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暮れなづむ山の湖を
一羽の白鳥が滑つていく
湖心へとーー
周囲と断絶したわけでもないのに
他の鳥たちに追はれたわけでもないのに
白鳥は湖心へと静か ....
おそれることを知れ
十二年という
循環する
エネルギーの流れがある
十八才のあなたが
三十才になるとき
あなたの歴史に
なにひとつ
無駄なものは
なかったことを
知るだろう
魂が ....
ぼくは詩人
いつもの空はいつものように
同じ空ではない
今日もまた
夜の散歩をしていると
遠い夜空に出会いました
ずっと続くその夜空は
果てしなく続くようで
どこかで明 ....
赤いくちびるの、艶かしい呼吸の高まりが、
耳元をかすめ過ぎて、
世慣れた顔のひろがりは、穏やかに浮かび上がり、
成熟した夏を秘めた、
落ち着く若い寡婦の頬をかしげて、
経験にさばかれた甘い水 ....
空っぽの部屋にあいた穴
どうすることもできず
漆黒の淵にむかって
ネズミ除けスプレーを乱射する
重たい空気の隙間には
大海原が広がっているらしい
とろける月が沈む地平に
植物の茂った ....
今は懐かしきマールボロ
君はもう手の届かない場所へ
あのまろやかで
優しい香り
おぉマールボロ
高飛車になってしまった
君を横目にぼくは
安く ....
空が欲しい・・・・って
ずっと想ってた
薄暗い部屋に
頑なに独りいる時も
さらに殻にこもって
傷ついた翼を
縫いつくろっている時も
空 空 空
歌うように ....
競争世界にポツリと置き去り
僕なんていなくても世界は回り続ける
幼き頃から学んだ教訓
傷つきながら
涙をこらえながら
自分の無力をかみしめながら
惨めだけど生きること ....
材料
200mlくらいの牛乳と100gのポッテリバター
間をとって150gの小麦粉と
砂糖は80g 控えめでいいんじゃない
苺 かわいいだけじゃだめね
卵は2個 どっちかっつーとMがいい
....
ソーダの泡のような微睡みのなかで
懐かしい とても懐かしいその面影に出会った
記憶の深くに留めようと
すればするほど
表情は淡くなる
ならばこの夢でだけ覚えておこうと
思い切りこころを ....
孤独と
孤立、の構造って
多分
光学異性体 みたいなものね』
台詞を、
あっさりと置き去りにした彼女は
いーちゃんって 鏡ね』
と、評して
孤独を携帯に写し取った
最 ....
夏に凍てつく
雨は胸をこして硝子玉になる
抱いている
空のように抱えきれない空を
わたしのてのひらも腕も
骨になり粉になり空中に舞った
雨は風鈴の匂い
哀しい ....
時の羽ばたきが 瞼をかすめる
世界中どこを漂泊しても立ち位置が無い
空隙だらけの足もと 定まらない重心
目を閉じて大地に寝転ぶと
それがわかってくる
透明な午後 風は光り
丘は彼方 ....
夏の野は風の{ルビ恋歌=マドリガル}
花摘みの少女は一心に
草のまにまに漂っていた
白い花ひとつ{ルビ挿頭=かざし}にして
赤い裳裾をしめらせながら
濃厚な夏の匂いがたちこめる
姫百合の花 ....
さようなら消えてゆく
それがきっと正しいことだと思います
次第に濃くなる緑
車の窓から乗り出して空を仰いだ
みっともないからやめれくれ
知らない
あなたはあたしの何を知っている
きっとあ ....
させられて 触れたわけじゃなくて
あきずに続けただけの ことだから
だらしなく つっかけて
ぼろぼろの 噛み癖
気の毒なんて
言われないし
悲嘆は
花さえ開くことを望めば
....
誰も知らない顔をして
通り過ぎていく君の強さ
夏の制服の薄いシャツから伝わる
淡い匂い 淡い声 淡い想い
すべてが溶け込んだような
プールの塩素の匂い
もう過ぎてしまった七夕は ....
気が付けばいつも
人の輪から外れて
天井の繋ぎ目に向けて
煙を吹きかけている
そういう姿を晒していると
大抵誰かが僕が思う事と
逆側の意図を感じるのだから
存在が掻き消えている間 ....
ほら
こんな朝だよ
おまえはまだ寝ているこの朝を
俺は吸っているよ
この朝を
ウミスズメが
隣で
少し悲しげだよ
でもそんなことは
おまえは知らなくていい
ひらめがあわ ....
昨日の帰り道に
なにげなく空を見上げたら
コンパスで丁寧に描いたような
丸くきれいな月が浮かんでいたので
ふいにあの人が教えてくれた
あの歌を思い出しました
ここは木屋町でも丸太町でも ....
海を見たことがなかった
見え隠れする光
あれがそうだ、と無骨な指で示された海は
たいして青くなかった、が
軽トラックが、ギシギシとカーブを曲がるたび
輝きを探して、車窓にしがみついた
....
わたしの心の片隅で 受け入れられない人がいると
まるで それは 鏡のように わたしの前に現れて わたしを戒める
向かい合わなければいけない 空間の 息が詰まりそうな時間
見せないのではな ....
詩になることで
一歩ずつ押しだされ
ひとつ
またひとつ
人間になっていく
詩になれなかったぼくが
水溜りに転がって
ぼんやりと
道行くサラリーマンに踏み潰されるのを待っている
....
どうしてこんなところに
ジグソーパズルのピースが落ちているの
まるで「迷子にならないように」と
どこまでもどこまでも続いている
いつもと同じ帰り道だけど
きっと誰かにとっては、 ....
ぼくは詩人
実現とは次への目標への
起点でもある
今日もまた
夜の散歩をしていると
川に流れる月に出会いました
水面にゆらめく銀色は
ゆるく流れる水に洗われ
その姿は静 ....
正直意見が通じなくて苛々した事もありました。
私の気持ちに気付いて貰えなくてムカついた事もありました。
でも、今私が思い出すのは穏やかな貴女との時間です。
と言うか何も思い出せないのです。
....
うるおいのある
くちびるを
舌なめずり
黒ふちどりの
うるんだ瞳を
ぼくにむけ
なぜか
因幡の白兎を連想
してしまう
きみの
なまなましさが
生のにくのにおいを
周囲にただよわ ....
掘り起こす時が来たわ
足の裏で確かめて
指の腹で確かめて
なぞるような舌先で
油性の部屋を突っきって進め
ババロアの肌に噛みつけ
噛み砕け青い味
強くて固い蜂蜜だなんて
い ....
甘い汁
蝶は虜
揚キス
暑い眼
口が痛い
酒盛りで
わいわい
寄添って
空しい時が
経ち涙する
満たされない思い
満足を知らない
もしかしたらがドアを叩く
耳から口からサイコロが
ふりだす
言葉を転がす
目があわない
めもあわない
烏賊に嘴があって
本当は空が欲しかったのではないかと
本当は飛びたかったの ....
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