ぬくもり
砂木

ネットでできた詩友さんは いつも消えていくので
あまり深追いはしない いつも
忙しくなったんだな 飽きたんだな
ひとときのやりとりが 良い思い出になるように
なんて 気を使っているわけでもないので
元気であればいいなあと ぼーっと思う
もう忘れられているだろうし

砂木しゃん

いきなり呼ばれる そのなつかしい響き 
私の馬鹿レスにものりのりの
そして大真面目に詩を読みあった
今は無いサイトでの 若い詩友さん
ミクシィでみつけて 声をかけてくれた

月光の花のように冴え冴えとした詩を書いた彼女
挫折から詩の投稿を始めたという彼女は
詩を書くのが救いでありながらも みじめで
弱い自分を憎んで 詩を憎んで
詩の投稿をもうやめると言った時に

なんの責任もとれなかったけど やめないでと
やめないでと すがりついたのだった
さみしくて悲しくて ひたすらすがりついて
彼女はやめずにいてくれた
そして挫折の元であった試験にも合格し

掲示版の詩友さん達がみんな彼女に
おめでとう と声をかけた
おめでとう と書かれたレスに
ありがとうありがとうとお礼を述べて

詩を書くのはみじめで嫌なままでなく
良い思い出にもなるんじゃないかなと
ひきとめた私は 嬉しかった
けれど 仕事を持った彼女は多分 忙しくなり

いつのまにかなんの音信もとれなくなった
でもそれは オンでもオフでも良くある事で
念願の仕事についた彼女の嬉しそうな様子を
よい思い出として さみしくなくならせたのだ

数年もたつのに 砂木しゃんなんて
おばかな呼び方でも私は答えると信じてくれている
まだ まだ 覚えていてくれたのか

傷口から放たれる光 やさしい時間の相方
水の花に ぬくもりをありがとう








自由詩 ぬくもり Copyright 砂木 2011-10-25 22:22:03
notebook Home 戻る