すべてのおすすめ
{引用=無垢な滴よ
そのドアの向こうには何があると思う?
こちらとあちらが
交わらない為に生まれた
無垢な欲望よ}
私の部屋には壁がない
けれど、室内にはじっとりと
危うさが飽和 ....
おすまししたミシンさんの濁った油には、
シルクピンと埃と三月の寂しさを愛しくさせる成分、
例えば、先輩の輝かしい功績やひたむきな放課後、
後輩のまっすぐな憧れや貪欲な昼休み、
その間に挟まれた ....
異次元の慰めが
青みを忘れた虹の絵のように
私をすり抜け
漂う
残り香は
何かが腐っていることを事務的に知らせる。
――幸せになりましょう。
うるせえな
――あなたは愛 ....
白樺が銀の葉をギラギラ揺するから、
どこか浮わついていたのだろう、
まっさらな、日記帳を汚してしまった。
湿っぽい土のにじむ、
その先、
桃の木は裏表紙に根付くだろうか、
それとも更に次の ....
昔々、空が有象無象に充たされつつあった時
彼女は心の欲するままに転げ落ちました
* * *
先生、量子宇宙の話をしてください
物質の成り立ちを
電子の軌跡が尊いとする根拠を
....
{引用=
幼子の髪にうつれる檜葉の香は常磐色とぞ見えしが今は
}
使い古した悲しみが
千々に崩れて風に舞う
遠い昔の草むらの
トンボを毟った黄昏に
笑う子供を卑しむる
君を大人と呼 ....
ランドセルを振り回し
カエデを蹴りつけた
少年は
舞う羽にはしゃいでいる
いつか
ナナカマドを蹴りつけ
私に雪を浴びせた
君は
夏の綿雪のように
どこかへ
飛んでいった
....
西武だったビルを背に
錆かけたブロンズ弦を掻き鳴らす
白い腕ばかりが気になって
歌なんかまともに聞いてやいないけど
クラーク先生に忠実な彼の愚直さに
譜面台にぶら下がった「日本一周」の文字に ....