むかし むかし
パイロットのきみ は
大きくなったら
ひこうき になりたかった
運転士さんのきみ は
大きくなったら
でんしゃ になりたかった
宇宙飛行士のきみ は
....
桟のきしむ音のする
ほこりっぽい網戸をひくと
あごの線にそう
あどけないおくれ毛が
すずしく 揺れた
たとえば を
話すとき
そのよこがおは
やわらかそうに 笑うのだけど
うっか ....
秋 風 に る ら り る 揺 れ る お さ げ 髪
笛 の お と 冷 た い プ ー ル に 泳 げ れ ば
青 の 裾 ゆ ら し て プ リ ー ツ 見 え 隠 れ
ひ ....
夜は速い
夜は速い
これから向かう世界のすべてが
わずかに低く傾いているかのように
夜は速い
夜は速い
背に積み重なる力のように
夜は速い
夜は速い
誰かに遠去けられているか ....
うす紫に、きれいに染め上がった、
放課後の、
(優しい文脈を結んで)
ぼくは 図書館で、
大好きなきみの名前を、
水文字で書く。
水文字。
右でもなく、
左でもなく、
遠いほうの ....
乾いても艶のある 路面のまどろみ
その古い染みが 曖昧な午後の一部を
停留させている
触れる路面の端
時折覗いていた窓硝子割り砕き
尾長はばたばたと喘ぐ
徒然と ここに
....
きみに いいたい
すごく いいたい
すぐに いいたい
とても いいたい
きみに あいたい
はやく あいたい
ずっと はなして
ずっと みてたい
つかれ とんでく
すごく ....
君がシャワーを浴びる間に即興でできあがるパラレルワールド。
着信がメロディーで看板が歌詞でぼくらの街は音楽になる。
風景はマルチなシマシマにすりぬけるスピードのカラフルな焦燥。
街路 ....
昨日は変な日本料理店へ行ってしまった。いや、場所が違うだけで実はとても普通な店
だったのかも知れない。
暖簾をくぐってその店に入ると「いらっしゃい!」と、人の良さそうなおやじと茶髪で
若そう ....
天根の辻で水をもらう
日の暮れるには早い刻で
このまま休みたくもあり
まだ行くかとも計り
いつまでもたばこをのむ
新開通の鉄道がここいらを
過ぎ越してさびれた土産屋
小唄の焼 ....
ブレーキかけずに
走り続ける
凄い事だけど
身体は悲鳴をあげてるよ
たまにはブレーキを
スティックを
スプーンに変えて
グラスを
ティーカップに
バーボンを
ハーブティーに
蜜を ....
誕生日を 何度祝う人がいるだろう
生から1回
27度 おめでとうという姉
27で 姉が空にいることを知り
28 5分が過ぎて 28
いくつかの頃 姉が28だった歳
「私 ....
リリイは寝そべって
太陽を見ていました
暑
い
夏
の
日
(でも平べったくないよ?) ....
ショーウィンドウに陳列されている
マシンガンの前にくると
少女はいつも立ち止まり
その色や形に
うっとりする
名前も聞いたことのない国で
戦いが始まった
と、今朝ニュースで言 ....
家の近くに 新しい街灯がついて
それは
擦りガラス越しに見ると
まるで
満月のように明るかったので
気がついたのだけれど
この町には
街灯がたくさんつい ....
今、自分の中で大流行してます。
自分の名前でも面白いし、芸能人でも面白い!
ぜひぜひどうぞ☆
http://ikinari.pinky.ne.jp/
暗闇のライトに浮かぶ机の離島座る少女仄暗き右手
群青の影さす水脈の在りし日々世界は涙に蒼く翳りて
手術台横たわる我の開口部のぞけば霧の追憶と空虚
窓の ....
朝靄の中
頼りない影を引いて
配達夫は世界の悲報を配るのに忙しい
昨日のキスは二人しか知らないこと
ベットに傾けようとしたとき
「今夜はいや。」と云った君の
声の湿度は僕の鼓膜しか知ら ....
母さん
ぼくの血は
あの鳩の眼よりも
薄い色なのですか
すでに色褪せてしまった繃帯が
風になびくのです
母さん
ぼくはまだ
あのデパートの屋上で
迷子のままなのですか
いまでも ....
三十はとうに越したが
精神年齢がそれほどいってるかは疑わしい
とにかく子どもは二人ほどいる
「ほど」の部分に何があったかは想像に任せる
下腹はよれたTシャツを膨らませ
ジーンズはさっき下の子 ....
人の指と
繋がり忘れた指に
連なる透明巾着の紐は食い込まず
わたし
一寸金魚の軽さを恨んだ
水の純でわたしを責めた
駆け出すしかなかった、ある夏の夜
透明巾着の、同じ ....
駅の向こうはすっかり変わってしまった
と 久しぶりの彼女が言う
のを 知らんフリでスタスタと歩き
再開発のモールを抜け
すぐそこの古い喫茶店が見えると
彼女の頬が少しだけ紅潮した
....
スチュワーデスさん、とスチュワーデスに声をかけると
私にはケイコという名前があるんです、とそっぽを向かれる
今度こそ間違いの無いように、ケイコさん、と呼ぶのだが
ケイコは押し黙ってしまう ....
傘をささずに帰ってきたら
ぽつりぽつり、と、前髪の報復
それがしょっぱい涙じゃないこと
かなしいのかしらね
おまえは3よりも4だよな、と君は言います
もしかしたら心配、なのかもしれなくっ ....
入国審査を済ませて空港ロビーへ出ると、何人もの人が名前の札をあげていた。ツアーの
お客さんを迎えに来た旅行会社の人達だろう。口々に日本語で札の名前を連呼している。
騒々しい人々の中から自分の名前 ....
どうしようかと
暮れている一日
些細な段差に躓いてみたり
心の縁を爪弾いてみたり
火の上で
ゆれるやかんに
お日様が降りていく
じゅっと
音を立てて
沈んで落ちていく
....
また まだ
ほらまた
同じように
同じこと
同じことば
同じことばかり
またかけたもう
かけた
ほらまたかけたし
にかけのことばで
もう忘れて
忘れている
ぐるぐるのロ ....
あいにくと
今朝は
雲母の雨
レイゾウコに
証券市場線の傾きで
保存されたキャベツが
笑う
そう
どうでも
いいことだった
遠いNの遠足に
かかる雲のあいま
母さん ....
なにもできない夜でした
膨大な量、足りなくなって 急に
大きく。大きく、吸い込むのです
膨張する一方で 血管に指先からの、キス
ぶうわ、からだ中をめぐる網 ひとえに
とじこめられるわたし、が ....
遠くで
閉じられたままの
あおい
まぶた
その方角から
滾滾と
海はわいている
波はよせている
まぶたが僕に見せようとしない
その向こうの景色は
....
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