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ねえ覚えている?
初めてあなたと出会ったのは
裏通りにあった小さなヘアサロン
あなたはまだぎこちなくて
遠慮がちな手つきに
硬く閉ざしたこころの奥で
何かが弾ける音がした
(誰かを好きに ....
乾いた太陽の光を浴びて
胸に光る星のまぶしさ
艶やかな新緑がスタートラインで待っている
昨日までのこと
風船のように大空に舞いあがって
すれ違いのベクトル
約束の街角
零 ....
冬の星座を
天体望遠鏡で観察してみた
丸いレンズの中には
大きな歯磨き粉が写った
どうやら粒塩が入っているらしい
プカプカ浮いている
歯磨きはどこにも見当たらない
キャップを取ったまま
....
ほのぼのした顔で
有るったけ ふみにじり、
思う存分に略奪して
走り去ろうと
する
と、
足に纏わりついた母
「行かないでおくれよ
なんて云うので
「ああ、そう
お腹 ....
如月の冬晴れの日に
暖かな日差しに誘われて
弥生の風が勇み足
まだだよ
まだだよ
如月の必死な様をよそに
卯月までもが気が急いて
弥生の肩越しに覗いてる
ま ....
春が来たのかこの風よ
ゆったりとした時がゆく
澄みきる空にまぶしさを
連なる山に豊かさを
春の命を運んでる
春のときめき抱きつつ
春に咲く花見にゆこう
道には雪があるけれど
春の命 ....
あ、一番星!
いつもなら、満天の星空の下を帰るのに
どうして今日は、まだこんなに明るいの?
赤と青のグラデーション
こんな時間は、まだ
一緒にいられるのに
バイバイが、 ....
画布一面に
描かれた椿の
色彩の深みは
凍えた空を思わせて
ひとすじの風にさえ
枝葉のさざめきが
聞こえてきそうであった
重なりあう緑葉の中に
たった一輪きりでも
咲き誇る花は
見 ....
独裁者についてった時代を
その時代の人々を今振り返ってどうかしてたんじゃないかと思うように
百年二百年たったら
俺たちのことを
俺たちの時代をどうかしてたと思うのか
船はずっと北を目 ....
静かに
静かに
この道で
風が眠っています
起こさないように
そっと歩いて
通ってください
風はとても敏感で
すぐあなたに
気づいてしまいます
静かに
静かに
この ....
道端に彩りを添える名もない野花から
Little Shop Horrorの人まで喰っちゃう
モンスターフラワーまで
嫌いな花なんか無いと自負したかったのに
また辛い季節がやってきた ....
水は自由だった
形はなく
その場所がその形だった
自らの意志で
動くことができなかったが
絶えずすべてが動いているので
別に苦ではなかった
暑くなれば
空に浮くこともできた
のん ....
朝起きると同時に自動販売機に向かう
どんなに寒くともアイスの缶コーヒーを買う
朝食はろくに摂らない
とりあえず精神薬を口に放り込む
摩擦の多き日が続き
僕の思考は混乱
....
海は凪いで
時折水面の灯りが膨らむ
こんな場面に身を置くと
ゆめを見たくなる
会いたい、の裏側にある
まだ微熱を残した感情から
目を背けずに
鞄ひとつぶんの希望を詰め込んで
夢のつ ....
石ころにつまずいて
ころんで痛くて痛くて一人泣きじゃくり
太陽はいつもそらの天辺で輝いてるよ
ほらそこの泣き虫君とりあいず
笑ってみなよ
みんな笑顔になれば幸せ ....
すべり落ちてくる嘘の流星
隙をみせたら舐め尽くされる
枕元まで行進する藁をも掴む世代
神経は擦り減り
悪魔がゲームしている
深い闇が行き場を遮る
常に圧力のかかる後頭部
....
仕事を終えると皆は帰ったので、私は独り、
他部署へと続く施設内の長い廊下を渡った。
白壁の扉を開くと、そこは特養ホーム。正方
形の四隅を結ぶ四つの廊下に並んだ部屋を、
若い夜勤者達は忙し ....
目覚めたら
世界は セピア色だった
そこには セピア色のシーツと
セピア色の 僕のからだと
セピア色のテーブルと椅子
セピア色のコーヒー
セピア色の空には ....
なつかしい匂いに
ひたる冬、
寒さは
使い慣れたはずの指先に
疑いようも無いくらい
数をつのらせて
まもるべきが
すべて、に
なる
泣いてしまうことも
ねむ ....
りさちゃんに
2組に転校してきたけんちゃんって
かっこいいよねって言ったら
次の日の黒板に相合い傘で並んでた
この前、算数のテスト0点だった事も
オカアちゃんにバレちゃって
夕べは ....
夜に出でし月は
右より欠けて浮きつつも
心鎮むる情けありて
ただひたすらに眺むらむ
何をか語らむその月は
暗き空に染むるる色は
今に咲く黄梅と思ほえ
心なつかし
夜に出でし月は ....
優しさにぶらさがる
重なる星の巡り合わせに
ふたりだけの夜
ドブ板通りの古びたカウンターで
わたしをみつめる
瞳と
Never mind
歯並びの良い口元が闇に浮ぶ
迷路のような船底で ....
西日のうちよせる窓辺に
幼い貝がひとつ
もぞもぞと動く白い靴下を
つん、とつけば、また{ルビ蹲=うずくま}る
どうしてこの子は
こんなに静かな遊びを
思いついてしまったのだろう
座り ....
宇宙に終わりがないように
人の心にも終わりはないのです
ですから
自分で勝手に
終わらせないで下さい
風はいつでも吹くように
心も新しくなるのです
ですから
自分で勝手に
しまわ ....
温もりを感じたくて手を伸ばす
あなたは私の手を握り返し
日溜りの様に笑う
優しさは
あなたの手から私の手へ
じんわりと伝わってくる
私もあなたに笑みを返す
嬉しさは
私の手からあな ....
序章
薄くけむる霧のほさきが、揺れている。
墨を散らかしながら、配列されて褐色の顔をした、
巨木の群を潜ると、
わたしは、使い古された貨幣のような森が、度々、空に向か ....
どんな夜にも月は鎮座して
炎と水とがこぼれ合うから
欠けても
ゆるし
て、
けものは静かに
帰属する
荒涼の異国を踏むようにして
夢見の鮮度に奪われて
....
ついにお前は前世紀の真夏となって
果実の薫であつめた
くらく重たい天盤をひらく
太陽のとどかぬ深い森は
禽の歌の皮肉なかがやきと歓喜と
植物のむせ返るような熱を
....
静まりかえった夜更けに
チクチクと痛む胸をそっと押さえ
まだまだ許されない過去を
タバコの煙でぼやかそうとしている
熱く燃える情熱は寒波でなおいっそう燃えあがる
最近愚痴が多 ....
星はやがて空を翔ける
私の願いを叶えるために
雲はやがて此処に帰る
私の居場所を作るために
太陽は私の傍を離れる
私を傷つけないように
月は私の闇を照らす
青 ....
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