幼子は俺にとっての
起源にして頂点
願わくば
これからの一日一日の
当たり前のことに
畏敬の念で結ばれていますように


かつては野も森も小川も大地も
目に写るありとあらゆる光景が ....
ぼくの街は牧場にあって、家畜と牧草が丘陵の途切れた柵のとなりで圧縮されて濃密な蒸留水となった朝露を落としている窪みに高層ビルが並んでいた。毎朝、ぼくは上着や革靴に花粉をつけたサラリーマンが灰色 .... 物事が真実である必要はない。
あるとききゅうに、自分について大事な物事に気付くことがある。
それがきょうはそのことだった。物事はただしくあるべきだと思う。少なくともわたし自身は物事にたいしてただし ....
何度も聴いているはずの曲なのに
今日はなんだか新しい音が次々と
聞こえてくるこれは一体どうした
ことだろういつもよりボリューム
が高いだけなのに指先のしびれを
感じながらもしかしたらこの痺れ ....
多くの人たちは、倫理的な問題があることを主張し、新たに倫理を創造し、強調することで全てが解決したかのような錯覚をもってしまいがちだ。だがしかし、倫理の退廃が主張された後、倫理を強調するという解決に終始 .... くるみ割り人形の恋
それは雨の日。
片足の取れたくるみ割り人形は言いました。

「恋がしたいね。
こんな雨の日は。
燃えるようなやつを。
薔薇のようなやつを。
雨粒が蒸発してしまう程
 ....
満潮
魚がよろこぶ
真っ青になる地球のどこか
沈んでいく

月が二つあります、
社会のように
わたしをとりまいて引きちぎる
右に 左に
西に 東に
分裂しなさい、と
輝く
無性 ....
 1)

庇には樋がなかった
コールタールの屋根をはげしく打って 
雨は黒い路地に、まっすぐ流れおちた
ひくい窓を大きくあけて
わたしは雨の音を聴いたはずなのに
路地に敷きつめられたコー ....
一秒に一京回の計算をするコンピューター。


夫は寝ている。多くの硬い毛に覆われた体。(それはそのままわたしの安心の形をしている。)それから、ぐったりと縮こまった性器。わたしにも早くペニスが ....
少し前から
光合成をしなくなった

薄らいでいく光を
見過ごして
遠ざかっていく水を
遣り過ごして
余った二酸化炭素を
夢にすり替えることもできずに
ただ乾いていく

カサコ ....
  僕らがコンビニと呼んでいる
  長細い直方体には
  どんなものでも揃っている
  弁当もポテトチップスも
  洗剤や電池や、ティッシュまで
  だから僕がその日
  その、冬 ....
おっぱい



おっぱいがすきだ
まえかがみになったとき
えりもとからのぞく
おっぱいのあたまがすきだ
ぶらじゃーがかぱかぱして
ちくびまでみえたららっきーだ

おっぱいがすきだ ....
白い砂浜をあるいていると
神さまがいらしてね
あたしのあたまんなかに
鳥をおいてった。
その鳥がいうには
夜のむこうがわには
せかいのおわりがあってね
あいする
ひとともの ....
どんな棺も
青年の死には窮屈だ
母親の嘆きも
揺籃には大き過ぎる

白い菊も
その肌には不似合いだ
彼の愛したのは太陽や風
ロックンロールや女の脚

ああ、大きな坊や達
逞しい赤 ....
僕は異物だから
君の悲しみの中で
溶けてあげられない

僕は異物だから
君の喜びの中で
泡立ってあげられない

僕は異物だけど
とても脆いから
もたれた君の肩を支え切れない
 ....
 他人の詩をたくさん読むようになってから、まだ日は浅い。

 詩集というものも、特に自腹を切って買ったことがなく、゛現代詩フォーラム゛が、 僕にとって最初の本格的な読詩経験だと思う。ちょっと気が向 ....
なにもかも捨てなければ眠ることはできなかった
今日ひろいあつめた荷物をまるで投げ捨てるようにうば
われていつまでもあきらめきれずに夢の入口に立ちつく
す日は朝まで眠れない
それはなぜか、老いる ....
ネットでできた詩友さんは いつも消えていくので
あまり深追いはしない いつも
忙しくなったんだな 飽きたんだな
ひとときのやりとりが 良い思い出になるように
なんて 気を使っているわけでもない ....
動機のないことが肝心でした
ことばを失わなければ意味がない
そんなふうに思っていました、つよく
それで、いまも

いまも手をのばしている
両手で頬を、挟み、包み、掬いとりたいと、考えていま ....
熱の少ない太陽が顔を照らし
濃い色をした海が
波の音もせずにサヨリの群れを映す
バケツに汲んだ海に
人差指を入れて吸いあげて
塩の味を確かめるのが好きだった
いつもより濃い人差指が
 ....
ケイティ、クリスティ、それからローラは仲良しの三人組だ。
ケイティとクリスティは二人とも変てこに曲がりくねって
串も通らないトウモロコシのひげみたいな髪の毛に、そろって
そばかす顔のさえない女の ....
サンドバッグの砂
世界は見えずとも
その厳しさを知る

バラボラアンテナ
世界は聞こえずとも
その広さを知る

美容師のハサミ
世界と話さずとも
その多様さを知る

水族館のイ ....
やわらかく
きみのこころをおして
はねかえるおもい
すとれっち
いきをゆっくりはいて
かたくななきもちを
しなやかにする

りらっくす
きみがあたえる
あたたかなあいで
まあ ....
炎に包まれた車の中で

絡み合う最後の優しさ

弾ける音は皮膚の音で

流れる油に血が混ざる

口づけする二人の姿が

最高潮の音楽にも似た

黒く悲しい歪みの様で

彼ら ....
巷の秋に目を見開いた空は
もうさよならする太陽が帰って行くことも知らず
振り返った瞬間 涙をこぼす

秋雨よ
わたしを揺らしていて
秋雨よ
倒れ伏すわたしを打ちつけていて

伸び ....
きはひとりでは
きになれないことを
しっている

だから
もりになった

さみしいなんて
ことばもしらずに
僕等は、いつのまにか 
否応無く人生という列車に乗っていた 

やがて、この列車は 
御他聞漏れず地上から浮遊してゆく 

いつか、必ずブラックホールの暗闇を 
一度は通過するという 
 ....
せんこうねんの
ほしからは

せんねんまえの
つなみが
みえることだろう

きこえるだろうか
せんこうねんのほしに

わたしたちのこえは
とどかない

まだ
う ....
ほんとの自分を探したって
ぼくらは液体だ

この人の前では四角くて
あの人の前ではまん丸い

あいつの前では黄色くて
あなたの前では水色だ


どれがほんとでどれがうそか
考えた ....
赤く濁った水の中で

泳ぐ気力は尽きてきて


揺らいでいるのは君なのか

霞んでいくのはぼくなのか


深く潜った海の中で

肌は冷たくなってゆく


おぼれているのは ....
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