引き出しの奥にしまってあった
ずっと昔に書いた詩達
青臭い感傷に身を委ね
世界に種が撒けると信じた
尊大なナルシズムに塗れていた
胸から羞恥が沸いてくる
若き己が描いた夢により
今の ....
かわいい猫がいってきた
どんくらい好き、
どんくらい好きでいて欲しい、
わがままいうよ、
具体的にならいってみ、
いくつくらい、
最低30、最高100、
....
夢の中で私は
白いユニットバスのような空間に
ひとり立ち
蛇口を捻っていた
欲望という液体が流れ出す
色は無いが
キラキラとした輝く光を発しもすれば
ギラギラとした怪しい光を感じるよ ....
ねぇ、死んじゃったら
なにも見れなくなるんだよね?
なにも伝えられなくなっちゃうんだよね?
そこには、なにもなくなっちゃうの?
なにも残らないの?
天国にいくの? ....
電車の好きな少年だった
窓のそとを
いつも景色を走らせていた
乗客はいなかった
やがて彼は
景色のなかを走った
走りつづけた
いくつかの景色をつなぐと
電車にな ....
繕っても繕ってもほつれてゆく
こたつぶとんのはじっこの糸のような
きみのことばに耳を傾けている
そとはつめたい雨
ポストに届いたばかりのハガキには
あと三十分で春がきます と
楽観的な文字 ....
眠れる彼に口づけをすれば
凍てついた私の身体は溶け出して
彼の中をゆらりと満たす
戸惑いにも似たうすべに色の吐息に
待ちわびた生命たちが歓喜する
みずみずしく謳歌する
すべてが覚醒をす ....
息を吸う
それはいまから
深海に
深海に
潜るために使われる
だからいま
息を吸う
未来に
未来に
未来に会うために
息を吸う
....
ゆきよ、つもれ
自分で自分を
追い込んでる
そんな気がした
雪の降った、日
さよならを、待ってるの?
追ってくる、影
掴まれた、腕
黒い感情
....
あのひとのいる
夢の味はコーヒー
苦く透きとおって
わたしの肌の内側を
密かに磨き上げる
砂糖もミルクも要らない
香りが逃げてしまう前に
その温もりをちょうだい
あのひとがいる
....
好きの定義はわからないけど
目を赤くさせながら
メールのやり取りをしている
セックスがゴールなら
そうではないと教えるだろう
月はまるいというけれど
ちがう光のかた ....
色褪せたような気がした
こんな果実を読んでしまったあとに
何を書けばいいのだろうか
と
打ちのめされた気分になりながら
深く心が震えている
放たれた結晶に共鳴するように
あり ....
すごくねこころがしめつけられたとき
ひとは出たくなくなるのかな
悲しみまるごと受け入れるだなんて
神様だってできないでしょう
辛さを笑い飛ばせるあなたは
辛さを消 ....
月をじっと見ていました
***
細い銀の格子に囲まれて
床はモザイク
天上には白い月の天体写真
四辺に青いクッションを敷き詰めて
お気に入りの羽根枕を左腕 ....
時々
無性に
ラーメンが食べたくなる
蛍光灯を映して
きらきら光る油
立ち昇る湯気
スープを引き連れて
手繰り寄せられる麺
あぁ
ラーメンが食べたい
どこからか音がしている
いまから探しにゆくんだ
ぼくらがはぐれた場所を
孤独がしみてくるよ
バイク、トラック、バス
クルマなのかどうか
どこからか音がしてい ....
新宿駅のホームで
母親が呼んだ駅員は
先っぽがクワ型の棒で
線路から何かをつまみあげた
猫の死体か何か?と
恐れおののき見ていたが
つまみあげたのは
桜色の靴だった
....
(おおい)
鳥たちよ
銀鼠の朝に踊る鳥たちよ
何故そんなに楽しそうなのだ
おれはこんなにも憂鬱であるというのに
この旋回には意味があるんです
あなたには理解できないでしょうけど
....
惑星 水脈 観世音
チーズ カタクチイワシ 明けましておめでとう
干からびる 夏の朝 みどり
ありがとう こんにちは ありがとう
振動 巡礼 盂蘭盆会 門柱 亀甲 惑星 惑星 惑星 惑星
干 ....
{画像=080301014739.jpg}
愛に飢えているわけではありません。
恋に憧れているわけではありません。
ただ一途に想いたいのです。
自分のすべてを忘れてあなたに
わたしのすべてを ....
それ以上
踏み込まれないための予防線
巡らす有刺鉄線
あの人の本音はどこにありますか?
その領域に垣間見える
黒の黒さに
望むところって笑う
僕の声が届いていますか?
....
明日の4時には新宿であきと待ち合わせをする
それから昨日買ったワンピースを着て
エナメルの靴を鳴らしながらあきと会う
夜、吸わない煙草を吸うフリをして東京タワーに恋をする
ベランダでいつも ....
創書日和「月」 往還
月に巨大な鏡を置いて望遠鏡で覗いてみた
レンズの視界のなかで望遠鏡を覗きながら手をふるのは
自分がするよりも少し遅れて手をふる
2.56秒前の私
無数の少しずつ ....
じょうずに結えない髪の、かきわけたその奥に、
海が広がっている
黒い底は伸びて、光を吸いこんでいる
あなたがその闇へと、手をのばしては
救おうとする影を
あてずっぽうに踏んで、遊ぶ
....
日々はバウムクーヘンを一層ずつ剥がして食べるのに似ている
同心円の中心に近付くにしたがって、綺麗に層を剥がすのが困難になる
土曜日の朝、市営のトレーニングジムに行くとジャンレノそっくり ....
古い教会
脈々と
受け継がれる
祈り
神を信じ
祈りを捧げる人々に
わたしは
祈ろう
その願いが
叶えられますようにと
夢の中に落とし物をした日の朝
猫になっていた
仕方がないので
夫を会社に送り出してから
家事は明日にしようと決め
日向ぼっこをして過ごし
夜になったので眠った
明日はせめて、猿になりたい ....
雪が散り舞う
気の遠くなる場所から
此処まで君らは降りてきた
君らが人間なら
乾杯といきたいところだ
どうやって来たんだ、
重力で来ました、
途中大変だっ ....
この季節は自分の名前が口々に交わされるので
用心しなければならない
迂闊に返事をしないように
ほいほいとついては行かないように
簡単に微笑んでしまわぬように
まんまと
好かれているなどと思 ....
一人でウォークマンを鳴らす。
賑やかな教室から逃げる。ウォークマンを引っ掴んで。
休み時間になると決まって屋上に忍び込み、赤錆びでザラついた柵の
隣に捨てられた小汚いパイプ椅子に座り、ウォークマ ....
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