日本海に春の来た時は
 静かに 静かに
 目をとじてみると
 生命ない小石が激しい息吹をもらす

 波 寄せる毎
 丸くなり
 カラカラ カラカラ と
 妙に乾いた音たてて
 踊り ....
 
 ジャンジャン横丁を
 制服姿の女子の二人乗りが突っ切って行ったのは
 もう十数年も前になる

 後部に座る子の脚が長いのか
 見送ると大胆に
 自転車の幅からすんなり伸びる白が左右 ....
声が衰えただって?

ここが頂点で、
ここが始まりの都市だ!

そして何が良いかという基準を乗り越えるソウル

再び叫び 明るい叫び

切ない歌声で 思い出に浸れるなんて俺は信じない ....
 グミ

どうぞ、と差し出された袋のなかには
色とりどりのグミ
お祭りみたいにひしめき合ってる

青いのをひとつ
取り出して
口に入れる前に電球にかざす

ママが言った
海の色を ....


どの、骨で
鳥をつくらうか。

どの、骨で
鳥をつくらうか。

{ルビ手棒=てんぼう}の、骨で
鳥をつくらう。

その、指は
翼となる。

その、甲 ....
 いく本かの 樹が
 チロチロ陽を洩らす太い枝に一羽きて
 また二羽が来る
 小さな頭を左右に振って
 最初にきた小鳥が身を投げ出すように低空飛行
 今し方 私達が登って来た細道へ向かう
 ....
おふとんとわたくしの
さかいめがおぼろげ

すなのこまやかさで
ぬりこめられて

まぶたをきちんと
とじたまま

きょうのしごとについて
まとはずれなだんどりをくりかえす

お ....
雨の形のまま
わたしたち、地下鉄で
産道を進む
透明に敷き詰められた窓
向こう側に続く暗くて
滑らかな景色
輪郭は線となり
わたしは葉っぱを並べる
あなたは選挙の人にもらった紙が
 ....
 僕の隣に立つ女は長身でショートカット
 切れ長の吊り目が奥二重
 パーマのかかった短いまつ毛
 手に布製のブックカバーを持っている

 ああ、どうして彼女は
 こんな下地の色に淡雪の様な ....
駅前で少し遅めの「朝定食」を食べる。
ご飯、焼鮭、大根おろし、味噌汁、生卵、漬物という定番だ。
客も少なく静かなテーブルに座り、ゆっくりした朝を過ごした。

バス停がある時代を生きている。僕は ....
 熱いゆげをわけて
 ちりれんげですくって
 ふう ふう 吹いて食べるのです

 舌の上にのせた豆腐が
 かすかに香って崩れる時
 ふと時間は逆戻り

 勤め帰りのスーパーで
  ....
ビスカッチャになった私は
眩しそうに目を細めている

ただ ひと目でお疲れなのだろうと分かる
それがなんとも言えない いい味わいなのだ

植えたばかりでも
水田では風を見ることができる
 ....
さっきから何を探してる
SNS片っ端から使って

ただ静電気のような胸の痛みが
どこかを意識してるから
やめることができない

思いがけないエメラルド
それが小さな画面のどこかにあ ....
 比良の山を
 汲みあげようと柄杓星
 ゆったり横たわる りゅう座の下に

 カシオペアの東には
 アンドロメダがのびやかな弧をえがき
 めぐる星座は三百万光年の彼方の大銀河を抱いて
  ....
まくろく胡散臭いツヤのある回帰線を簡単に引いて
たびたび返されたトランプの屍体。そのどれもが
押し開いて咲きだしたクソロイド曲線の杜、いとまごと

沈静化して。背の躱しさが緩く 限られた最短を ....
人間は個として
およそ同じ体積の中で
古い身体を処分し 新しい身体を作り 生きている

樹木というものは
死んだ古い身体の上に 新しい身体を重ねながら
体積を増やし続け 太く大きくなってい ....
わたしのデスクから斜め四十五度の視界に
ペールブルーの空がのぞく

けだるさを隠しもしない
ぬるま湯のようなオフィスで貪るのは
春の新作とか、要領を得ない愚痴とか
とにかくもふんわりとした ....
町の外れに歩道橋ができた
町道の行き止まりのあたりで
民家はほとんどなく
小さい子供がいる地域でもない
町長の公約だから
それだけでできた歩道橋だった
町長は毎朝早くから
歩道橋の掃除を ....
幻想が消えていく

私の人生を彩っていた 夢の中の人々

私のために 私が作った 私の家族たち

さよならも言わず なんだか笑顔で遠ざかる

私は泣きながら立っていた



窓 ....
 芸術における表現の自由という命題があらゆる意味に於いて言葉上の珍穴子である限り、今後詩人という名刺を自らに課し扱うことを私は拒否もしくは否定する。

その壱
詩人とはなんだろう。人が言葉を ....
音韻を小瓶に入れて思い切り放り投げた
海岸線を歩けばカモメが鳴いて
子供達がはしゃいでいる

それを横目で見ながら
私はするりと通り過ぎる

明るさはいつも影を落とす
その事が私の胸を ....
          - L'impromptu

日照りの荒野で獨り修行していると、またも蝙蝠傘をさした黑衣の惡魔がやってきて傍らで漫談を勝手に始める。わたしの氣を散らせ集中させない{ル ....
1
目覚めた時に
あるはずの枕元が
きみの鎖骨の中で
蒸発していた
(そういえば
(春をしまい忘れてたんだっけ

2
全ての
歩行者信号が
赤になっている
雨の季節の始まり
 ....
          - impromptu


ひと月すぎてしまうけど


あたし冴えないなあ


先輩たちも課長もやさしい


硏修はねむい


社食のお昼は今日も美味 ....
ぼくの犬が消えた日
空には深爪したような月があって
そこだけがぽっかりと
穴が空いているようだったよ

ぼくの犬が消えた日
学校までの通学路はとても長くて
おまえのだらんと長く伸びた
 ....
手荷物を運んでいる途中
手荷物の無い手で触って欲しい、と人に言われ
代わりに国鉄時代の記念切符をあげた
質感が気に入ったようで
喜んで人は去っていった
遠くから連れてきた犬を飼い
笑っ ....
黄色い花が独り
ふるえていました

立ちどまり
ほんのひと時、見ていたら

雪はぱらぱら
舞い始め

僕に笑いかけたのでした


病んだ肉体、

夜の訪れと共
冷え硬直し始め

にもかかわらず

私は感じる、

夜想の宇宙に
烈開スルこの瞬間、
在るもの達 奏で
そのヒビキ微細に

在ること ....
神に祈りを捧げてみても

祈りのなかにも神がおり

神は透ける祈りを楽器にこめて

あたかも空気が氷と化すように

不変の裸像を音色でかたどる

かくして私がいつも祈るは

心 ....
鳥かごみたいな
カバンの中に
大切な本を
持ち歩きたい

部屋の隅で
広げた世界を
丁寧に折り畳んだ

それはまるで
スカートの裾を
抑えるように
風の誘いを断った

カバ ....
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