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夏少年の、硝子の{ルビ背=せな}に
せせらぐ
ピアニシモ
白い{ルビ喉=のど}の、滑るシトラスに
透けてゆく
アダージョ
戸惑う爪先の、細い苦悶
ふるえてゆく
アレグロ
....
静か過ぎるくらい静かに
あなたの足音が聞こえました
私を一人にしたまま
あなたは何処に行くのでしょう
私は目をつむったまま
あなたの顔を思い出そうとしました
あなたの残像ばかり ....
柔らかな風と共に
木陰を選んでゆっくりと歩いてくる
アリス
届きそうに届かないアリスは
夢の途中に僕に立ち寄り
その心の純粋さが削られていくのを
悲しい思いで窓から真 ....
赤い鶏頭の花は
透き通るような秋空を
じっと眺めていた
回転計の針は
イエローゾーンに
ぴったりと張り付いて
エキゾーストは頭の中をカーンと貫い ....
君は守られてきた
君は飲み込まれてきた
世界は広い
類は友を呼ぶ
新しい世界に飛び込むのは勇気のいることだ
君も飛ばなきゃならない
君を照らす太陽の下で
エネ ....
すぎていくものに吹かれて
川辺で季節におびえ
一掴みの名も知らぬ萱よりも
かほそくゆれ
ただ老いていくことに
腐っていくのでしょう
笹舟のように
未来にむかってちぎれていくものが
....
ぼくは詩人
天に響く激しい轟きは
心に強く厳しく叫ぶ
今日もまた
夜の散歩をしていると
雷に出会いました
暗雲から下るその稲妻は
竜の如くうねり大地へと降り
これから眠 ....
雨雲が熟すのを待てずに
落ちてきた水滴は
過ぎた日の埃の匂いがする
名もなき小鳥が
一斉に声を上げて
巣を目指して羽ばたき
一瞬の喧騒を誘う
今日のわたしには傘がない
誰も此処 ....
夜が明けて
窓から朝日が射し込むと
目の前に
猫背の暗い男が両腕を{ルビ垂=た}らし
立っていた
「 私ハ生キル事ニ疲レタ
アナタノ生霊
アナタガ誰カト浮カレル時 ....
たてものの一番高いところから
真っ逆さまに飛び降りる
陽の光が足裏にあたって
全身が温かく包まれていく
下の方を見ると
あなたはすでに飛び降りている
足裏にちゃんと土踏まずがあ ....
磁石が壊れて北を指さない
蟻の列が日暮里へむかう
そうか携帯で時も方向もわかるのなら
GPSを首にくくりつけて 北へ
踊る黒猫
踊る白兎
ミックスする
モダニズムの灰色
歯医者の診察台
に座らされ
歯を削られる
リューターの奇声
飛び散るカルシウム
丸い蛍光灯大小2本
収めた四角い枠
ぶ ....
梅雨曇りの朝 あなたはひとり
バスストップで高校行きのバスを待っていた
制服の後姿は 泣いているようだった
僕は「ふりかえってくれ」と心の中でねがっていた
その日はとうとう後姿のままだった
....
男女の蜜月は4年も続けば上出来で
後は想い出の時を刻んでいれば良い
社会的基盤がペアで行動する事を
定めてあるからか
結婚という契約は惰性というからくり
乗っかっていれば安心でらくち ....
思い出は
あの貝殻の中に
封じておきました
想い出は
あの海の下に
沈めておきました
車窓から覗いた景色は
にじむようにゆれていた
溶けて無くなるんだ
バターみたいだ
僕の理性なんて
所詮ただのコルク
そんなのもう
哀れでしかないね
少し揺さ振りかけられただけで
もう圧力に負けてしまう
吹っ飛んでさよなら
....
金曜日の夜は
やさしい時間
はやくねなさいっ なんて聞こえてはきません
かあさんグマは
大切にしまっておいた
はちみつを
いつもなら すっかり眠っているような時間
子グマたちに ....
ぼくは詩を書きたい
道に迷ったときは
迷った道を楽しめばよい
今日もまた
朝の散歩をしていると
新しい道に出会いました
その新しい道は
いつからあったのか知らないけれど
....
まくらを抱きしめ
まぐわいのなか
きみを想うとき
ふわりと
ある種のエネルギーが
ぼくのなかで
かたちどる
妄想
セックス
奪い取れ
のぞむままにことはすすみ
まくらの中に ....
ひかりをふところに浸す、
みどりのまるみが、いのちの数式を
一面につめこんだ、
萌え上がる、眠れる森に、鬱蒼と、
うすきみどりを染め上げて。
満たされた隙間を、みずいろの風が、繰り返し、
....
ちっぽけな頭のどこかで
白黒の映像や写真の時代は
その時代全部が白黒なんだと思っていた
だから火蛍の墓を観た時に
少し違和感があった
笑い声
泣き声
みんな飛行機の音に消えた
....
壁の花から落ちた花びら
雀たちがついばんでいる
ふちどりを想う
くちすいを想う
かがやく魔
飛び去る影を見つめるもの
四方を壁に囲まれた
庭という名の底にうたう
....
空中写真を撮りませんか
突然、声をかけられた
今、流行なのだという
今、撮さないと、
あなたは、社会からはみ出してしまいます
お安くしますから
上着を脱いで、お好きなポーズを決めて下さい
....
眠りは
逢えない時間を
埋める為にあるの
草むらに うつぶせ・・・
こうしていると
とくん とくん
大地と わたしの 鼓動が
重なる
あなた ....
ぼくは詩を書きたい
生は悲しく儚いものであるがゆえに
生として永遠に繰り返す
今日もまた
朝の散歩をしていると
百合の詩に出会いました
朝陽を浴びたその百合の
無垢な白さ ....
熱帯夜とは行かないまでも暑い夜が続いています
冷房を効かせて受験勉強をする学生
昔は冷房なんてなくて扇風機で我慢したんだっけ
確実に時間は前に進んでいる
朝焼けの眩しさを最後に見たのはいつ ....
プシュッ
ごく
その駅に着くまでに
ちびちび
公私ともにお疲れ気味
庶務課A子さんには
ほろほろ苦さと
ほどよい甘さ
ホームに降りたら
左手は腰
気 ....
まちぼうけ
まちぼうけ
今日もあなたを まちぼうけ
そんなじかんは
あなたをおもう
今日はどんな格好かしら
なにを話して
なにをしようかしら
これからお ....
白いドレスが綺麗でしょう
淡い世界に霞まない様に
紫陽花色の傘を咲かせて
君が笑うものですから
僕は蝸牛の様に煮え切らない速さで
ゆっくりと世界の湿度の中に溶け込んで
綺麗だなぁなどと ....
薔薇葡萄の里に帰りなさいと 初めて逢った妖精に囁かれ
甘く酸っぱい果実は 瑞々しさを放ちながら 小さくなった
雨滴したたり落ちる これは恵みの雨ですか
果実の素肌を滑る水
薔薇葡萄の甘く艶やか ....
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