常にあかく
トマトを塗る
あついあつい日々が続き
想い出ゼリーが
ひんやり揺れる
縁側の空気は
うとうとと流れる
小さな匙ですくうと
淡い成分が口の
中で優しいのに
迷 ....
薄い光が
瞼の縁からにじみ
あまねく人々は夜をなくす
かくも永き不眠
頭骨の隙にガムテープを貼り
モジュラージャックから脊髄を
抜いて試みる
眠れない人々は言おうとするだろう
....
浮かばない灰皿と程近い場所に 浮かぶ私がいる
沈まない煙を見上げた反動で 沈む私がいる
ここです ここです
私
ずっと
私のありかを伝えるために
耳のありかが知りたくて 知 ....
金魚がつい食べ過ぎてしまうように
ぼくらは
怖気づく理性とはまったく関係なく
いうなれば すこし過剰なものたちです
狙ってみてしまっては 思ってもないことを
寝転んで指差した机の脚の ....
この町の
坂を登り切った
いつもの場所へ
僕と君が一緒の週末も
この町を眼下に
何回めだろう
夜になると微かに靄が漂う
簡素で静かな町
僕達はこの町の中身を飲み
そして町の中 ....
今頃ヤナギサワは ルンルンルンルン 空を飛んでいるはずだった
何不自由無く育ち ファックショォン 欲しい物全てを手に入れて
安定した生き方で イェ ....
ここは
風が強い
遮るものは何も無いから
私もざわざわと揺らいでしまうのです
花に昔の恋を重ねるのは
いつまでたっても抜けそうになく
風に揺らぐ花びらに
褪せた写真の中の誰かさん ....
時間が
外から来る光を
横になりながら見つめている
花は雪
雪は花
晴れた日
道は海へつづく
ずっと空のままでいる川
とどろきの向かうほうへ
雪は昇り
落 ....
冷凍庫に眠る
蜂の亡骸は凍る
大人のわたしは
花と虚偽の
供述を並べている
あのとき
去る季節は凶暴なのよと
教えられたから
わたしは隠れて
餌をあげた
遺棄傘に貫かれた土 ....
白い花瓶が割れて
白い花が落ちた
僕ははっと驚いたよ
もう君はいないのに
君に何かあったのかと思ったよ
君は白が好きだった
花も白い花が好きだったね
初めての ....
流れたくない、と
川がつぶやいたのを
聞いた詩人がおりました
詩人は
風が流れる詩を颯爽と
星が流れる詩を朗々と
時が流れる詩を粛々と
うたい紡いでは
流れる素晴らしさを川に説きま ....
みんなに嫌われた日は
母の やきそばにくるまって
少し テレビを見る
母は やきそばをもうつくらないので
15年前の
とり肉入り のかけら
やきそばに とり肉は合わないと
ずっと ....
悲しみてぇもんは
大きかろうが
小さかろうが
とんでもなく重たい荷物
持主にしかどんなに重いかわからない
かわりに持ってやる事もできない
置いていこうにも手からはなれない
とんでもな ....
魔法使いを名乗る人がいた
学校の帰り道丘の上でぼんやりと空を見上げる男
それが魔法使い
知らない人と極端に話すことを恐れ
遠回りに帰る背中の後ろで
魔法使いはただ空を見ていた ....
心地いいくらいの
暖かな日差しに
桜の花びらを連れた
春の風
そんな
よく晴れた日には
陽だまりの中
嫌なことなんて
忘れ去ってしまうくらいに
走り回って
疲れ果ててしまっ ....
3か月前にあたしをふった
彼氏が旅に出るってんで
40度の熱があって あたしはたたき起こされて
着のみ 着のまま
葛西シルチスのアマゾン鳥が鳴く金町方面
あたしひとり 駅まで彼氏を見送り ....
きゃらめる 6
ねじ
1
まいばん
ねむるまえに
もうひとつだけ
からだのねじを
はずしてみる
おそるおそる
....
あいつの笑い声が
みぞおちのあたりを
握り潰す
きのう フラれたのに
今日も 同じ教室
dolce lusingand
やっとのぼった太陽のように
朝日のように眩しく優しい笑顔の君を
力一杯抱きしめて思い切り泣いた
暖かさに溶かされるように
やがて腕の力が抜けていき
全部 ....
たとえば悔いることも
不意に 喜ぶことも
時とともに 偶然にとけてゆきます
午後4時半
Tシャツの上に羽織るこのニットを
褒められたのは 初めてです
それはなんて 心躍るできごとで ....
アスファルトはもちろん
六甲山の山並みも、ヨットハーバーも
歩道橋も、イカリスーパーも、スーパーのトレードマークの
「錨」の横に捨てられている小犬達も
スペイン土産にもらったチョコレートに混入 ....
{引用=右手と左手のための協奏曲 より}
●雨の精
一度書いては捨てられた詩のように
誰にも知られることはないけれど それでも
人の心に光と影を投げる一瞬があります
ちょうど水たま ....
ふと右を見ると三塁手が君だったので
僕はすっかり安心した
うららかな春の日、デーゲームは淡々と続いている
スタンド、ベンチ、フィールド
いろいろなところからいろいろな声が飛び交っている
....
あの日
僕の夜空は燃えた
僕は君を許せず
君も僕を許せず
裏切りと涙の
炎が燃え立った
僕は酒も飲むし煙草も吸うけれど
憎悪に近い炎を
一杯の酒で流せるはずはないよ
....
だえきをたくさん
ふくませた
かだんのなかの
ちゃいろいつちの
ずっとずっと
おくふかく
ねむったままのひめひとり
ずっとずっと
めをとじる
ねむったままのひめがいる
ひめ ....
雲のない
ブルー・スクリーンを仰ぎ見ても
語るべきものなど何も残されていない
サイレント、ひとつ
崩れながら包み込まれる
ネイティブ・アメリカンに
インディアン・サマー ....
音と音のはざまに積もる景
積もることなく消えてゆく影
夜の雨のむらさきが
朝の雨の金に変わる
そのはざまの 一瞬の銀
ふるえのはじまり
つづくはじまり
はじまりとはじ ....
現実と夢の境を
言ったり来たりしながら
指先から溢れ出る言葉を
無心に書き綴ると
不思議と
安らかな気持ちになる
そんな空間(スペース)
きゃらめる 5
よる
1
なにもみえない
から
こわいんじゃない
なにもみえる
はずがない
から
こわいんだ
....
1.
みずたまる、みずたまる、みずたまるこ。
みずたまりに、みずたまるこ。
みずに、みずみずし。みずたまるこ。
みずみずしみずたまり。みずにみずたまるこ。
むこうみず、かえりみず ....
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