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八月、蝉が鳴く。
斜面の高いところで、
楠がこんもりと枝を張って
身をゆする。
むいたばかりの
ゆで卵みたいな青空の表面へ、
陽射しをはじきかえしている。
降りそそぐ、
眩しい小さなつ ....
刺繍がいい。輪郭を隈取ってから、鎖のような針目を重ねて面を埋めてゆく。糸の光沢は緻密で重く、かさぶたのように薄く盛りあがる。色彩の濃淡を綾目に託す刺しかたではない。絵模様のひと色いちまい毎、面と面を ....
台風一過、朝寝坊をひっぱって、眠りの水面から浮上、ざばっと目蓋を開いたら、
窓には洗いたての青空一枚(梢のふしゃふしゃした陰影と、ひとひらの雲も泡立てたばっかり、といったところを添えて)光って遠くに ....