枯葉
nonya


少し前から
光合成をしなくなった

薄らいでいく光を
見過ごして
遠ざかっていく水を
遣り過ごして
余った二酸化炭素を
夢にすり替えることもできずに
ただ乾いていく

カサコソと
独り言ばかり多くなった

香らないものにとって
空は素っ気なく
輝かないものにとって
風は無慈悲
色を重ね過ぎて濁った外側と
為す術もなく色が欠け落ちていく内側
想い出の葉脈だけを微かに残して

もうとっくに
手筈は整っているらしい

アントシアンなんて
持ち合わせていないから
ファインダーの片隅を
彩ることもなく
貧弱な日常の枝先に
大人しくぶら下がったまま
順番を待っている

いつか落ちたなら
踏みにじられて粉々になる前に
少しだけから騒ぎがしたい

できれば柔らかな根元で
長い居眠りをしながら
ゆっくり還りたい

アスファルトの上で
雨に打たれるのだけは
勘弁して欲しい

ずぶ濡れでへばりつくのは
掃き寄せて煙にされるより
嫌だから




自由詩 枯葉 Copyright nonya 2011-11-14 22:13:51
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