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日平均残業三時間の男で惣菜売り場がごった返する午後9時
たまには
という連中が鮮魚コーナーでうろうろする
帰りの電車でグルメ漫画を読んでたりなんかすると


白い袋の中には当然 ....
しりきれとんぼの君に
まる
いつもあたらしいおもちゃの方を向いて
振り向くこともなく
ぽいと捨てられた君のおもちゃに
まる

おけらの君にまる
最初の意気込みと
投げ出す言い訳の愛し ....
  

うみねこはねこじゃない
うみうしもうしじゃない
うみぶどうもぶどうじゃない
うみほたるは魂じゃない

そのほたるも海には帰れない


漁り火はほたるじゃない
燐光もほたる ....
 卵を産もうとするシャケは身が白くなる。
まずまず白くなっても味は変わらないと思
うのだが、それでも紅いほうが美味しそう
に見えると、おじさんは卵を取り去った腹
に紅麹をなぶりつけて、 ....
 

駅の向こうはすっかり変わってしまった
と 久しぶりの彼女が言う
のを 知らんフリでスタスタと歩き
再開発のモールを抜け
すぐそこの古い喫茶店が見えると
彼女の頬が少しだけ紅潮した
 ....
  
猫が逃げました
ボヤが出ました
便所は汚すな

親切な貼り紙のアパートの
隣の部屋の人の顔 
まだ見たことありません

のような午後の世界に

河川敷の花火
の音が聞こ ....
  


県立病院前バス停で見知らぬ女性に声をかけられて
よくよく 顔をよくよく見てみれば
あの色黒で歯のやけに白かった娘じゃないか

こんなに色白でスマートになるならば
あの日の体育 ....
小さな声で
好きと言ってみる
夕立の降りはじめ

小さな声で
好きって言ってみる
夕立のうちに

ときおり
馬鹿と言ってみる
夕立の終わるころ

小さな声で
好きと言 ....
氷点下十五度の空気を吸いながら
せかせかと歩き
空を見上げると雪がはらはらと
はらりはらりと
降るのは粉雪でもなく
結晶のままの形で成長し
黒い手袋のひらで
そっと受け止めると
そこに ....
このごろ
お腹がきゅっとなる
部長の顔とかじゃなくて
君のこと
ふと考えると
きゅうっとなる

腹薬


このごろ
の腹薬は赤とか黒の丸薬ではなくて
飲むと不思議と落ち着く
 ....
 とある金曜の夜
 彼女は出ていった

 理由なんか知りたくもない
 ので土曜の午後から
 彼女のものを片付けてみる

 と冷蔵庫の奥から何重にもラップされ
 忘れ去られたくさやが
 ....
  

自転車置き場で
空を見上げるのがいい
そこに風でも吹いてくれれば
なおいい
そんなとき
携帯電話の電池でも切れていて
何か大事なことや
大した事じゃないことや
君にとっては ....
(曙)

薄暗い部屋の中
光のはしごがすうっとかけられ
それは
雨戸の隙間から漏れていて
僕はふとんから起き出て
手を翳した
掴むことはできない
ああ それでも
 ....
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