テレビの画面から砂嵐が零れて
目を覆うような霧の中だけで走り始める
その佃煮にならないイナゴの形と同じ今日の雨
年度末に向けて消えていく文字の顔が
白と黒だけでない文字であればいい ....
世界は
もっと不思議なままでよかったのに
虹の七色
逃げ水
姿見
知ってしまった全てが
恨めしい
君よ
その背中を覆う漆黒は
僕の夜だ
初めに与えたのは君のほう ....
疲れて食卓にたどりつく
おやじは定年退職した
おやじがつくった飯を食う
箸を落とす
拾おうとする
かがめる腰が、まげにくい
どうも
おもいどおりに体動かん
ものわす ....
水びたしの指で
コンセントに差しこもうとした
叱られた
しらない世界はいっぱいある
目のまえのオーブンの火照りもしらない
けれど追いかけたりしない
食パンにまかせて
いいとおもう
....
僕の夜に
胸のコップをなみなみと満たす
コカコーラ
みみをすます
「ココニイル。」
泡ぶいている
「ヒトリダ、ヒトリダ、」
コカコーラ・Listen
胸を ....
どうにもやるせない自転車です。雨水の玉つぶてなサドルの革を「そうでもなく茶色だ」と言って、拭き取ればままよ、と走りました。光、スロウ、アウェイ。そして溶解するするりとした残像を肴に、ウィスキーに言い訳 ....
わたしを
知りたいというわたしはいない
わたしは
わたしが鳥でも人でもかまわない
わたしは
あなたによってかたちになるのに
わたしは
あなたがあなたなのかわからない
わたしは
....
溜まっていた切手を
壁に一枚ずつ貼っていく
染み付いた匂いと
色の抜けてしまった壁と
すべり落ちていく手のひら
薄く伸びていくドアの隙間の光を
セロハンテープで ....
しゃがみこんでいたら
かたつむりが横切ったので
雨はどうして降るの?
と、問いかけてみた。
かたつむりは
にょきにょきとツノを出しただけで
何も言わずに
つるりと通り過ぎた。
目玉 ....
自動ドア
が開いた途端もうなにも聞こえなくなるくらい饒舌の坩堝なのだった
新参者が特等席でハバをきかせている
いたるところで人が出逢い
魅了され きつく絡み合い 約束を交わし 駆け引きをし 嫉 ....
くっきりとあなた
顔 も良く分かり
なめらかで豊かな曲線 も
温かくやわらかな感触 も
鮮やか
昂り も
息遣い も
鮮明に
ただ 熱心に セックス
透明な セックスをすると
夢精 ....
先日、午睡機械さんが私の詩をひろげました。彼との出会いは、一遍の詩『遠い自殺』に関する対話からと振り返られます。いつも感じることですし、あまり大きな声で伝えることでもないのですが、引き寄せられてし ....
男の子
女の子
ころぶところ
ちがうところ
きづつくこと
砂の山みたい
に
それぞれ
スコップで
積み上げる日々
泣くのをこらえて
たまじゃり踏んで
数珠を下げるお ....
ぼくはすきなひとがいていなくなって
かなしむことができませんでした
ぼくはおはなにみずをやるのがすきで
まいにちそうしておはなはかれました
ぼくにはあなが ....
そらいろの
きれいなびんをひろったので
ていねいにあらって
ひるのあいだ
えんがわにおいてみた
ゆうがたには
とうめいなみずがいっぱいたまって
びんのそらいろが
ゆるゆるととけだし ....
朝起きたら
田中だった
田中くんおはよう
よう田中
あ 田中君だ
田中の言うことなら間違いない
田中さんこれ受け取ってください
下駄箱で告白までされる
本当の事を云 ....
稲妻が 夜の闇を切り裂くように見えるのは
上空に溜まった 汚染物質を
宇宙の穴に 吐き出しているからなのだ
と 夢の中で創造主らしき者の声が
頭の中を 低く駆け巡った
それから私は 雷の ....
くりかえしてくりかえして
何度も何度もくりかえしくりかえす
「24時間」に閉じ込められた僕は
25時間目に生まれるとゆう{ルビ詩=キミ}に会えない
暗い廊下の角を曲がると女がいた。その距離三メートル。同時に銃口を向け合った。俺と同じく黒のライダースーツを身につけている。彼女もスパイか。すこしでも動けば引き金を引くだろう。こちらも同じだ。互いに動 ....
どこか
いま
どこか
知ってるけど雨
降ってるけど
存在感覚かな
あんまり
ない
傘あるけど
ひとあるいてるけど
ねこ
首筋かいてるけど
おとこ
あくびしてるけど
....
折れた片足を持って
迫り来る敵からこの地を守ろう
墜ちる夕日には背を向けて
闇の中ではただ佇み
朝を迎える限り僕はこの地を守りつづける
一本足で戦おう
田んぼというなの戦場で
泡立たず
飛散した
夏の光の下
沸騰前のアスファルト
その沈黙、の蒸れ上がり
その、陽炎
提げた虫籠の中
音から立つ
蝉の
匂い
それを
汗を分泌して拒み ....
吉岡君
電車の中で思わず声をかけそうになった
よく考えてみれば
こんな時間、こんな場所に
吉岡君がいるはずもないというのに
あの日と同じ顔
学生服のままで
そんな僕はまだ
....
つゆやみの夜
降りしきる蛙の鳴き声
このたくさんの鳴き声の中にも
さみしい蛙はいるのです
呼ばれているような気がして
サンダルを履いて庭に出てみると
蛙の鳴き声が辺りを包みます
白い ....
空くはず無いと思っていたのに空いた場所に
キミが寝る前に羽織るパサッりした服
部屋を見ればドコで何したか全部わかるのに
本体が消えちゃった今、そんなもの残されてもなぁ
一つ一つの形跡か ....
小さな声で
好きと言ってみる
夕立の降りはじめ
小さな声で
好きって言ってみる
夕立のうちに
ときおり
馬鹿と言ってみる
夕立の終わるころ
小さな声で
好きと言 ....
きぃ
きぃ
きぃ
身体ごと
時間ごと
空に放り出される
日常の中で
くすぶった思いを抱えたままの
私を放り投げる
留まろうとする
観念 ....
かぜが
ぼくのなかを
とおりぬけてゆく
おかの
うえ
とつ とつ、と
ほんのり
ともる
あの
あかりの
したへ
だきしめる
きもちが
あまい
やわらかい ....
重なるばかりの泡のなかから
一本の白い髪のように
細く硬くかがやきの無いものが
音も無くゆっくりと起き上がる
空から空へ
外骨格のつながりへ
いのり薄いいのりは
....
さらいにきました
年頃の女は
一人暮らしか 男と暮らしたほうがいい
じゃないと
どこか痛いとき
痛いところに布がかかってるか気にしないといけないじゃないか
終わった
いろいろと終わっ ....
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