本当に出て行くのならばドアからでなくてもいい
ピッピ

さよなら
を言いそびれたから
本当は帰りたくなんてなかった
日比谷線が
たくさんのさよならを詰めて
こうこうと光っていく

あの向こうへ行きたいな
苦しくなんてないけれど



ほとぼりはすっかり冷め
あなたの声はきこえなくなった
一人だということを痛感するために
わたしは一人なのだった

さよならは使い捨ての鍵
本当に出て行くのならば
もっと冷たい言葉をかける
本当に出て行くのならば
ドアからでなくてもいい





Represent for 小池房枝


自由詩 本当に出て行くのならばドアからでなくてもいい Copyright ピッピ 2005-10-17 18:19:30
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