あの日に還りたい
一 二

幼子は俺にとっての
起源にして頂点
願わくば
これからの一日一日の
当たり前のことに
畏敬の念で結ばれていますように


かつては野も森も小川も大地も
目に写るありとあらゆる光景が
俺にとって光に包まれて見えた
夢中の栄光と瑞々しさに包まれて見えた

だが、今はかつてと異なる
どちらを向いても
夜であれ昼であれ
もはや今
かつて見えたものを見ることはできない

 
幼子よ
そのうわべの姿からは証し得ぬ魂の奥深さよ
至高の哲人たる幼子よ
いまだ失わぬ神からの祝福

ただ闇雲に時を消費した大人に混じって
ただ独り
眼を閉じ
耳を閉ざし
口を閉ざすが
故に読み取る永遠の深み
永遠なる光と永久に結ばればこそ

偉大なる探求者
まさに世界の真理を探る幼子
その真理を求めて俺は一生を費やす

暗闇に行き暮れながら
墓穴にも比すべき暗黒と共に
幼子よ
幼子の上に不滅の魂が
太陽のように光り輝くさまは
まるで生命に対する慈愛の如し
一時も忘るることが出来ない存在

幼子よ、幼子は栄光に輝くのは
天上から発する自由を一身に纏うが為

それなのに、何故にあくせくと求めるのか
歳経るとともに避けがたい軛を
われ知らず天与の祝福と抗えさせつつ
ほどなく、幼子の魂は現世の重荷を担い
慣習がずっしりとのしかかる

霜の如く重く、命そのものの如く根深く…


俺の魂はあの永遠の海を見
生命の出自たる海を見
刹那にそこへ還ることが許され
子供たちが岸辺で戯れる姿と
永久に高鳴る潮騒の音を聞く…


自由詩 あの日に還りたい Copyright 一 二 2011-11-27 22:44:57
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