何故に詩という詩人にとって最も
その存在を証立てするものを
便利な道具として使うのだろうか。

「あなたが嫌いです」

何故メールなり私信なりで直に言わないのか。
それを言う度胸の無い小 ....
日々の生活に伴うさまざまな枷
精神的労苦から逃れるために
うたをよみ酒を飲む
ずっと ずっと ずっと こうして
暮らしてゆきたくなんて無いけど
互いの鎖を共有しようなんて人には言 ....
髪をほどいてこちらへおいで

いいえわたしはこのままで

ここからあなたを見ています

そこからわたしは見えますか

体温がなければだめですか


この冷たい肌を知らずに
 ....
{引用=
「おはよう、
せっせとお弁当箱に昼食を詰める
この世界のなんらかに収まりなさいと
話しかけてくる忙しげな背中
通学路に捨てられた雑誌には
艶びかりする牡牛の角と蛙の屍
女の子の ....
マザー
僕の羽はもうこれ以上広げることが出来ない

マザー
君の笑顔を見ていると時折泣きたくなる

マザー
遠くに行きたい
いや近くで生きたい

マザー
しつこい ....
藍色の正装は纏われず
あなたは花に囲まれて眠りました
花の緑と衣服の藍とが
白い骨に残りました
頭蓋の金具は一緒に埋めました

生きるものが
その奇妙な構図をどうしても露呈しながら
日 ....
おとうさんとおかあさんが
体をすこしずつちぎりあわせ
ぼくは生まれました。

二子三子四子五子
きょうだいが集まってきます。
せまいぼんべの中にとじこめられきゅうくつです。

一人二人 ....
あなたが一個の人間だと忘れてしまっていた
あなたが 私の延長線上にいるように感じてた

母は私をいつも当たり前のように
呼べばくるものと思い込んでいた 

父は私の前にずっといなくて
私 ....
堪能するなら今のうちだよと誰かは行った
記憶の端っこを泳ぐような
四方何処までも蒼い水の中を私は回る

熱帯魚に似た鈍色の魚達の
柔らかい声に耳を奪われる
「何処へ行くの」
「どこへいく ....
(一番)オタマジャクシのお腹には
    腸管が透けて見えるので
    パン屑あげると白いぐるぐる
    玉子焼きだとぐるぐる黄色

(二番)ヒメアマオタマは雑食性
    なんでもち ....
        あなたと私の魂の頬ずりは
        凝り固まった二人の心を解かしていく

        それは氷が解けて板の上を流れていく
        そんな さらっとした風ではな ....
{引用=
紙上に佇む
痩せ細った枯れ木
磨り減ったペン先がつけた
掻き傷の隙間に
深く根を張るインクの滲み
どこに行くとも
なにを残すとも
示さぬままに
埋まってしまった行の終わりの ....
天使と間違えられた悪魔が
今まさに翼を拡げて地上を去るところでした

人々の彼への愛は(またはその逆も)確かだったはず
なのに彼の血が自分達と違うのを見ると
一同揃って鍋に蓋を閉めました
 ....
厳格な直線と
流麗な曲線で構成された
コンクリートは
お好きですか?

清潔な時間と
快適な空間が約束された
コンクリートは
お好きですか?

過剰な郷愁と
曖昧な体温を排除する
コンクリートは
お ....
貴方に愛されたいと願った 声を失くした人魚姫のように



新緑は 初夏の日射しに 色を増し ヒレの無い足で 外に駆け出す



満月の夜は 鱗を落とす 微かな潮風に 故郷を思う
*一時限目 数学*

美しき微分/麗しき積分/淫らな糖分=知性の所望するもの<睡蓮たちの睡魔 
無限の輪っか((エタニティー=ハニーディップ×2))
を、黒板の隅に小さく描く

カリカリカ ....
水たまりを跨いだら、一国の王になっていた。

捨て猫の声が聞こえてくる。何故、捨てられた猫であるとわかるかというと、猫の言葉がわかるわけではなく、捨てられた猫の啼き声は、激しく依頼してくるからであ ....
私がまだモクセイ科モクセイ属の常緑小高木だった頃
女は窓に立つ鳥でした
私がまだ荊のような神聖さを保っていた頃
女は鳥をやめ風景になりました
そんな女が周期的な区分でグラデーションを繰り返す間 ....
脳軟化症の徳三爺さんは
丸めた古新聞で家のTVを叩く
偉そうな人が映る度に
ウーウー言いながら
丸めた古新聞でTVを叩く
以前は政党とか見分けをつけて叩いていたのだが
近頃はマイクの束や街 ....
{引用=
不完全な過去 不確実な現在 無知な未来



カスタネットの赤と青が嫌だったから
いつも校庭のすみっこで地面に円を描いてた
繋ぎ目がゆるんで共鳴しなかったから
いつも答案用 ....
  (前奏)

難攻不落のハム・ソーセージ
は、ちぎれない
噛み切れない
はち切れんばかりの薄皮の中
モグモグ、ムガムガ口の中
そいつはあんまり膨張し
延々と
シーツの宇宙に連なって ....
思い出の場所など私は要らない
そんなものは核弾頭の餌食にでもしてしまえ
思い出の場所には誰もいない
大地に在るのは私の影法師だけ
雑草と風だけ
足下には消滅した時間の残骸が
捨てられた土産 ....
ぼんやりと浮腫んだ月が
夜空の底から覗いていた
見透かしたような月光が
書きかけの溜息を嘲っていた

出かけたっきり帰ってこない
セツナサを待ちあぐねていたら
黙りこくったキーボードを
飼い猫が悠々 ....
この道を通るとぼくはいっぽんのペニスになるようだった

あなたにペニスを入れてゆくとき陥る懐かしさ

ひんやりとうるさいこの道を

肉の温もりと快楽のため息にたとえるとは

ぼくはいったいどういう淋し ....
父は木製
母は金属製
そんなわたしの骨は木製
そしてどこか金属製

寄り添う啄木鳥
蝕む啄木鳥
偶然かわいい一羽くらい
薄い音を鳴らすときどき

黙る木製
黙る金属製
そんなわ ....
ばあさんが男を一人しか知らないとしても
人生の物足りなさはそこに在るのではなく
今日もやかんの熱湯をポットに注ぐことや
皺だらけの寿命の尽きるのが
再来年でも明日でも変わりはしない
そのこと ....
5時間後には職場にいる

向こうから

朝が轟音たてて近づいて

午前4時のカラス、鳴く

励ましてくれるひと、ありがたい

応援したくなるひと、たいせつだ

沈んだ気持ちにさ ....
新緑の季節
五月の朝の陽光を浴びた
ニコライ堂 緑青に覆われたドーム屋根

明るい陽光に
くっきりとした陰影を残した
コンドルの遺産は
一二〇年経った今日も
聖橋から靖国通りに向かう坂 ....
          日の丸をあげると
          あなたがおろすから
          おろしたのというと
          うんと言うから

          私はまたあげて ....
じぶんの人生じぶんが主役

じぶんが君子だ王様だ

自動販売機に腹を立てても

そこはじぶんの人生だ

主役は自動販売機ではない


季節が巡ろうと

スーパースターがなにを ....
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