角砂糖をひとつ
昨日の夕焼けに落とした
レモンだけじゃ
辛すぎるかもしれないし
ただなんとなく

作り笑いをひとつ
一昨日の捨て台詞に添えた
当って砕けただけじゃ
苦すぎるかもし ....
悲しくないように、パンを食べて

悲しくないように、体をよく洗い

悲しくないように、朝になると起き上がる


焦がしてしまった情熱の抜け殻

いつかを通して言葉が落っこちる

 ....
めぐすりの一滴
まるい瞳を覆うように
濡らして

顔を上げ
二本の指で広げ
くりかえす
くりかえす音
地下鉄は走りつづける
窓から漏れる明かりだけに
照らされる壁が
ながれる傍線 ....
このところちょっと体調悪くて
なんにしても
弱気がちな自分に気付いてみたりする

元気なときなら
生になんて執着しなくて
潔い
そんなことばの良く似合う心模様だったはずなのに

具合 ....
びっこの野良犬の顔が父親の顔で
「まさこ元気か」と語りかける
精神科の待合室で半狂乱し押さえつける人を噛みちぎる老婆
これが妹

段ボールの下に新聞紙を敷き詰めてネズミたちが家族のよ ....
春の海をあげる
君にあげる
君がもう泣かなくていいように
手のひらで木もれ陽を集めたら
桜の花びらを浮かべよう


春の海をあげる
君にあげる
じっと見つめてくれたらそれでいい
そ ....
滲んだ太陽に
土手までのびた茜色
わたしたちは 何に染められたんだろう


もしも、の空を眺めていた
鏡みたいに、
あるいは透明な


空は、夕暮れ
おしげもなく跳ねる、金魚にま ....
深い河ほど静かに流れる

誰かこのざわめき消してくれないか

神さましか知らない孤独

そんなもの誰の支えになるというの

オレはろくでなしだから

大義名分もなくじぶん殺している ....
今日が
終わるまえに
あなたに
会えたなら

巡りあったのは
私の運命

遠く遠く
離れているのは
私の宿命

そばにいて

そう言ってもらえたなら

すぐにでも
会いにいくのに

電車を
乗り継いで ....
あなたには支柱がないのです
あなたには支柱がなかった
腕時計を忘れてきて気付かなかったけれど
僕はもうこんな時間まであなたを抱きしめていた
あなたには支柱がなかった
だからいつまでも抱きしめ ....
花びらの散った木を眺め
美しいと想う

折れたラケットを眺め
愛しいと想う

膝の怪我はもうじき
私の意識から消え去るだろう

消失していた筋肉は
長い年月をかけ
蕾のように少し ....
身動きとれない
鎖に繋がれた囚人
落ちる涙も
枯れた声も
白に染まり消える

夢を追うこともできない
力を失った身体
白日に晒された罪を
負ってしまうような白昼夢

真っ赤な血を ....
歌の缶詰がみつかった
黒く水を吸った
砂浜の海揺れる昼間

味を知らない白い鳥が
つついても 食べられないから
不機嫌に おいていく
黒く夜を吸った
砂風の渦過ぎ去る木陰

のまれ ....
わたしは、ここ 
あなたは、そこ

この距離は因果律
決して縮まることはない


時間はいつも嫌になるくらい前向きで
振り返ってはくれないから

誰もが桜の空を仰いでいる ....
冬鳥の啼く声も掠れ
野火煙る薄闇に
遠い鐘の音とともに
虚ろに舞う、
まばゆい欠片たち

山颪(おろし)の風に攫われる
か細い梢の一瞬の落花、
土に眠る豊かな彩りと
ひややかな水の命 ....
消防学校の倉庫に
翼を外したタイガー・モス機が
あったね
あれで飛ぼうよ
元どおりに組み立てて
ジプシー・エンジン廻して
最高のお天気の朝に


最大視程のはじまりに立って
グラン ....
この野郎、ピンポンダッシュしたろかな

マンションだと言われればそんな気もするアパートの角部屋
レースのカーテン越しに人の気配が行ったり来たり
どうやら生きてることは間違い無さそうだけど

 ....
計算ずくで来てよ
営業かけて来てよ
そのほうがスキよ

昔の歌を焼き直したみたい
でもちょっと違うのね
たぶんすごくスキになっちゃうけど
溺れない自信はあるかもしれない
から

胸 ....
 海は
 夜

 波打ち際の湿った海岸線をゆっくり
 舐めるように人類に拝聴できない声で
 泣いているのだという

 壁の向こうから聞こえる
 小さな隙間風の音も
 向こうで誰か ....
泣かない人は泣かないように努める

泣けない人は知らずに脆くなる

泣いた分の涙が

傷ついた心や体を洗い流してくれるのなら

どうか


どうか潤っていてほしい
何か知らないけどこの1年間

ずっと笑ってたなぁ

ずっと馬鹿騒ぎしてたなぁ

ずっと楽しかったなぁ


そう思えた1年でした

本当にありがとう


何か知らないけど ....
か細い声が聞こえた


電線の上
早起きの小鳥たちが小首をかしげる
埃っぽく煙った路上
散乱する朝の気配
大型トラックが排気ブレーキの音を響かせる
始まりと終わりの時間を行き交う車たち ....
 紙の上で紙を耕している潜在する文字たち。私は潜在する文字たちが融けて流れて、視線が紙の上を歩き易くなるのを待つ。耕された紙に植えられた潜在する色面が、潜在する光とともに組織され、私は色面と光とを、潜 .... 誰もいない静かな部屋で 
時折鏡を、覗いてみる。  

目はふたつ 
鼻はひとつに  
口ひとつ 

奇跡を行うこともなく 
些細な魔法もわからずに 

背伸びをするわけでなく 
 ....
喪失した傷は取り返せない
異次元の彼方に漂着した 傷に
いつかあなたは口づけ青ざめる
日の出直前の白白とした空のように

種子の記憶が芽生え。
ミシミシ、と殻は青ざめ幽かに
震えつつ怯え ....
心の奥の掌に
ずっと何か握ったまま


夢を追いかける友の姿に
眩しさを覚え

「思いきりやればいい」
そう歌う歌詞の中に


掌の何かが
もがきだす



それに気付 ....
罪の報いは死

ゴルフの帰りみち

そう教会の看板にあった

こんなことを言葉にしてみた

裁かれていることに

人の命は鈍感なのではないか


きみは神を選ぶのか

き ....
闇の東が
ほの白く潤んで
密やかな色と匂いが
滲み出す頃

花は
膨らみ過ぎる喜びに
身悶えしながら
目覚め

人は
濁った夢の浅瀬を
溺れながら
まどろむ

やがて ....
みんな終わりにしようと思ってたんだ
いいことなんてひとつもなかったし
こんな人生もういらないんだ
さようなら
さようなら
もう思い残すこともありません


なのに なのにおかしいね
 ....
水と銀をころがしたらびぃだまになって
予定調和がうつくし過ぎてシケモクに火を点ける
昔日の積雪がこげついた肉をやわらかくして
おみおつけのかおりのようにささやかな音
出窓を押し開けたなら風 ....
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