おやすみ
暗闇れもん

湖に浮かぶ月
冷たい水に足を浸して遊ぶ

水草が名残惜しそうに体に絡みついてくる

息を止めて
体を沈ませ
ゆれて怯える月を捕まえた

勢いよく
口に放り込み
よく噛んでいると

あのひとの味がする気がして
そのまま
暗い湖を沈んでいった

お腹が明るく光りだし

湖底にたどり着き
水面を仰ぎ見る

お魚に足が生えたらこんな感じかしらと
すこし笑いながら歩き始める

歌を口ずさみ
歌声は泡に変わり

ぷちんぷちんと
魚達の眠りを邪魔して歩いた

泡は光を含んで

まわり

渦を描き

わたしを包み込むと湖面に吐き出した

大笑いした私の口から

月はそろりと逃げ出して

ふうやれやれと

夜の雲に抱かれて眠る







自由詩 おやすみ Copyright 暗闇れもん 2010-10-08 21:59:43
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