異物
nonya


僕は異物だから
君の悲しみの中で
溶けてあげられない

僕は異物だから
君の喜びの中で
泡立ってあげられない

僕は異物だけど
とても脆いから
もたれた君の肩を支え切れない

僕は異物だけど
決して輝かないから
君の指を飾ってあげられない

異物と言っても
石ころにも成りきれないから
道路の端で気取っているだけ

異物と言っても
毒にも成り切れないから
薄笑いと一緒に忘れ去られるだけ

いっそのこと
君の胆嚢で居候でもすれば
痛みと共に君は
僕を思い出してくれるだろうか
痛みとしての僕を
憎んでくれるのだろうか

たぶん
そんなことすら望んではいけない
僕は異物なんだから
縋りついたり甘えたりしては
絶対にいけない

僕は普通と違ったモノ
違和感のカタマリ
僕は何処にも誰にも
馴染まない物質

淋しくはないけれど
いつまでも消えて無くなれないのが
もどかしくてたまらない




自由詩 異物 Copyright nonya 2011-10-29 13:58:08
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