電子マネーなるものが出回って
お金を使う実感さえもなくなる御時世で
本物と偽物を見分けるのは難しい
「ケータイで何でもできる」と言われて私たちは喜んでいる
人の心がお金で買えるかどうかは知らな ....
実際の所あれは
鴉のようにも見えたし
人間のようにも見えた

真冬の朝の
まだ明けきらぬうちに
紫色の空を
私たちは見上げていた

凝固につぐ凝固
雪よりも白く美しい
骨を包んで ....
裏庭から
雨音に紛れて
犬が落下していく
音が聞こえる
どこまで落ちていくのか
犬にも僕にもわからないまま
犬は落下し続け
僕は音を聞き続けている
少し傲慢に生きてきて
思い ....
右目がポケットに落ちた
左目を瞑るだけで
見なくて済むものは見えなくなったけれど
溜まっていたゴミや砂が入って
右目からは涙が止まらない
あの人のズボン泣いてるみたいだね
と言う男 ....
バレンタインなんて関係ないねと
モテない奴らがひがんでる
そして俺もその一人で
この時期だけチョコなんか嫌いだと
デパートの前で心の中で叫ぶ
今は仕事もないので義理チョコももらえません
義 ....
「ショクヨウガエル」という物悲しい名前の蛙がいる
まるで人間に食べられるためだけに生まれてきたかのような名前の
体長十五〜二十cmにもなる巨大な蛙

正式な和名は「ウシガエル」
食用とし ....
一頭の牛が
ブランコを押してくれた
こんなに高くは初めてで
空だけがきれいに見えたけれど
必ず元の場所に戻って
どこにも進むことはなかった
明日食べられるのだ、と
牛は言った
 ....
生まれてこのかた
親親戚に時々に
「色男になってこい」と言われ
床屋に数百回行けど
未だ色男にならず

理髪師のネーちゃんは今日も
真ん中分けで来た俺の頭を
オールバックにして見送った ....
一家全員がそろったのは
昨年の正月以来だろうか
兄嫁が妊娠したという話を聞くと
父はたいそう喜び
押入れからアルバムを取りだし
いつもの昔話をする

それは色あせた一枚の集合 ....
生きて 

素晴らしいことは何もない
ただ
愛のみ
意味のない卵色の日に
ただ足を前に出して

昼は明るいことを知っていて
夜は電灯を調節する

いつも目の前の手すりを触って
 ....
私は悪い奴です
悪い奴はただ一人で悪い奴です
悪い奴はいつも自分だけが悪いのです
他の悪い奴のことをとやかく言うつもりはありません
「俺も悪いがあいつも悪い」だなんて言う奴は
悪い奴の風上に ....
子供の頃
粗大ごみ置き場があったんだ
いまは粗大ごみをすてるのにお金をはらわないといけなくなってるけど
あの頃は金など払わずなんでもぶち込んでた

粗大ごみ置き場はぼくらの基地でもあった
 ....
正月に日本酒を飲みながら詩を書いていたら
火曜日に詩を教えているキムからskymailがきた


「幹さんやばいっす、オレ犯罪犯しちゃいそうです」
『ちゃんと詳しく説明してミソ』
「ちんこ ....
彼らはその肉の産地が
わかっているようだったが
わかっていたんだなと
気付くまでに
俺は缶ビール一本を飲み干していた

俺の脳は密林育ち
どんな鳥もつまり
羽のあるデ・ジャブーにしか見 ....
こんなさびた暗いアパートに
なぜぼくは住まなきゃいけないんだろう


カスバの女をよく歌っていると
父さんに言ったのは母さん
その歌を二階の女の人は
今日は歌わず階段を降りてきた

 ....
ふわふわのシャボン玉の中では
ふわふわの魚が泳いでいる

しゅわんとはじけると
魚は空にかえっていく

私もかえりたい
空じゃなくていいから
ふわふわじゃなくてもいいから

 ....
すにふ、
もうきみの変わりにきみの荷物を取りに行くのはいやなんです
もうきみの変わりにきみの仕事をまっとうするのはいやなんです
ぼくを誉めなくていいのに
ぼくは証明してみせなくてもいいのに
 ....
(下記の文章中には話の流れ上、性的な表現が多数含まれます。18歳未満の方はご遠慮頂いた方がいいかもしれません。)

 今から15年も前の話である。
 私はその頃、大阪の堺市にある大病院の研修医を ....
人は死んだらどうなるのか?


死んでからでも好きにするとよい。





だから、


俺は死んだらどうなるのか?











空気か、 
 ....
リモネン、セプテンバー
君の名で良かった
繋がり
繋がろうとする
僕らの身体は
いつも酸っぱくて
どこかが潔く
欠落している

育った街で
僕らに罪は無い
同じくらい
 ....
足の裏で
整然と寝ていた床板が
めりめり
めりめり
起き上がる
半座位になり
座位になり
テーブルを跳ね上げ 止まれ!

睨み合う
鼻先から吸い付こうとする
くんくん
くんくん ....
猫のミーが
窓から初雪を見ている
たんぽぽの綿毛よりも
静かで美しいそれは
いつか別れた母親の
しっぽの色だった


ミー
君の耳も
同じ色をしているよ
玄関に立っていたのは畳だった
今日は暑いですね
そう言うわりには
畳なので汗ひとつかいてなかった

畳は座敷に上がりこむと座し
良い畳ですね、と手で撫でている
それからいくつかの世間話を ....
おれはすごいやさしく

のっかる

しずかに

おれのちんこが

くうきか

かーてんの

いちばんやさしい

ぶぶんであるように

きみのふとももをつたう

すろ ....
昨晩まで裏庭で死んでいた父が
今朝は生き返って
何かの冗談のように
冗談を言いながら食事をしている

自分の胸に手を置けば
小さな鼓動が伝わってくる
それは生きていることの証なのに
多 ....
角の先から尻尾の先まで
数えている間
よだれでベトベトの浴槽に
肩までつかっていると
今日の牛の冷たさが伝わってくる
それはほんの少し痛くて
やはり懐かしい
牛はただこちらを
 ....
丘の上に立って色の無い偏差値について語ろうとすると
バナナの風が熱帯雨林の方角から吹いて
学習ノートの文字は穏やかに飛ばされてしまった

間違えることなく世界にはたくさんのリビングがあって
 ....
今日コンビニのおつりでもらった
平成17年産まれの100円玉は
驚くほど輝いていた

昨日道端で拾った
昭和産まれの100円玉は
それが世の常だというように
薄汚れていて



 ....
野を渡る風が表皮をなぞると
確かに私たちからは
生きているものの匂いがする

ひれ状に並ぶ背中の突起物にさえも
既に意味は付与されているのだ

と、唐突に閃光が走り
どこか、と ....
メロスが走っていた頃
大半のメロスは
走ってなかった
セリヌンティウスが王に囚われていた頃
大半のセリヌンティウスは
自由に街を往来していた
少年の青白く細い指は
ページをめくり続け ....
soft_machineさんのおすすめリスト(1838)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
お金本モノかね- 新守山ダ ...自由詩406-2-21
冬の風景- 和泉 輪自由詩17*06-2-19
落下- たもつ自由詩1206-2-18
水分- たもつ自由詩1006-2-15
2・14この野郎- 新守山ダ ...自由詩9+*06-2-14
ショクヨウガエル- たもつ自由詩906-2-13
明後日- たもつ自由詩22*06-2-6
色男- 純太自由詩506-2-5
一族- たもつ自由詩806-2-4
短期間ベイベー- 山内緋呂 ...未詩・独白506-2-3
わるいやつら- 新守山ダ ...自由詩506-1-28
物欲だけの愛の無い欠片- よだかい ...未詩・独白706-1-22
金(キム)- 馬野ミキ自由詩90+*06-1-22
刻まれてゆくデ・ジャブー- 純太自由詩5*06-1-21
夜に咲く花- 純太自由詩6*06-1-20
かえる- たもつ自由詩1706-1-18
ばいばいすにふ- 馬野ミキ自由詩1*06-1-18
セックスボランティア(R18)- 宮前のん散文(批評 ...53+*06-1-18
グレートクリスタルドレイク- 馬野ミキ自由詩8*06-1-6
リモネン、セプテンバー- たもつ自由詩11*05-12-31
手紙- 窪ワタル自由詩4*05-12-24
「白雪」_冬の童話より- 茶釜自由詩11*05-12-15
世間話- たもつ自由詩705-12-10
のっかりりずむ- 馬野ミキ自由詩205-12-6
蘇生- たもつ自由詩1105-12-4
- たもつ自由詩605-11-24
偏差値- たもつ自由詩405-11-22
ここにある- みもる自由詩605-11-21
幻獣- たもつ自由詩1205-11-20
- たもつ自由詩1105-11-18

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