たよりは
いちまいの
いかだ
もじがながれていく
いちまいの
はがながれて
いく
ことばのかわ
りはなく
ながされて
よりそうは
かのように
いかだのうえ
....
梅雨は終わり
夏がやってきた
海開きの日
夏本番がきたことを表して
陽射しを強く感じる
静かだった砂浜
賑やかになり楽しそう
この日を待っていた
海の家は
夏にしかない
....
夢の中で、
歌うことも笑うことも靴を履くことも忘れる。
夢の後で、
体の中に風が吹いているのを感じる。
窓の外、
静かな空に煙をくゆらす。
振り返ると、
空っぽの住処。
....
フォー・ビートが沈み込んでいく
目録のない夜の隙間
非常階段の泣声
男か女か分からない
カルヴァンクラインの残骸
浴室に注射針
充血した瞳が
最期の瞬間に見たものは
あなた ....
アメリカのミシシッピ川周辺を
起源とする
黒人の
ブルースミュージック
或いは日本の競走馬
或いは賀茂川の三角州
バーのカウンターで ....
感情が漂白され
漂流していく時空を
速くなったり遅くなったり
緻密になったり大雑把になったり
なんて自由自在に運ぶ移行
魂の打つ突発的な躍動
変拍子や裏拍に
コレハナンダ?
新たな ....
林床にはブナ林特有の雑木が生え
そこを刈り払い機で刈っていく
すさまじいヒグラシの鳴き声の海が森を埋め尽くし
私たちの耳に、錐もみ状に刺さっていく
急な斜面を足場を作りながら雑木を刈る
....
この精神ひとつ
この身体ひとつあれば
必ず這い上がれる
やってゆける
形のない精神で
有限なこの身体で
今日を生きる
精神はあの天球と繋がり
身体はこの地球と繋がる
この私の意志の振 ....
病床の旧友よ、それでもなお、夏への憧れを失わずにいておくれ。
学び舎は今でも坂の上に、サイダーは学食の自販機で冷えているよ。
来る日も来る日も
この苦しみから一日も早く解放されたい
という人の切ない想い
心が体が
ボロボロになって修復が難しくなっても
命の焔をか細く揺らす人は
多々いるに違いない
この社 ....
牛の歩いた跡が、
「段々畑」のように見える、
そんな肥後のひとつの牧草地。
地上波でなんども再放送されています。
車いす生活者の自分にとっては、
旅行は室内で十分なのです ....
君の吐息はちいさな部屋の空気を揺らし
君の想念はだれかのベッドにしのびこみ
不思議な夢を紡ぐだろうか
ヴィトゲンシュタインにも小さな教え子に
猫の骸骨を組み立てさせたり
社会実習を経験さ ....
上っ面の言葉を交わしすれ違う恋人家族その他大勢
本当がまるで無いのになぜ刺したナイチンゲールの胸はくれない
表面張力肥大する星一つ縛れる嘘が行ったり来たり
面倒な人付き合いを弾いたら ....
冷蔵庫にわたしの好物がひとつ増えている
星の夜に歯型をつけてねむる
719円でブラジル産の
冷凍の鳥のもも肉を2㎏買ってくる
冷水に漬けて流水で解凍すると
だいたい8枚のパテがとれる
一枚ずつ小分けしてラップで包んで
冷凍庫に入れて冷凍しておく
これを一枚 ....
大小の刀を二本も腰にさしていては、さぞかし歩きづらいし、走るとなったら駆けづらいだろうなって
常々感じていた
士農工商の身分制度の中でいちばんに位置していても、その暮らしぶりは窮屈で自由じゃな ....
だいすきだった詩人が
詩のことなど忘れて
湯を沸かしている
うすいまぶたに光が乗る
忘れて、
忘れて、
忘れて、
生きなさいね。
と
わたしの耳は聴く
短い髪の毛を揺らして歩くセーラー服
単調な音を鳴らすしまむらのスニーカー
畦道の傍らの、コンクリートに転がった
蚯蚓の焼き尽くされた死体が
まだら模様に広がる夏
自転車の回転 ....
おやじのくせに可愛い字を書く人で、その字の置き手紙が懐かしい。
僕ばかりあなたの字を知っていて、あなたは僕の字をきっと知らない。
不幸って
否応なしにそれ相応のわざわいの種がまかれた
結果っていう認識でいい
幸福って
なりたくて欲しくて探し回って
やっと手に入れた
それ相応の種を植えて
水を撒いて育て上げた結果 ....
いつか夢みたいなすべての願いがかなえられた世界がきて、あなたはたちまち涙なんて出なくなる。そう言い切れればどんなに楽か、っておまえそれを躊躇してる時点で誠実じゃねえよ。言い切ってやれよ。言葉は呪いだよ ....
先生、あのね
わたしは不幸な花なの
蜜を吸いに、不幸な蜂たちが集まってくるの
わたしはそれを友達と呼ぶし
向こうもわたしをそう呼ぶけど
蜂たちが幸せになったら
わたしの蜜なんて不味くて飲め ....
どうにも目がさえて眠れないので
今日の夢をゴミ箱に捨てました
今日の夢は泣いていましたが
何も言わずにゴミ箱に蓋をしました
ひとは残酷ないきものです
ティン・マシーンを聴いていてふと
....
悲しくて堪らない日のポッケにそっと手を突っ込んでみると
今日の神様からの贈り物はうちの猫の写真だった
それはケータイの中に入っていて
つまり神様は
「お友達と猫のお話でもしたらどうじゃ」
と ....
夏休みの宿題なんてどうでもよかった
日中 曇天か雨天でない限り
太陽はかっと照りつけて気温は空気が焼けるまでに上昇した
粗末としか言い様のない昼食をすませると
近くを流れる川で水を浴びるの ....
令和2年7月豪雨の被災者も
母の脳梗塞も
三浦春馬さん自死も
梅雨の薄暗い長雨も
いい作が書けないのも
味つけの失敗も
トマトが甘くなかったのも
同僚が冷たいのも
表情がかたく暗くなる ....
「なんだ、もう行っちゃうの?」
「オレにかまうな、明日は明日の…」
「風なんか吹かないわ」
「違う、風邪をひくんだ
オレは心の寒い旅人なんだ
明日もどこかの町で微熱を感じて
こう ....
9:20 レイニーデイ・イン・ニューヨーク@雨の新宿で
堪能したのでパンフレットも買う
今日をターゲットに有休を取ったのだ
押し寄せてきた、邪魔者たちを、者ともせずに
そのパンフも微妙 ....
土の中に溺れた
午前三時の記憶は
白い朝に焼かれて
跡形もなくなる
海沿いの埃
引き潮にさらわれ
光の
届かないところに…
海獣のボーン
砂を撫ぜ
小さなアンサンブル
音 ....
友達が突然、電話してきた
地元の大学でイザベラに
英語の教師の資格を取ってもらって
日本のこの町に来てもらって
この町で英語の教師の
仕事をしてもらえばいいんだと
そうすれば二人、一緒にい ....
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