「ピピピピ・・・」目覚ましの乾いた電子音が響いた。AM4:30。
白夜とはいえ外はまだ暗く夜の気配に包まれていた。ベッドからのそのそと起き出し、
冷たい水で顔を洗い無理やり目を覚ます。
デナリ ....
崩れ落ちた家のなかに
階段だけが残っていて
空にささやく
みちびきよ
みちびきよ
夜の路の先の先に
地を照らせない街灯があり
空にささやく
みちびきよ
みちび ....
かすかに機械のふるえのあなた
崖に立つ雲のあなた
氷の下を流れるあなた
誰にも答えることのできないあなた
浮くように歩くあなた
伏せる枝 眠る葉のように
こち ....
いや、絵が多少怖いんですけど。
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ふふ。既出かしら?さぁがんばって!
八月、うずくまっている
土のうえに手を置いて
雨がその地面を濡らさないかどうか、君と賭けをする
そうして動けないものだから
悪いものたちがやってきて
首の後ろあたりに留まっていく
....
{ルビ暮=ボ}
{ルビ雨=う}が
サ、
いぼうが
さ
細胞が
ボ、
....
先生 この前のテストは100点だったけどBでいいです先生私先生が好きです。
ラメ入りの少年 惚れさせてしまうのは男どもばかり 生理も来ない
触れてとは言わない言えないでも触れな ....
とても静かだった
自分の前後に自分がいて
とても静かだった
口笛で消えた
手のひらは離れた
離れながら鳴った
いろいろ混じる無色の
音未満だった
声は ....
縁日で、金魚を取り過ぎたおじさんが、デメキンと、普通の金魚をくれた
縁日で、何もしてなかったのに、右手には、金魚が、2匹いた。
家に帰っても、水槽がないから、とりあえず、1.5リットルのペ ....
始点
まだ、精製されない月が、なめされてゆく朝、
わたしの瞳は、真っ白なままの夏の果実だ。
ながめるままに、わたしのからだは、白く締まり、
背中には、灰のまじった、蓑毛が生える。
も ....
都会の向こうで
星がスモッグに身を隠している
広がっていく
存在が箱の中に限られたまま
「ここにある気持ちは
単にあなたに平行するためで
微熱の色は
そこへこぼれ落ちる ....
夏休みも終わり
プールの授業ももうすぐ終わり
空はどんどん高くなり
木々は少しずつ朱に染まりつつある
息子が一学期の終業式に持帰ったあさがおは
クラスで一番早く芽が出たのに
今 ....
オーロラの海岸に不時着した
求めるものは
奇妙な星にしかないという
珍しいパンと温かいコーヒー
犬を連れて来て良かった
歩くという不便さも悪くない
もう少ししたらゴムを巻こう
ゴ ....
冬の間
じっとしていた玄関前
夏になると
手がいっぱい
青々と
生き返り
軽やかに
おいでおいでをしている
風がそよいでいる
手の形がたくさん
にぎやかな木だ ....
うみねこはねこじゃない
うみうしもうしじゃない
うみぶどうもぶどうじゃない
うみほたるは魂じゃない
そのほたるも海には帰れない
漁り火はほたるじゃない
燐光もほたる ....
刺繍がいい。輪郭を隈取ってから、鎖のような針目を重ねて面を埋めてゆく。糸の光沢は緻密で重く、かさぶたのように薄く盛りあがる。色彩の濃淡を綾目に託す刺しかたではない。絵模様のひと色いちまい毎、面と面を ....
禁煙するために
両手をじっくりと見た
花びらが散るように
どこかで終わりが開いた
忘れていた夢が疼く朝
雨が降っているので
部屋はひどく暗かった
少し苦い珈琲を飲みながら
この行為につ ....
散歩の途中で
くしゃみをすると
塀の向こうから犬に見つめられて、困った
立ち止まって見つめ合ってみるけれど
悪いことをした
わけではなく
少しだけ難しいことを
難しく考えてしまうから ....
一つだけ失くすことより得るものの少なさならばもっと失え
きつねいろチーズケーキにのせすぎたペパーミントのばかあほまぬけ
宇宙から何も来ないと信じながらレモンジュースを挽いて ....
ゆびさきを、したさきを。するりと、ふれるかふれないかで、はわせるぼくら。しろいからさ。くろいからさ。いきつもどりつをくりかえして、どこかとおくへいこう。「あとじゅうねんたったら」っていって、そしていっ ....
二時間待たされたあげく
僕はタクシーの助手席に通された
運転席の医者がちらりと僕のお腹を見ながら
おめでたですね、と言う
何か心あたりは?
そういえば確かに最近酸っぱいものの数ばかり ....
流れ込むように
止まれない足元は
回転する音を
通り過ぎた重みを含ませながら
響かせている
夏に
焼ける
アスファルトが靴底を溶かしている
積みあがる積木の街
冷めないままで
....
すずなりだすずなりだ
耳の実、枝にすずなりだ
煮てさ焼いてさ
食いましょか
木の葉で隠してあげましょか
すずなりだすずなりだ
耳の実、枝にすずなりだ ....
お母さんボクは東大にいきます
やりたいことがあるとか、ないとか
これからは好きなことを仕事にする時代なのだ、と
そんな黄色いハローワークで
幸せになれますか
お母さんボクは東大にいきます ....
鳩が いっせいに 飛びたって
まっさらな 秋が やってきた
マロングラッセの やわらかな 日差しが
やさしく そよぐ
にんげんより すこしだけ
透きとおっ ....
卵を産もうとするシャケは身が白くなる。
まずまず白くなっても味は変わらないと思
うのだが、それでも紅いほうが美味しそう
に見えると、おじさんは卵を取り去った腹
に紅麹をなぶりつけて、 ....
もう9月になって
昨日を忘れたような雨が
じとじと降っているとゆうのに
どっこい
コウちゃんちのカブトは生きている
たしか6月に
さなぎからかえったはずだから
もうかれこれ3ヶ月の
....
台風一過、朝寝坊をひっぱって、眠りの水面から浮上、ざばっと目蓋を開いたら、
窓には洗いたての青空一枚(梢のふしゃふしゃした陰影と、ひとひらの雲も泡立てたばっかり、といったところを添えて)光って遠くに ....
君を裏切るのは
とても簡単
ハロー
そういって
右手を上げて
その手は
ゆうべ
誰かの内部や
その内部に近い小さな花を
ハロー
小さく震えて
開く扉は
ハロ ....
点は、よく見れば丸であった。角度を変え見ても丸は丸だったから、実は球に違いなかった。この詐欺師め。
完全な球体がありまして、その内側は継ぎ目も傷もない鏡張りであります。もちろん光がありません ....
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