長いものには巻かれるほうだ。
だから君にもグルグル巻かれてる。
あんまりキツク巻かれたりして、イテタタタ…みたいな時もある。
時には撒かれちゃったりして、君の姿が見えなくなっちゃったりして困 ....
(輪郭)
こんこんと湧き上がる花の火の
みみへ伝わる振動が
つれてゆく
うまれたての湖の静寂
くちびるの隙間から
こぼれてゆく言の葉が
切りとるいっしゅんは
つめたい石に閉じ込 ....
たましいが擦れ合って
生まれた音は
いつまでも胸のきざはしを
昇り降りしている
忘れてしまおうと思った
夕暮れの端から
温かい闇を連れてその音は
何度でも訪れる
君の仕草が ....
動かして
もっといたくしてもいいから
すきと言ってくれたら
雪が降る
真夏の歩道に
きみの影がないことが
わたしの世界のすべてでも
祈っている
晴れた海は遠 ....
ゆく雲が
君を求めてのばした蔓から
ふわりと咲いた雪の花びら
彼方を白く染めるものの
ひとつひとつの小ささを
ひとつひとつの儚さを
まるく含んだ湿り気が
花の波に匂いたつ
....
あれはまだ私が空元気だった頃
当時はまだ必死で愛の歌を歌おうとしていたせいもあり
それをこっそり聞いた人がいた
別に私も隠したつもりはなかったし
むしろ、聞こえればいいと思っていたくらいだ
....
あの娘がレズだった
あの娘の恋人は女の子だった
昨日の夜
私はレズの女の子たちが出てくる小説を書いてた
一昨日は音楽の才能がまるで無いバイの男の子と電話していた
私は可愛い女の子が好 ....
目を刺すような光
烈しい熱風
体中が針で刺されたような鋭い痛み
何が起こったのか分からない
さっきまでのいつもの日常が生活が人生が
まったく変わり果てていた
焼け果て ....
ラグビーボール状の大地から すっくと佇む
月並みの強い風でも来れば吹き飛んでしまうとひとはいう
深夜の人気のない通り タクシーのライトが意識に撥ねる
歩き出してすぐさま 無心への欲求が増していく ....
僕はたくさんのひとを巻き込みすぎている
それでみんなを
幸福にしているのならいいのだが
ついて来れないひともたくさんいた
僕は反省もするし、確信もするし、
でもさいごには ....
ひそかな風にあおられて
梢の葉裏がひるがえる
なぜなのだろう なぜかしら
瞳の奥がかすんでくるのは
指先をのばしても
風はすり抜けるばかりで
あなたは黙って
傍らの草をむ ....
猛禽の切り取る曲線を雲に重ねてみると
南風の通り道がみえるだろ?
無粋な飛行機雲が一直線に
線香の燃えかすみたいに消えていく
なんべんもね、手をかざしたんだ
日差しが眩しかったからね
ふい ....
水槽を抱えて
列車を待ってる
水槽の中には
やはり駅とホームがあって
幼いわたしがひとり
帽子を被って立っている
ある長い夏の休みの間
ずっと被っていた帽子だった
水の中もやは ....
もう何がリアルで何がフィクションか
わからないくらい
嘘をついてきた
嘘で満たしたプールの中に泳ぐ魚たち
本当のことを言うと誰にも相手にされないから
作り笑いを浮かべて 話を作るのがうま ....
コーヒーのほろ苦さと
目薬の爽快感は
身体と一部となり呼吸する
デジタル時計に追い詰められて
日常生活とは何なのか、と
自問自答し仕事する
荒廃した感情を持ちながら
白昼夢に手を ....
わたしが無職だったころ
茹で卵と塩むすびだけはんかちに包んで
毎日河原へ出かけていた
それしかやることがなかったのだ
アンケート用紙とかに
無職
と書くのが厭だったので
仕事を探してはい ....
リリリリー
公共地下道に蟋蟀の鳴き声が
響き渡る
蟋蟀の
姿は見えない
最近の公共地下道は
明るすぎて人工物まる出しで
めまいがする
塾帰りの中学生たちが
とめどなくおし ....
飼い猫と捨て猫の違いぐらい
こんな私だってわきまえているよ
あなたに甘えられなくて
ミカン箱の中で過ごした一夜
大輪の花火きれいだとあなたは言った
そんな花火になりたくて
この街へ ....
青い夜は終わり
透明な朝が始まる
君への言葉は流れ
私のココロへと降り積もる
見て
あの遠くを照らす
紅いひかりたち
きんいろのオビが
君へと続いている
しろい雨粒は ....
花の後から雨が降る。
雨の中から花が咲く。
その後煙る雨が降る。
花に嵐の喩えでないが
さよならだけで死ぬものか。
さよならの後雨が降る。
いつまでたっても雨が降る。
梅 ....
夏の
匂い
蚊取り線香の匂い
湿っぽい冷房の匂い
熱くなりすぎた樹脂の匂い
アスファルトに大粒の雨
三回以上したあとの女の匂い
虫たちの
みどりの影
....
1 光求め緑透けるほど見据えている
2 潮騒に誘われてゆく雲の先
3 月の出が遠回りした道照らす
4 神 息し丸木船乗る海潮の青
5 褐色の肉体は笑顔 南の人
....
毎日
大学病院前の
ひろいバス停で
猫背のひと
みどりはつよく
陽にあたってきみどり
おばあちゃんのズボンは
昔からサルエル
床のタイルのここは
どうして一枚だけ
はげ ....
わたしたちは、ひかりに向かい歩いている
いつも
目にはみえない風のなかで
闇を求めながら
闇を求めているときでさえ
わたしたちは
ひかりのなかにいる
求めるというひかりに
....
何回目の向日葵だろう
わたしは到底知らないけれど
去年は台風で咲き損じ
今年は少しだけ多く芽吹いた
眼前の厚ぼったい黄いろ、黄いろ、黄いろ、
溢れる規則的な渦巻きに
いるのがおじいちゃ ....
君の首筋に
この指をなぞらせる
はやく
心臓をえぐりだして
左心室の筋肉の美しさを閉じ込めてしまいたいと思う
虚ろを見据えるその瞳は
もう二度と脳内と信号を交換することもないのだ
....
波が足下に打ち寄せる
私の足場を削ってく
疑えば
何もかも離れてゆくよ
波が足下に打ち寄せる
私の土台を削ってく
信じれば
必ず報われるとはかぎらないけれど
波が足下に打ち ....
ストレス性の胃炎で病院に行ったら
長生きしなさいって
医者がマルボロを一本くれた
やさしいねって言ったら
いいえ、仕事ですからって
カルテにロケットを落書きしながら言う
家に帰ると ....
三日月みたいな太陽だと
月が割り込んできただけじゃねえか
三日月みたいな太陽か
戦争なんかもそうなのかな
エゴの上にネーションがあって
ネーション同士のあいだに
ふ ....
私の友達と云う人々は、つきのひとが多い
いくつもの、ものすごいクーデターを隠し持ちながら
淡々と歩武を進めているのだ
夏の終わりに生まれるさびしいさびしい月下美人のように
ひっそりと、しなやか ....
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