おにぎりを
作ったら
おまえ
あれはしょっぱすぎるよ
と言った
あんたの
涙の味なんだろう
手作りのものを
最後に食べたのはいつ
家の中に
タイムカプセルがある
タンスの奥に眠る木箱には
古い写真や
隠していたメモや
忘れ去られた人の住所や
捨てられなかったおもちゃが入ってる
開けてみるとガラクタしかないのに
今 ....
肌寒くなり
日暮れが早いから
気がつけばいつも夜だ
どうした夜の住人
居心地のいい闇の中で
やりたいことが山ほどあったんだろ
音を言葉を絵を
並べて埋もれるはずだった夜
猫がいれば完璧 ....
真夜中目が覚めて
スツールに置いた水を飲む
暗闇の中タオルを持ち上げて
ベッドから足をおろす
この家の中では
何も見えなくても
トイレに行って帰ってこれる
でも、外に出てしまえば ....
ある朝
昔いたノラネコを思い出す
もういないはず
頭の中にはいるのだけれど
幼い頃の記憶はぐにゃぐにゃ「ト」むにゅむにゅ
とても優しいものではあり
「僕がワタシであった」証明
....
それはどこかにあるのか、それともどこにもなかったのか、違うやり方をすれば手に入れられたのか、近くにあったけれど見落としていただけなのか、要因なんて探せばいくつだって見つかるものさ、でもそんなことに ....
遠くにいるあなた
遠くにいても
息づかいを感じる程には一緒に居ない
あこがれのような
かなしみのような
その境目で
私が寂しがっていようなどとは
思っていないかも知れない ....
白馬の騎手は紅い薔薇の花束を抱き
群衆は勝利の美酒に酔いしれて
拍手喝采は止まない
隊列は乱れず広場を目指し
明日の平和を誓う胸
子供の頃から虚言癖
親からの期待の砲弾を
避けるのに必要な技術
未だに平気で嘘を吐く
嘘の中に本当を隠し
真実も共存している
生きてることは真実
それさえあれば
あとは嘘だとしたって
....
ほら あれが宵の明星よ
と云う貴女
、
なんて美しく青紫に躍り咲き開き
直進する時を下方から貫き通し
ただただ変転し広がり続けてゆく無限、
死 ....
どうしたら人は人に優しくなれる?
私は何に衝き動かされる?
今日と明日の間
勇気を持って為すべき事を為す
所謂
「情熱」だ
私を衝き動かすのは
もう二十五年も、黒板に向かって、数式を書いたり消したりしておりますが
おとつい、あるおひとりの数学の先生に
「田中先生、図形は、どうして反時計回りにアルファベットをふるのでしょうか。
ご存 ....
あしを鳴らすような、とい、とい、とい。
物語みたいな顔 眠たい午前、単純な変換作業
(領収書をとっておいてね)
わたしは手を鳴らして、熱いあたまを
とい、とい、とい
くまのついた手提 ....
だんだんと昇る陽が
私を熱く花開かせる
朝焼けの時にしか会えないオバケが
草むらで淡く発光する
ビビってなんてないよ
ただ少し怖がりなだけだよ
自転車で転んだようなものだよ
笑ってね
....
ついに今夜は眠れなかった
午前三時
ひたすら瞑想でストレスを減らしつつ
サーモスのカップに
コーヒー粉
砂糖
水をぶちこんで
がちゃがちゃかき混ぜだ
今日も仕事がある
現 ....
夕暮れの川面に寄り添い
言葉もなく涙を流した
甘く 切なく ほろ苦く
結ばれぬ想いだけが通り過ぎてゆく
映画のようにリアルで
小説のように深く
ふたりは闇に溶けてゆ ....
理想と乖離している現実
指先にも触れていない
シャボン玉のような脆さを
壊さないようにするだけで
精一杯の炭化した燻りが
その暗闇で確かに熱を持つ
直視できずに閉ざそうとする程
胸の中で ....
三つの高さの峰を登らなければならなかった
一番低い最初の峰は登り終えた
けれど、残り二つの峰へのルートが見つからなかった
探している内に夕立が近付いていることを知った
私たちは ....
にゃんだ
こいつマジ可愛い良い人生にしたれ
こいつマジブス、地獄味あわせたれ
こいつマジ普通ー、お前はまだ早いわ
こいつキモイ、いじめたれ
にゃんだ
こいつ、やっぱ可愛いわ、も ....
あなたのG行為を
見せてくれませんか?
手は出しません
ただ鑑賞するだけです
どんな器具を使っても構いません
あなたが果てるまで
傍で見ているだけです
僕自身は何もしません
クラシック ....
苦いコーヒーを啜る
昨日の残滓を回想しながら
黒褐色の液体が食道を滑り胃に落下していくのを感じていた
かすかな期待が薄紅色にときおり光り
羽毛を生やした生き物のように少しだけ微動する
....
ブライアンウイルソンは、百姓がにんじんや大根と対話するように、音楽と対話していた。
ピアノを柔道のように演奏するピアニストがいる。
ピアノをポップソングを作るために、演奏するピアニストがいる。 ....
まだ整備されていない、
とても茶色がかった昭和の夢の中を、
ヨウイチ君と一緒に遊びまわって、
一体ぼくは何を忘れてしまっていたというのだろう、
彼の名字がどうしても思い出せなくて、
なんだか ....
教授と寝た?
水色の返答は僕には難解で
秋の空に助けを請う
ハロー、ハロー、
僕の惨めさは恐竜好きの叔母さんゆずり
有精卵だって知っていたかった
丼に落ちる雨だれ
頭悪いな
「フライド ....
そんなもんだよ、なんて分かったような顔したって、飽きもせず生きていくことなんて出来るわけもないし、俺がやりたいのはただ、現時点での俺を更新し続けることだけなんだ、昨日よりもほんの少し違うことをしたい、 ....
何かを想い感じる感覚は
わたしの何かを掻き乱してく
心はもう捨てたから
誰かに想いを伝えても
伝わる事はなくただただ声だけが
宙に漂っている
言葉はもう捨てたから
心も体も自分も ....
ここに地球儀がある
私はそれを右回りにも 左回りでも回す事ができる
私は世界の王様なのだ
私は世の中に満足している なぜだろうか
私は目が悪い
私がすぐ満足してしまうのは
身近な世界し ....
気づけば部屋のすみに重なっていく紙のくさぐさ
服用薬品名カード、やら
保険調剤明細書、やら
ほおっておけば粉雪のような埃をかぶって
畳にみじめに融けていきそうな顔をする
教科書サイズのお ....
午前3時に家を出て
ゲン担ぎのバイオリンソナタを聴きながら
捕らぬ狸の皮算用
今日で渓は閉ざされる
渓は水量が極度に減っていて
秘密のポイントも浅瀬になっていた
ピクリともアタリは無かった ....
飯食って飲んでると
どこからともなく
「愛してるよ」
と言葉がわいたので
なんだろね
愛してるよ
自分がおかしくて
笑うのだけど
....
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