箱庭に糸
AKiHiCo

糸を手繰り寄せたら誰もいなかった

箱庭の底で空洞の心を
横たえて寝台で眠る
かつては赤い花が咲いていた
幻想に魅せられ
悲しくも切なく踊れば
時は流れ枯れ

散らばった破片の
その一つ一つに
昔の思い出を纏わせて
空を見上げては涙するしか
私の愛した人は
どうして
変わってしまったのだろう

運命という甘い言葉
永遠という苦い果実
もう此処に花は咲く事はない
巻き上げる風が過去を浚ってゆく
彼こそはと誓ったのに

箱庭の底で愛を探すけれど
何処にもなくて
昔はあんなに沢山溢れて
いたと言うのに

時が人間の心を変えるのか
人間の心が幻影を見せるのか
過去の光はあんなにも眩しいのに

垂らされた糸
辿れば何処へ行き着くのか
興味だけで腕を伸ばしてはいけない


自由詩 箱庭に糸 Copyright AKiHiCo 2008-06-14 20:23:55
notebook Home 戻る