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口を開こうとしてやめ
口を開こうとしてやめ
そのうち億劫になってごろ寝をする
現実が早すぎる
明日も生きるはずだった人たちの時間が断ち切られ
まともな水も食料もない
そんな日々が続 ....
焼き場で
まだ熱い骨を拾いながら
生きててえらかった
と言う
レエスの縁のハンカチが
小さなポケットからはみ出して
花に埋もれたあなたは
びっくりするほど小さい
いつ終わるのか ....
なにになるのかわからぬまま
船を漕ぎださなければならない
河岸を変え
肉に刃を入れ
針を刺し
名をあらため
これまでの日誌は燃やした
空は暗く北極星もない
羅針盤はくるくる回り ....
爪を剥がす
わたしの指は二十本あるので
二十回できる
それはやさしさの残機
不安に駆られるゆうべは
脳を取り出して洗う
ホームセンターで売ってた一番強い漂白剤に浸けて
洗面台でじ ....
日が暮れてひとりの棲み家に戻る
靴を脱ぎ
1Kのアパートのなか
フローリングに膝をつき
頭を垂れる
声もなく
神すら必要としない
祈り
どうかあしたも日が昇ってください
いや ....
拝啓と書く
敬具で〆る
小学生のとき
電話とメールというメディアの違いを考えよ、という課題があった
今はもう、そのどれもがふるい
既読がつき、いいねがあり
三分の空隙にすら意味がうまれ ....