歩道橋
松本 涼



遠い世界のてのひらで
君は自由と笑う


熱を逃がさないように
風に切られないように

この世界の足元に
君はそろりと帰る


次の予告もしないまま
無駄な言葉を恥じたまま

また君は時を滑る


僕の知らない太陽に
君は目を細める

君の知らない雲間に
僕は漂う


歩道橋のように
僕らを繋ぐ一瞬は

お互いを
別の場所へ導くだけ


擦れ違う僕は振り返り
君を攫う
てのひらを見た



自由詩 歩道橋 Copyright 松本 涼 2004-08-13 00:01:52
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