あんな、人が死ぬって全然きれいやないねんで、じいさんの葬式でも、ばあちゃんの葬式でも、どっちでも思ったんやけど、棺の中のご遺体をじーっと見てたらな、蝋人形みたいで、魂がないと人間ってこんな薄いっちゅう ....
犬
朝の静けさの中で
犬が吠えている
すべてに届くように
昼のざわめきの中で
犬が吠えている
君だけに届くように
夜のささやきの中で
犬が吠えている
すべてを打ち ....
あの人は日記のような詩を書く
あなたは詩のような会話をする
その人と会話のように目配せる
かの人の目のような月が笑って
あの人たちは笑いながら消えて
私たちは消えるような息遣いで
そうして ....
浮かんでは消えていく
あの微笑みが
胸の真ん中を
射抜かないように
ぼやけて残る
マグカップに注いだコーヒーが
光を遮るから
僕等は昼も夜も
同じくらい好きだ
見上げれば夜桜 ....
本当は優しい言葉でもかけてあげたいけど
誰よりも覚めた、突き刺すような視線が痛い
テーブルを挟んで座る
手を付けないままのサラダとフォーク
言いたくないなら何も言わなくていい
どんな未来 ....
現と擦れて詩が浮かび
境と接して死が浮かぶ
現も境ももう近しく
それなら詩と死と
しとしと濡れて
行ける処まで生きませう
現と境の溶けるまで
背負った重荷を下ろすまで
背を正すこと、背 ....
夕暮れは、いつも隣に座ってた
河川敷の土手に、いつも僕と座ってた
何を話すでもなかった
ただ何となく、二人で座ってた
夕暮れは、いつも時間になると帰ってった
泥だらけ ....
また一夜が明け
光溢れる一日が来たよ
風はそっと穏やかだし
空はぼうと水色だし
街は花の香に包まれて
実に飄々と軽やかに
ステップ踏んで春は行く
おれはのそっと鬱だけれど
六十一回目の ....
夜は味気なく
だが
絶対的に
おれの残り時間を
砂時計の
ように
くっきりと表示する
嘘だろ
マジか
勘弁しろよ
詩を
書くときに
たとえばそれが
誰 ....
あのひとは
無言でオレを叱る
ホットドッグの最高に美味い喰い方を教えてくれた
オレが勝手に兄のように思っているひとだ
オレには、大嫌いな口うるさい姉しかいないが
あんなバ ....
もうすっかり春になりましたね
今日は風が強いです
咲いたばかりの桜の花が
ゆらゆら大きく揺らいでいます
■□
私は街を周回していた
人波物凄い雑踏だった
(流れに乗り遅れたら、 ....
卵から孵った雛が、初めて見た太陽を母親と思い込むように、俺はあなたを好きになった。
中学二年の春、勝ち気な瞳をしたショートカットの女の子に出会いました。「サヨナラ」、その子と初めて交わした言葉で ....
夜明け前に目が覚めてひとり
時間の狭間に取り残されたような気がする
眠りの妖精は去り
愛と憎しみと天使のことを考える
日が昇るまでの時間をもて余して
暗いうちから起き出し
働き者のふり ....
一雨毎に深まりゆく
この春日に佇んで
私は浅く息を継ぐ
虚脱の朝に不安な昼に
剥ぎ取られてしまった色を探し
*
記憶の奥の入学式
通り過ぎてく畑の野草
お母様と手を繋ぎ
....
降っているけど
どうせあなたは
雨粒のあいだを通り抜けて
両手鍋を抱えて来るのでしょう
ええ、いつだってあなたは
「最高のカレーができた」と云って
坂道 ....
感情が死んでいく
論理の下に埋もれて
死んでいく
ニュースは私を否定した
その論理は
私は排除すべきものであると
私は許されないものであると
私を否定した
いつか私が死 ....
静けさ 揺れる
春の雨、
光の空から
降り注ぎ
宇宙を回遊する言ノ葉たち
凝集しては時を刻み
思考の流れをこの界へ
屈曲しながら艶やかに
在る物、在る物、造形する
静けさ 奥 ....
川柳のように短い糸だった
文末の句点がもってる円周率。
文章の外へ脱字は逃げてった
匿名であなたと話す夜のまち
昨日の夢は
ふるい時間の
においがして
いたるところに
ふるい時間が
しみ込んでいた
やさしく迎えてくれた
さびれた建物の部屋のなか
机の上に
ポツンと置かれ ....
外は激しい雨と風の夜に
アパートの部屋の中はいつも通りの 私 一人でした。
殺風景な部屋の中には
ピンク色の電話機が畳の上に置いてあります。
殺風景な部屋の中に黒い電話機ではあまりにさびしいと ....
確かに人生に意味なんか無いかも知れない
こんなちっぽけな命
こんなちっぽけな人生
しかし人生に意味を与える事はできる
希望に生き
希望を他の人と分けあえる
楽しみを見つけ
楽しみを他の人 ....
素直さは美徳だろうか?
ねじれる事は本当に
悪徳か?
ちょっと世界を見てみよう
川はねじれて蛇行しているし
上空の気流も
蛇行して流れているよ
それに
ねじれた螺旋 ....
二〇一五年十一月一日 「海に戻る。」
ぼくはまだ体験したことがないのだけれど、おそろしい体験だと思うことがある。自分がどの時間にも存在せず、どの場所にも存在せず、どの出来事とも関わりがない ....
春は嫌いな季節。だって、年上が年下をマウントしにいく季節だから。
大学生になったら、社会人になったら、10代のうちにやっておけばよかったこと、云々。を語り出す人がいる。私はそいつらが大嫌いだ。大体は ....
真新しいものの
誘惑に
戸惑っている間に
いつのまにか
すぎさられてしまうもの
春とはそういう事象
新しいノートや鉛筆が
揃えたくなる
鉛筆削りにたまってゆく
削りくずの香る ....
光の万華鏡
旋回する宇
自ら発光し
鋭く熱と溶け
輪郭失う体と体の
紫に静まる矛盾の浸透
[個我意識鮮明に保持サレ、私達はシッカリト抱き合い、
何処マデモイキ、何処ニモイキハシナイ] ....
さびしくはないけれど
さびしくなくもないんだ
さびしさって
とても曖昧な気持ちのあらわれだと思うから
そう感じるのかも
青い空に
白い雲が浮かんでた
浮かんだ雲は流れてた
....
そのとき私は十六歳で
まだ何も罪は犯していないと思っていた
電車に乗って席に座ろうとしても空いていなかったので
つり革をつかんだ
そして
向き合った席にいる人の姿に
私は驚いて
目が ....
これでもかと歯石を取り尽くされ
すかすかすっからかんの帰り道です
もう何も持っていません
昨日までの悲しかった人生も
明日からの悲しいであろう人生も
もう何処にも無い ....
魔法使いの呪文のように
自明 !
という一言で
日常の会話から
厳密な数学の世界まで
誰もがみんな
納得してしまう
自明とは
なんという素晴らしい
魔法の力を ....
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