まぶたにうつるその姿だけで

今日も穏やかに夢に帰る
ふくよかな
疲れきった
男を知った

雌がいる

花のにおい
男を惑わし
その肌肉で
つつみこむ

雌がいる
冷たい夜の匂い

波にゆれる月

夜風が髪をすくいとり
遊びながらさよならを言う

空と海の隙間

扉はいつ開くのだろうか

月が映るのを確かめるように
何度もあなたの体温を奪 ....
貝殻に閉じ込められた海の声

時々解放しては独り占め

見知らぬ海
近所の海
くじらの住む海
人ではない者が住む海

貝殻の中に身を潜めた人魚の声が、
耳を誘惑し持ち去ってしまった ....
赤い実を摘む

意味の無い音が唇からこぼれた


庭に赤い実が生った

忘れていた裏庭に足を踏み入れる

音をたてて足元から崩れていく落ち葉

足音は知らぬ間に自然に奪われていた ....
ドアを開けるとそこは青く燃える森

新緑が手招きする

音をたてずに消えるドア

風が吹き込み髪と遊ぶ

進む度に木々が芽吹く音がする

足跡から植物が生まれ枯れていく

手を ....
寝ている頬にそっと触れる

夜風になって空を踊る

月の歌声に耳をすませて

胸に生まれた赤い蕾が
ようやく花ひらく

絡みつくように現れたトゲが
縛りつけ声も出せない

熱い ....
道化の仮面の奥

星の煌きに
一瞬で心を奪われてしまったんだ

好きな人がいると
虐めたくなる

大人には
いつになったらなれるんだろう

目の前で
表情がくるくる変わる

 ....
ちょうどそばにいたネコを引き寄せた

ひっかかれて少し泣いた

ネコの体に顔をうずめて匂いを嗅ぐ

ねこくさい

ネコは諦めたように
うにゃうにゃ言ったので

遠慮なく会社の愚痴 ....
月の浮かぶ湖が淡い光に染まる

指の隙間から
流れ行く黒い水

心を映す鏡なのだろうか

冷たい手の指先から
光が生まれていく

光は体を伝い
抱くように包み込んだ

 ....
短く切る
床に黒くこぼれる私自身

重さを失い宙に浮かぶ

手当たり次第にちぎり捨て

血まみれになって

肉塊を作る

おぎゃー

誕生だ

第二の自分の誕生だ

 ....
椅子に座り外を見る

庭でオリーブの木がゆれている

風が吹き込み
内側を揺らす

探しものは見つからない

体の奥深くまでをかき乱す

首を絞め逃げないように閉じ込める ....
箱をそっと開ける

そろそろと中から抜け出して
表情をうかがっている

もういいの
自由にしてあげる

嬉しそうに羽を伸ばし
あたりを飛び回る

手を伸ばすと
おずおずとキスを ....
こぼれおちる



目からじゃないし

鼻からでもない



胸の奥がじんわり温かくなって

こぼれおちる



声を聞いても



姿を見ても



 ....
この二つの塊を
天使の羽と勝手に名づけている

壁一面に沢山の羽を虫ピンで止めておく

壁一面に赤黒く
次第に崩れ落ちていく
干からびていく
かさかさした砂煙になって

いずれ姿を ....
浮かぶ月がため息と共に
夜空から滑り落ちてきた

ドアを開けて
夜露にぬれた土を踏み

蛍ほどもない
わずかな灯りを頼りに
震える光を抱きしめる

部屋に入り
お風呂を沸かし
 ....
床一面にれもんを敷き詰めて
その上に氷砂糖を一個ずつ並べた


夜を越えて朝が来て
カーテンを開けて
日の光でキラキラと輝く

朝露の夢

きれいね

透明なしずく

おは ....
膝を抱いて眠る
呼吸するたびにこぽこぽと音をたてる

とろりと変化した水に抱かれて
ゆっくりとまわると
視界がくるくるかわり

色んなものが
体のすきまに入りこむから

くすぐった ....
湖に浮かぶ月
冷たい水に足を浸して遊ぶ

水草が名残惜しそうに体に絡みついてくる

息を止めて
体を沈ませ
ゆれて怯える月を捕まえた

勢いよく
口に放り込み
よく噛んでいると
 ....
グラスにいっぱいの涙を集めて
枯れていく緑にふりかける

きらきらと
音をたてて結晶になる

とげとげしたさきっぽに
やわらかい皮膚を近づけて
涙の意味を知ろうとしたのに

あと少 ....
唇を噛み締めて
生臭い鉄の匂いがするあなたを
ついばむように

床の上で
スーツがしわになるのも気にしない

あげたネクタイがぐちゃぐちゃに

床で波打って

生き物のようにフロ ....
ウエーブかかったやわらかい髪
濃い肌に指をはわせて
寒い日は肌をあわせて
やわらかな布団の中で溶けた温かなかたまりになっていた

涙が出るのは何故だろう
もう何人もの肌を乗り越えて
生き ....
気づいたら6畳の部屋に紫陽花が咲いていた

足の踏み場もないくらい無数に
通常よりも小さめの

紫や青が溢れてゆれる

足に触れる先から、ほろほろとくずれ
空中にふわりと浮かぶ

 ....
顔の半分があつい
まだ冷たい机に頭をのせて
流れる雲を見る
まぶしい
顔の半分があつい
窓を少しあけて朝の風をあびる
まぶしい

おはよう

おはよう
彼女がやってくるというので僕は夜食の準備を始めた
シンプルな木の机に真っ白なテーブルクロス
ランプ
ナイフ
ホーク
今日は一口サイズのパイ包み焼き
料理が得意な僕の家に彼女はたびたびやって ....
壊れそうな気がしていた
一瞬でも気をぬくとパンパンに張り詰めた風船のように
空気を全て吐き出して
しぼみ何処かへ飛んでいきそうだった
会社での私はそんな感じなのかもしれない

感情が分から ....
睫に触れるしずくにまで嫉妬していた

外は雨が降っているらしい

冷たい手のひら
コートから湯気がたつ

ベッドから身動きもせずにそっと盗み見る

ソファーに腰掛けて
上着や靴下は ....
家の前に綾香は立っていた。
結局どうすることもできないまま、立ち尽くす私に呆れ、直子はチャイムを鳴らしている。
「おっかしいなぁ。おじさーん!!おじさーん!!直子ですっ!!!!綾香連れてきました! ....
「YUSUKE」

祐介。5歳離れたかわいい弟の名だった。
赤い首輪だと思っていた。けれど、手についた赤い液体と鉄臭さがその間違いを証明していた。
足が自分のものじゃないみたいに震え始めた。
 ....
脚を組み壁をにらみ続けている綺麗な人
何かを時折叫び壁を蹴る

コーヒーに口をつけたのは
私が部屋を酷く冷たくしたせいだろう

コーヒーから登る湯気が彼女をくるみ
悪態をつく言葉と一緒に ....
暗闇れもん(406)
タイトル カテゴリ Point 日付
文書グループ
壊した世界文書グループ11/1/29
街の魔女より文書グループ09/9/25
文書グループ08/2/25
投稿作品
片恋自由詩014/9/29 0:32
人妻自由詩114/9/24 1:10
ゆらぎ自由詩313/11/28 1:10
産声自由詩213/11/23 1:13
南天の幻惑自由詩213/1/20 23:30
幻森自由詩312/12/27 0:46
秋夜自由詩212/9/27 17:27
日常自由詩012/7/21 0:44
ネコ自由詩912/7/6 1:08
自由詩412/6/17 0:34
八つ当たり自由詩311/12/25 23:58
破滅願望自由詩111/12/25 23:46
失恋自由詩011/10/19 23:36
こぼれおちる自由詩111/8/21 23:01
天使の羽[group]自由詩111/1/29 22:53
月とふたり自由詩010/10/12 23:30
おはよう自由詩210/10/11 0:04
しあわせ自由詩3+10/10/10 23:52
おやすみ自由詩310/10/8 21:59
自由詩110/9/12 22:01
自由詩010/5/11 23:47
記憶自由詩010/5/11 23:39
ひとりで泣きたい日自由詩010/5/8 23:05
おはよう自由詩110/5/8 22:53
食欲[group]自由詩010/3/28 23:23
球体採取[group]自由詩210/3/28 23:07
いじわる自由詩209/12/26 21:58
PIGSTY④[group]散文(批評 ...009/11/2 17:35
PIGSTY③[group]散文(批評 ...009/10/31 20:53
マジックミラーの向こう側で[group]自由詩009/9/23 14:16

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