肉体を支えるものが骨であるならば
空を支えている骨は人の想念である
人が空を想うかぎり空は空であり続け
けして空は空から落ちてくることはない
つまりそれは
人が人であり続けることと同 ....
 走りだした豚カツを追いかけてるうちに
 衣が逃げ出す
 トマトジュースの飲み過ぎで
 生命の機関誌 発売禁止
 おれの部屋でトウモロコシ畑が広がる
 レモンを見ると塞ぎ込む ....
何もない手に
白が降りて
名前を呼んだ
もくれんよ
もくれんよ


微笑む間もなく
雨は来て
空を伝い
午後を撒いた


灰の鱗
一人歩きの傘
午後の陽の行 ....
風船を慎重にふくらませて
口を縛って
ペンで顔を描いてできあがり
棒にしばり付けて
持ち歩く
やあやあこんにちは
出逢った人たちが
ぼくの風船に頭を下げる
ぼくも
彼らが持ってい ....
一人の命は地球よりも重いのです
ましてやそれが三つもあるのに
地球は一個しかありませんよ

命だけは助けてくださいと
あやまりなさい
お願いなさい

土下座もなさい
裸踊りもなさい
 ....
ぼくんちの黒い電子ピアノは
いちばん右の鍵盤が
壊れて 音が出ない

あんまり使わない音だから
いいんだ と
まわりのみんなには 言っている

けれど
ぼくは 時々真夜中に
もしか ....
うちには
おとなと
こどもと
インドホシガメと
魚がたくさんと
植物が
住んでる

あと、死んだものが
たくさん

死んだものはわたしが
清潔で明るいキッチンで
ばしばし料理 ....
夕暮れの寂しさを
ひらりひらりと切り抜ける
たまに当たるけど
ずっとずっとの儀式になってる

夕暮れはどこも一様に夕暮れなので
眩しくなくなった太陽を見つめる振りをして
薄いグレイの天辺 ....
気が遠くなるほど
恋をしてしまったとき
いや
言い換えよう
特定の
誰かに
欲情してしまったとき

わざと
自分を
隠す
何処にも
いないかのように

いないところから
 ....
「羽の無い天使」



高架下に羽の無い天使が立っていた。
そこで住んでいる風だった。



羽の無い天使
と目が合うと
―わたしは人間です―
とわざわざ言った
のがチャンチ ....
月が
川に映っていたので
石を一つ
投げ込んでみると

水ではなくて石

石ばかりが
ごうごうと流れているのであった

けっこう危険な川である

言葉の川 流れて行く
言の葉 ....
隣に建つ巨大な病院も
収容しきれない大きな歪み
大変だぁ これ些少ですが
って何
何コレ?
とりあえず解散だ

大きな声で読んで見てよ
そこのラベルそうラベルだよ
207円そう書いて ....
ココロ コロコロ 転がって
コオロギ コロコロ 鳴きました

ココロ 凍って ロココ調
コールタールのナタデ・ココ

ここは 露天の 六本木
今宵 ロックが 心地良い
 ....
ビルの谷間に
あなたの影が忍び込み始めると,
夜は街を装い
ヘッドライトの灯りが
チラホラ
チラホラ
ワインの赤を
耳元で語るのだ
雨模様の春先の
闇に溶け出した起重機が
密かに企 ....
またやってしまった
ガチャガチャするチャンネルを
音のないようこっそりひねる

母の目を盗むということ
初めての
番組で

時折なまめかしく
じゅうたんに目配せしながら
やっぱり見 ....
「結婚しないの?山内さん」
とは セクハラなんやけども
小さい都市なのでまあ
お茶菓子とともに 語り合い
娘がおりますけど あんたら 話したらひきますやんかあ
アチラが立っても こちらは立た ....
ようやく
妻も寝床に入ってしまったあとは
明け方まで
卵を産んで過ごした

初恋のラブレター と踏ん張ると
名刺が産まれた
元気よく不倫相手 と踏ん張ると
辞令交付が産まれた

午 ....
カラフルメリーは自分の名前が大嫌い
カラフルメリーを本当の名前と信じたがってる
唐辛子よりブラックペパー
胡麻油よりオリーブオイル
テーブルの上の醤油が死ぬほど恥ずかしい
天国のパ ....
 僕らはいつから座っていたのだろう
 小高い丘の公園の白い階段には
 砂が混じっていて
 何かしゃべってるときでさえ
 いつも居心地の悪い摩擦を感じていた
 時間が透けて見え ....
潜り抜ける毎日です

ぎりぎりの所で飛び越えて
ときどき足を踏み外す
そんな時間の流れなので

僕らは包帯代わりに
ほんの少しの嘘で武装して
身をかがめて
ぶつからないように歩くので ....
母さん、明後日のゆうはんはなんにしようか
夕べはほうれん草のおひたしだったし、
今朝はやわらかなチョコレートパンだった
昼もやわらかなチョコレートパンで
夜はまだなんにしようかきまっていない
 ....
(おとしあな)

落とし穴を作った
きっと誰かが落ちるだろうと
草叢に隠れて見張った
1時間経っても2時間たっても
誰も落ちやしなくて
なんだか虚しくなった
落とし穴の場所に戻ってそれ ....
理由もなく
ただ
流れてくる涙を
流れてくるがまま
流す

信号待ちが
もどかしい

ずっと
立ち止まらずに
歩いていたいのに
止まらなければならないのが
もどかしい

 ....
眠っている
こいびとの背中に
字を書く
油性マジックで
大きく書く

わたしの名前を書く
そっと書く

忘れられてもいい
あした
もう
ここへ
帰ってこなくても

背中に ....
温泉の
小さな露天風呂は
微かに
排ガスの
匂いがした

生垣で囲まれた
小さな屋上で
年の離れた男と
星空を見上げる

そっと
からだを合わせたら

温まる
ほどける
 ....
とある夏の夜
遠い遠い荒れ野の果て
深い枯れ井戸の底におりました
光が射し
闇が訪れ
幾日たったのかわからなくなったころ
星が ふるふる震えながら語りかけてきました

私は寂しい こち ....
とてもいい天気だったので
カーテンを洗濯した
お風呂場で格闘して
庭の物干し竿に広げて
やっと一段落ついた
お茶を入れると
どっと疲れが押し寄せた

窓はこんなに大きかったっけ
昼間 ....
視界にて
生成される
着色料と甘味料


そこから逃れるようにして
ぽとり、と、うつ伏せるしかない
あなたとわたし
春に間に合わない体



ああ
お砂糖の誇 ....
もうそんな、けんかをするな、きみたちよ。 ああ、晴れた
良かったね
公園には
お友達が
いっぱいだよ

光りと風
埃と喘息
排ガスと紫外線
楽しい楽しい
水遊び

ビスケットの匂い
いちごみるくあめの匂い
だっこ  ....
湾鶴さんのおすすめリスト(758)
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