ふぞろいな前髪の
整列にかかる
風のみちゆきを
ぢなりのようなうたをうたい
散らしていった
まるくとがった あの唇

おしあたった瞬間の
確かな熱の重さも すい と
運び


 ....
 
 急患で呼び出される医師      の妻

 制服を着たままたしなめるパイロット     の妻

 いつも勘でつくってんの ....
ほほの 火照りになんだか 欺かれた気がしました
指先はやけに冷たく 自分に触れて 確かめるのも嫌で
人間 というものが最近 やけに面倒臭くって
もうずっと 一人でも良いのかも知れないと 一寸 思 ....
 赤いランドセルは女の子の特権よ
 真っ赤な真っ赤なランドセル
 その中に
 金魚の群れを飼っている
 小学校三年生の夏

 真っ赤なランドセルをせおって歩く姿に
 隣の家のえみりさんを ....
きのえだいっぱいに
きれいなはながさいていたので
よじのぼって
ごめんねゆるしてね
ちゃんとあやまって
ちいさなえだをひとつだけおって
はなびらがちらないように
ちゅういしてもってか ....
ぷよぷよ頭のシロイルカや
花火のようなくらげをみて
三人でおおきなアイスクリームを食べても
小さな女の子はそっぽを向いたまま
だから水族館から海へ向かう砂浜は
お母さんと君だけで歩いて行った ....
ニュー。ニュー。
新しくなることについて考える昼すこし前の柔らかい光だ。


上着のポケットにしまっていた石を垂直に投げる。加速度と重力。そう、加速度と重力がせめぎあうその瞬間の曇り空に、押し ....
春の電撃作戦。開始。
街のいたるところで僕らは耳に手をあてる
どかん
それは小さな破裂
作戦が始まった合図だ、ほら
そしてまた、どかん
コンビニで働くあの娘、最近きれいになったね
と ....
鳥が歩いている
霧のなかを飛べずに
道から道へ歩いてゆく



鳥は車輪に話しかける
回転は無言でうなづいては駆けてゆく
手持ち無沙汰の傘の群れ
短く晴れた午後の陽の群 ....
夜の帳がすっかり落ちて
テレビに何も映らないのに
今夜も私は 不眠症
仕方が無いので羊を数えて
眠りに就くのを待っている

朝の日差しがカーテン越しに
透けてぼんやり霞む頃
1万飛んで ....
遮光の草原
訪れ続ける生の滑空
永遠の螺旋階段はある
ポニーテールの君は
指だけで腹部を濡らす

新鮮な皮膚のカーテンが
意味が初めから無いテーブルマジックの幸福のように
折れ曲が ....
オレンジ色の光が
揺らいだり翳ったりするのを
目を開けることもなく
ただ感じていた

あなたは
薄い壁越しに私を愛撫する
そのたびに光は翳り
わたしは波に揺られながら
あなたの手 ....
まばたきして

ぱちり、ぱちり

ぼくも

おもわず

ぱちり、ぱちり



であったばっかり

ぼくら



ちかぢか

にっこりするよてい
雪の降る夜
暗い工場脇で
体を探りあったこと
覚えてる?

あなた息遣いが
荒かった

学校帰りの
暗がりで
キスをしたことも?

二人とも
熱くなったね
寒いのに

 ....
○月○日
家に帰ると兵隊さんが押入れでもぞもぞしている。目が合うとピシッと敬礼しながら、「人道支援です」と言う。人道支援なら仕方ないのだろう。たぶん。兵隊さんは押入れでずっともぞもぞして ....
通勤電車でまいにち通りすぎる
田んぼの景色
あぜ道のとちゅうにちょこんとすわって
毎日欠かさずに
電車を見おくる親子の犬がいて
気になって気になって
もよりの駅で降りてみた
当てずっぽう ....
母を脱ぐ

血を浴びて
いまだ名もなし  (高柳重信)

すでに忘れられたとおぼしき「俳句の非ジョーシキ具体例」シリーズ、まだ終わってはいない。天災のごとく忘れたころ(実を言えば他のネタが尽 ....
スライド、スライドしていく音階に、立ち止まるための目印はない。ギター、弦の上を滑ってゆくぼくらの、とめどないものを抑制する旅。そしてタブ、タブ譜を読むためのフレット、フレット。区切りをつけて、数を数え .... 月の光り射す 真空の夜に
ひっそりと咲く 月下美人といふ花の
計り知れない悲しみは
茨となりて 一日たりとも
咲いてはいられぬ

私の この大輪の
白いドレスの花びらを
どうして見ては ....
震えるこの手で
睡眠薬を飲み干した
何もない
広大無辺の夢の中へと
自分自身をいざなう為に

それでも震えは収まらず
やっと私は事実に気付いた
震えているのは
この手ではなく
この ....
その刹那
滲んだ夜景の濡れかたが
酷く美しかったので
そのガラス越しに 
くちづけてみました

落ちて逝く様を
見られたくなかった
と言うのが事実でありますし
本当はどうでも ....
えんらえんら
蝋燭の日は今にも消えん

えんらえんら
彼は短き間音無く見ゆる

えんらえんら
彼の光が照らすは人か
それとも人に住み着く魔か

えんらえんら
人は気づくか気づかぬ ....
粘土でできた空飛ぶ天使が
すごいスピードで
逃げていく

青空は遠く

やたらに暑い

ぐらぐら揺れる歩道橋の上で
動けなくなり
足元の床が
抜け落ちるような

そんな気がし ....
楽しいはずの
デートの帰り

彼が
たぬきを轢く

たぬきはこげ茶と黒が入り混じった体毛で
牙はするどく体長70センチくらい

道路の真ん中で横たわるたぬき

たぬきは息をしてい ....
4月の空は霞んだ青
地面に張り付く僕等の上を
紋白蝶がひらひらと
縫い合わせていく

南向きの窓から
緑の塊に見える林の向こう
隠れるようにキャベツ畑があって
近づくと白い花びらが
 ....
今日の空は
雲ひとつない晴天
なのに
世界の人の中には
暗い影を心に持つ人がいて
せっかくの
満開に咲いた桜の木にも
吹きつける春のそよ風にも
目をくれずに佇んでいる
もったいないよ ....
「クラシック」

稲穂の先端が
千切れて跳んで
千切れて跳んで
潮騒が跳んで流れる
音符が嵐が金色を色づけていく
鼓動と音階鼓動と音階鼓動
休符が僕を梳ってしまう
その
傷口のしぶ ....
いま
しらないまちに
きています

みぎにいっても
ひだりにいっても
あなたに
あうことは
ないでしょう

でもあなたを
めせんで
さがしてしまうのは
もうそろそろ
 ....
桜小紋の裾には香りのよい猫の鈴が付いていて
ビル風に舞う花弁は懐かしい声を連れてきてくれたから
一度振り返ってしばらく佇んでいた

君が居た場所に
氷陽(ノルディスカクリスタル)の火 見 ....
昼休みに
飛び出した君を
追いかけた僕
風が手の中でやわらかくて
あのまぶしさも
ゆっくりと体透けていった
そのまま僕らだけ残して
時が進めばよかったのに

聞きそびれた言葉
何度 ....
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