ああっ、そういえば昨日だったんだよね
意図的に忘れてた訳じゃないし
これって何なんだろうね
「どうしてなんだよ!」
面と向って尋ねられたとしたら何て答えるべきかな
えっとさあ…
....
君は何を悲しむのか?
母の死
恋人との別れ
試験不合格
落第
解雇
君は何に期待をするのか?
滅入ったところで何になる。
それも来ては去る気分のひとつ
全ては来てはまた去 ....
東京にくると
かつて7年住んだとこだからか
いまだに成長してる都市だからか
なんだか照れくさい
いまもいつもそうだ
でも夜になると
ぼくは金魚になって
水槽の色彩に泳ぎだすようだ
友人 ....
冬の畑の渦巻き模様
雪原に融雪剤の渦巻き模様
美瑛三月の雪原の丘
たった十日の早い雪融けへ
スノーモビルによる散布
美瑛の美しい起伏は
パッチワークの丘
四月柔らかな陽光の中
....
タンスの引き出しを開ける
中には冷たい水族館がある
死んだミズクラゲが二匹、三匹浮いている
私は係員ではないけれど
係員であるかのように網ですくい上げる
これをどうしようか思っていると ....
みずすましが
水を滑る
虫の比重は
水より軽い
あなたの舌が
私を滑る
あなたの声は
水より軽い
あなたの中に
潜ろうとする
私の比重は
水より どちら
あなたの浅 ....
目を
閉じて
少女は
オカリナを鳴らす
誰かを
思い出してる
ひとつ
ひとつ
オカリナに
指を置く
何かを
思い出している
少女は
オカリナを
いつまでも
....
{引用=
海をぬけると…
ここは、違う国
この世界に一つだけ、二人だけの
バレンタイン・デー
今年はどうしますか、
きみの気持ちは かわっていませんか、
それならば、飛び切りの
....
掌が傷だらけ
彼女はきっと キスだらけ
巣くわれた 巣窟な躯は
昨日も 架空を跳んだらしい
チョコレートシロップに
足を染められたなら
ホワイトソースばかり
作りすぎてし ....
私しか「アトリエ」と呼ばない場所で
あのひとは輪郭のまま西を向いている
むせ返るような夕陽の匂いのなか
パレットで乾いた水彩は、それきり
藍が好きだったと思う
雨が好きだった ....
六月の陽が射して
雲を払い
風は流れて
雨が上がる
濡れたままの
あなたとわたしは
ひとりと
ひとりで
ふたりだった
ふたつ並んだ足跡を
ひとつひとつ消しながら
終わ ....
電線を泣かせるのは
木枯らしだ
冬のからだの
声だ
何も掴めないのは
街路樹だ
冬のからだの
手だ
キシキシと縮こまった
エンジンを震わせて
登り坂を這っているのは
....
朝のような
首すじだから
遠くから見つめている
階段をのぼっているだけなのに
人生だ なんて言っていいのか
自由と自由の間に
履物をそろえる
わたしを取り去った世界とは
ど ....
踊るように、街を歩くひとがいた。
両手首に輪を嵌めた、杖をつきながら。
僕の肩越しに密かな風をきり
横切った、彼の背中はおそらく求めていない
これっぽっちの、同情も。
不 ....
ピンクと灰色とブルーが混じり合って
あたりがもうすみれ色になっていた
春にちかい風が吹いた
LEDほどのつめたさが鼻を撫でた
きょうの天気がなんであったのか
わからなくな ....
私のおなかの上で赤鬼みたいな怖い顔をして
額の汗を拭おうともせず
力強さこそが総てと容赦ない恥骨の痛みに涙を流す
*
さきほどまでの赤鬼が嘘のような寝顔
横になって見つめれば不思 ....
恥ずかしい生命
僕はこれから全ての季節を殺しに行く
ようやく開いた花弁を
飛び交う鳥の嘴や羽根を
丁寧に剥ぎ時には乱暴に毟り取る
地面を這う影を燃やし
壁に貼られたポスターを破り
....
天空の青はただ、孤独のいろ
神秘の源泉より切り出された青い石は
月の砂漠を揺られ、世界を支える山脈に沈む夕陽を眺め、
地中海を越え、さらに遠い国々に運ばれるためにある
....
月がいやにはんぶんで
藍のそらのそこが白かった
それはやけにぎらついていて
たったひとつの天体のごとだった
放りだされたにんげんは
この世にふたりといなかった
アナルセックスいがい
か ....
白く獰猛な太陽は
月面の果てしない砂(レゴリス)に生命を吸いとられるように沈み
僕の銀色の船は水のない海(マーレ)を
宇宙の闇夜に揺られながらゆっくりと航行する。
僕は今、雨の ....
僕の履いてる靴の踵は
ぽっかり穴が、空いており
電車待ちのベンチや
仕事帰りのファミレスで
片足脱いでは
いつも小石を、地に落とす。
給料日が来るたびに
「今月こそ ....
片手ナベに
この世の終わりみたいな白い牛乳いれて
つきっきりで温める
ナベの内側にふくふくと泡が立つ頃
みじかい瞬間の想いを終了させる
いれたココアのせいで
白は濃く染まる
自分のためだ ....
都会を知らないじゃがいもは
わけもわからず大阪方面の電車に乗り込み
その行く先を疑いながら
車内アナウンスだけを頼りにしている
スポーツ新聞の大きな見出しは
仕事とばかりにこちらに笑いかけて ....
午前一時七分
ごらん
粉雪が降っているよ
まるで天使の羽が舞っているように
今は
僕らだけの窓辺
君と一緒に過ごしたクリスマス
最初の告白
....
ミミズはミミズクと音素を共有しながら
このように馴れ合っている場所では
すべてが熱死に向かっていると悟って
突如北北西に進路をとる
そのような映画があったのか小説だったか
詳しいことはわ ....
生まれる前日の私は
今日の日のことを知っていた
今日に憂いて泣くことを
先に私は知っていた
愛を求めて痛むことも
求めぬ愛に泣くことも
先に私は知っていたのだ
父よ母よ
あなた ....
あどけない湿度
風ほどけてそぞろに
空では光や影がであっている
来世への階段を幻視する
遠い空に
春に
屹立せよ風
自殺に憧れるその鼻を
岬のむこう ....
雪の上に残る
踏みしめた足跡
一つ増えるごとに
私は素直な心を
取り戻していきます
小さかった手が
だんだんと大きくなるにつれ
大きな愛情から
逃げるように
離れた強がりの私は
....
{引用=
君の指先が触れて、それだけで僕を揺らしてしまう。
君は知らないだろうけど、心の中ではずっと惑ってた。
世界にも君にも飲み込まれたくなくて、ずっともがいてた。
「ねえ、
もう ....
しんしん、と
二月の雪の中に 母は溶けた
ゆうゆう、とした その表情は
茜色のきおくと 夜の闇が混ざった
やさしい 混沌、だった
(冷たい、真っ黒な腕で その先で 飴玉みたいな瞳がゆらゆ ....
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