏の透き通る波が
心に押し寄せて来て足先を濡らし
すべてを呑 ....
世界が

おから建築でないことを

のぞむ

未来を保証しないものを

にくむ


テロリストは知っている

世界が

テロでは壊れないことを


世界が

お ....
リスカする少女は
美しい海鼠を生むだろうか

海は流産ばかりしていて
今夜も凪いでいる
荒れる波の記憶はもはや遠い彼方
リスカする少女の腕は今夜も乾く

悲しい歌を名づけるもの悲しい行 ....
一面の草むらから、湧きあがる青い空。
向き合うわたしの窓は、青い空をもたない。
手にした一枚の写真を見て、
水を得た魚のように泳いだ海は、
黄ばんだ家族の笑 ....
大連は観光地ではないから

すべての施設は中国人のものだ

悪い仕事をするのに

これほど俺を守ってくれる国もない


星海広場をぶらついた

午後2時に待ち合わせている

たくさんひとがいるのに閑散 ....
自ら築いた家庭を守る
そんな当たり前の事ができなかったのだと
あのひとは言った

幸せそうな笑顔の傍らをすり抜けるとき
言い知れぬ悪寒を覚えるのだと
あのひとは呻いた

家族のために自 ....
青空に白雲の流れ
こうして天空は流動し呼吸をする

空とこの大地が接合する場所
なだらかな斜面に牧草が茂り

遠い過去から 吹き上がる風
そして長い髪が絡み合って
巨大な帆を作り上げ
 ....
               080618


改革の時代の幕開けですと
勧められて購入した専門誌

第2章
第3章

マスタープランを読めと
空白のページが脅迫するから
第 ....
綿ぼこりが部屋の片隅で
クルクルと回っている
小さなつむじ風が
部屋の中で起こっている

ふたつ、みっつ、
意志を持って踊るように
寄り添ってクルクルと回る


部屋に吹き込む風が ....
抱きしめてやると

思ったよりも簡単に

くずれるときの声を出した

髪の毛から

あまい胡瓜の香りがする

たがいの爪で

たがいの肉にわだちを描いた


俺は十八だっ ....
 プランターに大根が育つ
 セッセと蟻のように虫を爪弾きした成果だ
 その蟻も我が物顔でプランターに通う
 家に入れば味噌汁が待っている
 買ってきた大根の味噌汁
 母が汗水たらして買っ ....
 
 
 
 
玄関を覗くと
見知らぬひとが
まるで、見知らぬひとのように
寝そべっていて
会釈で挨拶を済まし
扉を開くと
そこには黒い影だけが残り
あとは色だけだった
 
 ....
図書館で資格の本の頁を閉じ 
色彩を失った日々を嘆いた 
長い手紙を書き終え 
疲れた腕をしろい机にのせる 

(机の下に潜むかみさま)が 
ぼくの重さを支えていた 

ふいに後ろを向 ....
混沌を抽出したような
音楽に溺れていると

時おり

冴えた月光だけが支配する
澄みわたった湖畔の風景だけが
浮かび上がるんだ

ノイズとスクラッチと
サンプリングと器楽音
音の ....
ただしいことが淫らにあふれる
バケモノの住むきょういくの場
がっこうはしゃかいの縮図
誰もが自分のことしか考えない
我が身を守る我が儘のせいで
ダレモガ悪事に加担する
セイロンが押し寄せる ....
糸を手繰り寄せたら誰もいなかった

箱庭の底で空洞の心を
横たえて寝台で眠る
かつては赤い花が咲いていた
幻想に魅せられ
悲しくも切なく踊れば
時は流れ枯れ

散らばった破片の
そ ....
ゆら、と、
闇の中で黒が動く気配、
みどりの光点がふたつ、
ケヤキの根元にうずくまる。

杖はニワトコの枝、
髪に飾るのはキツネノテブクロ、
はだかの胸に塗りたくる胎児の脂肪、
そんな ....
 
母は息をとめた。
言葉をひとしきり噛み締めると、
眠るように最後の息を吐いて
彗星の隣を駆け抜けた。
 
父はまなこの裏側で
時折、不精髭を擦りながら
シャンパーニュの一億に混じり ....
佐々木妖精さんのおすすめリスト(1374)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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蟻塚- rabbitfighte ...自由詩10*08-6-21
レコーディング- ここ自由詩308-6-21
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ムラサキサギゴケ- AB(な ...自由詩23*08-6-20
りんご- 相良ゆう自由詩508-6-20
そんな思い出- 瑠音携帯写真+ ...308-6-20
耳掻き- 小原あき自由詩10+*08-6-20
街角の貴方- 黒子 恭自由詩108-6-20
「あなたの水面が揺れている」- ベンジャ ...自由詩10*08-6-20
故郷。- 遊佐自由詩3*08-6-19
リピート機能- 千波 一 ...自由詩6*08-6-19
夏至- 石瀬琳々自由詩23*08-6-19
レッド- 吉岡ペペ ...自由詩208-6-19
海鼠の味- 佐々宝砂自由詩7*08-6-19
青いひかり_______- 前田ふむ ...自由詩28*08-6-19
星海広場- 吉岡ペペ ...携帯写真+ ...608-6-18
守れなかったひと- 恋月 ぴ ...自由詩22*08-6-18
飛行の夢- アハウ自由詩508-6-18
水中時計- あおば自由詩6*08-6-18
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いまも何処かで- 吉岡ペペ ...自由詩1708-6-16
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たえがたくうたわれたうた- 木屋 亞 ...自由詩2*08-6-15
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あと何本- 佐々宝砂自由詩308-6-14
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