しゅわしゅわと音をたてる炭酸水
細かい泡を頬に受けて
溢れていく夏の香りを口に含む

片手に瓶をつかみ庭を歩く

空に浮かぶ真っ白な雲
塀の向こうに緑の海が見える

泡があふれて雲が ....
椅子に残された影を抱いて
私は目をつむる
もうにおいもなくて

人間くさい欲望に弱いところも感じられない

こうやって私の中でのあなたの存在が消えていくのを感じる

思い出が消えていく ....
白い壁に青色の蝶が舞っている
ひらひらと風にゆれて何度も何度もぶつかって
壁が少しずつ青色に染まっていく
何匹も何匹も無数の大群になって
巨大な青の集団が白を飲み込み
青色に沈む
白い壁の ....
遠くを見ながら青空と草花に体を溶かしている
土と草に腰を落として
体育座りして

小高い丘の上から
風がこぼれ落ちていくのを目で追っていった
頬を風が撫で
髪にまとわりつくように触れてい ....
雪が降る

白い世界に足跡をつけて
月明かりに照らされて黒いコートの彼と二人

外は嵐ではなくて
あの日みたいに雨も降っていなくて
馬車にも乗っていない

雷も鳴り響かないし
彼の ....
好きじゃないとつぶやいて
ビルの上からダイブ
涙が自分よりも先に地面に散って
風が吹き込み
ゆるやかに舞い降りる

過去のことに縛られて
塊になって
地面にぶつかりそうな気がしたの
 ....
黒くかび臭い彼の上着。
馬車部屋いっぱいに雨音が響く。

「絶望を知っている?」

「はい」

彼は残酷な笑顔を見せた。

雨音が聞こえる。

こんな時でさえ、私をこの場所に残し ....
人がこわいのに恋することをやめられない
触れられるのがこわいのに求めることをやめられない
自分を欺くことに慣れていて元気なそぶりくらいできる

こわさが音もなく背後から忍び寄ってくる
抱きし ....
諦めなければと、思いながらも
わたしはこの椅子に腰掛けたまま

忘れなければと、思いながらも
わたしは開かない扉を見続けている

ひざを小さく折りたたんで
ひざを抱えて
寒いわけではな ....
頬に静かに触れる
今にも壊れそうに見えるのでしょうか
触れられただけで崩れそうになるのに
冷たさの残る
彼の手のひらで
私はようやく立っていられる
耳、額
まぶたを閉じて
唇、首、肩、 ....
ロックを大音量で流している
車の中でMars Voltaの
Inertiatic ESPがエンドレスで流れている
高音の突き抜けるような叫び
突き抜けた先に光があるのか闇にのまれるのか
絶叫 ....
ねこがほしい
すごくねこが欲しい
ねこというかねこそのものというか
もういいです
ねこを下さい
わたしにねこを下さい
気まぐれなねこを下さい
気まぐれなくせに都合のいいときだけ
かまっ ....
心は偽れない
どんなに止めさせようともがいたって
私の心は私だけのもの
この気持ちは嘘じゃない
誰に邪魔されても変わらない
例えそれが貴方でも
貴方を愛している
諦めるなんてそんな簡単な ....
庭に咲く朝顔を摘み
瓶に入れる
反射する青い光
色水を作り
窓際に並べて置いておく
部屋中が夏色に染まり
いつのまにか
私にさえも夏が宿る
愛して
愛して
愛して
愛して
愛して
愛して
異なる存在に拍手
ええ、貴方も私も
せっかくの夏だから
汗をかきましょう

限りがあることに拍手
汗ばむ部分に自分自 ....
足にまとわりついた
小さな布地を器用に取り除き
私に覆い被さってくる
彼女は何の迷いもなく
舌なめずりさえして
私を残さず食べる気なのだろう
男であるはずの私が
柔らかな彼女に組み敷かれ ....
紫が染みだし跡を残した
眠りかけの紫陽花は
次々に色を手放していく
雫に色が宿り
すがりつくわたしを紫陽花色に染めていく
柔らかな土に倒れる体
内側に眠る紫が
わたしを飲み込み根 ....
炭酸水を注ぎ
紫陽花を浮かべた
青く揺れる光に誘われて貴女がやってくる
指を入れて
かき混ぜて
炭酸水は嫌いと笑みを浮かべて
溢れて甘い
肌のざわめき
透明なガラス瓶に詰められた彼女を見つけた
扉が開いていたので気になって
ガラスに手を這わせて
曲線をなぞる
かすみ草の水槽に貴女
崩れて消えていくのは僕自身でしょうか
夜に触れる
寝室から抜け出して夜に触れる
ねころがってお酒に手をのばして
我慢してばかりの貴方にふれる
お疲れさまって言って
一緒にお酒のんで
ぐちゃぐちゃになって
明日を忘れて

 ....
薔薇をちぎるのに夢中になって気づいたら朝日でした。

「嘘つきめ」

「はい」

少し焦臭い髪の毛をかきあげながら、枯れた薔薇を差し出した。

彼は、手でいらないというしぐさだけでそれ ....
困った人と思いながらも私は夜風に体を乗せた。

「薔薇がない」

彼はあの馬車部屋で私の帰りを待っているのだろうか。

苦労して夜風に乗っているのに夜の花屋はまだまだ遠い。

月明かり ....
「ここにいたんですか」

濡れた髪を乾かすことなく、彼はあの空間にいた。
馬車部屋と私は呼んでいる。
重い木の扉を開けるとそこはいつも馬車の中だった。
開いた扉に背を向けて、彼は馬車の向かう ....
青梅を庭先でつみました
いいにおいにだまされて口に入れてはいけません
氷砂糖を舌先で転がして一緒に梅酒でも飲みましょうか
簡単なことは嫌いですか
そう
もっと複雑なことをお望みですか
 ....
床に座り込んで
ゆっくり体をすべらせる
頬に当たる冷たい床の質感
さらさらとこぼれて落ちる
ちぎり捨てた紫陽花の残骸
青紫 赤 青 紫
黒い燃えかす

足音を忍ばせて歩いて
流しにあ ....
泣いてもいいよ
可愛いから

水面がゆれる
浮かぶ朱色
ひらひらとリボンのように
迷っている手をとって
一緒にとろうよ

ほら手をとって
甘えて
瑠璃色の花瓶に
赤い花が咲いている

障子の向こうに人影が見える
声をかけようかと悩んでいるのか
不器用な人

すうっと
美味しそうなにおいに包まれて

くすぐったくて笑う

 ....
わたしの本棚、あなたにだけは見せられないわねと
彼女はそうふわりと笑ったんだ

わたしは今手足の自由を奪われている
視界を黒いつやつやした布が遮っている
わたしを不自由にしたのは彼女だ
布 ....
気がつくと足元にりんごが転がっていた
ゆっくりと地面に沈みこむ自分を見ていた
自由にならない体で
涙だけが自分の肉体を離れていった

遠くからやってくる
7人の働き者の同居人たち

胸 ....
小さくただいま
ぱたんと扉を閉めて
電気もつけずにこっそりしている
そろそろと靴下を脱いで
もぐりこむ準備
少しアルコールのにおい
ねちゃったのかと寂しそうに
そうっとのぞき込んだから
 ....
暗闇れもん(406)
タイトル カテゴリ Point 日付
炭酸水自由詩109/7/3 13:56
影の記憶自由詩509/6/17 23:19
自由詩409/5/16 21:49
春風自由詩209/3/28 0:55
涙の音自由詩009/2/13 22:49
乱気流自由詩109/2/6 22:40
雨音自由詩009/1/24 22:06
怖さとわたし自由詩108/12/11 13:13
身近な絶望自由詩108/12/5 20:38
盲目の人形師自由詩008/10/30 23:41
叫び自由詩108/9/24 23:46
ねこ狂自由詩008/9/4 21:48
永遠が欲しい自由詩008/8/26 0:51
夏色自由詩208/7/25 23:54
蝉女自由詩208/7/24 23:33
熱帯夜自由詩208/7/21 20:54
自由詩408/7/12 1:20
炭酸水自由詩108/7/4 2:16
ガラス瓶自由詩308/7/2 23:29
遠距離4自由詩008/7/2 1:55
睡眠欲自由詩208/6/25 23:11
夜の花屋自由詩008/6/24 23:20
馬車部屋自由詩1*08/6/20 22:54
青梅自由詩108/6/4 22:30
紫陽花自由詩108/6/4 22:19
金魚自由詩008/5/9 23:22
5/11自由詩2*08/4/29 12:00
本棚と彼女[group]自由詩008/3/14 23:27
森の奥で[group]自由詩208/3/14 23:13
おかえり自由詩308/3/6 22:14

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