真知子
ピッピ

くりくり
くるくると透明が
世界を構築している夜でした
星空が邪険に
その様子を見下ろしていて

「真知子」

と呼ぶ声がしましたが
わたしの名前は真知子ではありませんでした
もう名前を呼んでもらう人もいません
アンプをつないで
生きていることを証明するのにも疲れました
透明は朝の成分です

透明は朝の成分です
撥ね返そうとする星の光の力は
まったく役に立ちませんでした
透明は夜を侵食しながら
朝になっていくのです

「真知子」

わたしは真知子でした
昨日をふりかえりふりかえり帰ります
明日は果てしなく遠いくせに
夜風に流された髪に
においがうつってしまってどうしようもありません



自由詩 真知子 Copyright ピッピ 2005-11-07 22:52:20
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