薄く醒めた夜
いつも話しかけては
ほどけていくような
曖昧な痛みは
そっと舌を噛んで
気付かない振りをする
斜面は転がるために
あるのかもしれないね、と
君は云った
すで ....
星が死んでゆくとき
個人が来て
、なぜ言うのかしら
欲しい欲しいください
して欲しいください
して
大人の真っ只中で純水を流そうと
躍起になって泣けば
汗ばむ肌はいよいよおかしくな ....
人は忘れる生き物だから
私は今 精一杯 貴方を愛すよ
口付けて抱き合って
貴方を想って泣いて泣いて泣いて
貴方に想われて泣いて泣いて泣いて
人が生きてるって尊いって思う
等身大の自 ....
真夜中にとめどもなく
浮かんでいる
多層の意識の吐露
舞台は悲劇と喜劇を目まぐるしく映して
時計の針だけを朝に近づける
虚ろな時間さえ
真実を想って
眠りに誘われ ....
毎日毎日、ことばを書く
わたしのことばは
なにもないけれど
わたしのことばは
生きている
わたしのなかから
わたしの外まで
わたしのことばは
続いている
わたしのことばは ....
岩本町駅は秋葉原駅のすぐ近くにある
けれどアキバ地区の裏にあるから
いまひとつ道を覚えられない
乗り継ぐ時は一抹の不安を感じながら
未だ見知らぬ街を抜けて
岩本町/秋葉原駅を目指している ....
奥歯ではじけた砂の音
うち寄せる波が
汚れた心も洗い出す
恋の始まり
誰にもバレずに
味わう秘密
破裂しそうな雲を
見てると
君を思い出して
隣の君は上の空
君と君の間に
....
はんぶんの優しさをください
背中の割れた
脱け殻でもよいので
*
すいかの臍に
耳をあてれば
野菜であるという宿命を
粛々と背負う
胎動がきこえる
まだ生まれてもいないの ....
去年の8月
私に弟は居なくて
見なれない背中の同じ制服と
小さなヒイラギに似ていた
温かな水面に脈動する夜のはじめを
昂る夏がその都度握り潰し
ていくような予行
あなたが代わるがわる ....
伝え切れない言葉が
君の瞳から溢れ出した
背中から湧き起こる
熱くて塩辛い波に巻かれて
僕は言葉を手放した
伝え切りたい言葉が
君の口元で閃いた
胸の岸辺を抉られたまま
....
猥雑な人の群がりを かき分けて
もう黄昏も過ぎ 日の落ちた道を
母と歩き続ける
露店の賑わいに 目を奪われながら
境内を目指し 参道を歩き続ける
子供の頃は 参ることよりも
....
零れては
消えていく
白い海に溺れていった言葉
伝えかったこと
教えてほしかったこと
霧に包まれたまま
インクに染まるのは
いつも
誤解
明日こそはと願いながらも ....
ひらがなを読みはじめたころだ
ぼくは母と一緒に千住の街を歩いていた
街角の壁に貼ってある
映画のポスターには男の人と
女の人の顔が描かれていた
そこに読めない漢字
「あのじはなんとよむの」 ....
きみに貸した吉本隆明
興味のそぶり感じたから
ぼくらは口実をこさえていた
どうでもいいような混沌に
希望のひかり点滅させていた
掌なんまいかの詩篇をそらんじてみせた
....
ふれたいなら
うんと手を伸ばさなくちゃ
あいつは透明な空に
すいこまれそう
蝉はおもいおもいに
自己主張をして
太陽はこれでもかと
あたしたちを焼いて
アスファルトを
ゆらめ ....
大気もみほぐしてくれて午後の三時
スプーンにグラニュー糖 山崩れる
陶器の肌スプーン当たる音
心の報告書から我一人
星は瞬きを禁じられ
月は白む空に輪郭を透かす
夜が死に
朝が生まれ落ちるまでの
混沌と森厳に漂う
四海の色を数える頂
一瞬は濃淡により誓われ
時は不動のまま移ろう
雲 ....
世界の尖端に
詩人のようなものが引掛かっている
重いカーテンをどんなに引いても
夜の窓から三日月がはみ出してくる
夢の過剰摂取の副作用が
紫色に垂れ込めてくる
中空には透明な旗が翻る
誰 ....
学生を叱るというのは
当世流行らない
人気商売
客商売ですから
それでも時に教壇で
膝が震える教壇で
こんなに居心地の良い場所で
僕に逆らっても そして
僕に対してさえも
....
「この深い泥の中から拾い上げた錆びたマイクで自己紹介です」
胸と胸を押しつけても重なれなくて 鼓動の数は決められていて
灰の舞うプラットフォームを走りだせばほろびる前の ....
そうめんたべて
日が暮れる
だらりの夏
空は高くてあっけらかん
海は遠いね
きらりの夏
夏休み入ったら
なかなか会えない
ふわりの夏
じっと睨んで
捕まえちゃる
ギラ ....
いやに煙くさいので
ジューサーは目をあけると
驚いて動けない
火があちこちで燃えている
ジューサーはそばに転がっている
オレンジに緊急事態をうったえた
オレンジも目をあけると
驚いて動け ....
{引用=おまえ
なまえなんていうんだ?
わんわんしかこたえられないんなら
いぬっころでいいか?
べつにばかにしているわけじゃないんだ
ポチとかじゃありふれてるから
いがいせいをねら ....
名前も知らない私達はいつも
同じホームで、同じ空を見ていた
ただただ何も映さない瞳で
夏を知らせるのはいつの日か
先生でも、カレンダーでもなく
飲料水の広告となっていましたね
満員 ....
夏休み前の教室で
ぼんやり先生の授業を聞いていた
教室の窓の外では
アブラゼミがうるさいくらいに鳴いていて
授業に集中できない僕の頭の中を
これでもかというほど占領していた
ジージ ....
僕は魚
水の中にいる
やわらかな魚
あまり泳ぎはしない
僕は魚
ぷかぷか浮かぶ
気楽な魚
水底までは潜れない
僕は魚
いつまでも魚
隅々までも魚
止める事は出来ない
....
ヘビ娘冷えた喫茶にメール飛ぶ
血中を青く染めぬき涼をとる
夏サヤサヤと街角に流れ
兵隊の首が屋根裏にゴロゴロ午前三時
大鍋に歴史煮る電磁調理器
首が実 ....
メッセージがいっぱいになっています
この世界はメッセージがいっぱいになっています
もう留守番電話も受け付けてくれません
あなたに伝えたいことも伝えられません
伝わらないことが多すぎて ....
少し鼻にかかった柔らかな声が
携帯電話から溢れ出して
飾り気のない長い夜を
暖かな色で満たしていく
他愛ない話の繰り返しよりも
ひとつひとつの言葉よりも
君の声を近くに感じていたい ....
例えればあなたは
この砂漠に育った
風の紋様のように
年輪を刻んだ
太陽の灼くように
苦痛と恵みとがあって
月の照らすように
癒しと哀し ....
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