砂浜に続く小さな花に
潮風が囁けば
あの日の
僕らのはしゃぐ声が
遠く、
残響していて
ふいに、
よせる波が
すべてを打ち消した
....
{引用=「愛してる」と言った人を傷つける
私はあなたの母
私はあなたのシスター
あなたの父親
私はあなたの子供
私はあなたの親友
私はあなたの恋人
私はあなたのブラザー
私はあなたと同 ....
君
がんばってる
うしろ ななめ上
気にしすぎて
追われているから
君
がんばってる
足元見えない
前も見えない
目を向けても
向けただけで
呼吸が止まってい ....
紫陽花のトンネルくぐる梅雨だめし ビニール傘が今日は好き
プラスチックの指輪をかざす薄暮の押入れ 胸にうちよせるうそつきの快感
ひとは、ただ生きることに満足できなくなった
鳥の羽をむしりとって背中に付けてみたが飛べなかった
馬の首をはね、その四肢を付けてみたが速くはならなかった
ひとは、騙され ....
眠れないまま過ぎてゆく
夜明けとともに
境界線の不在を知る
そのために
昼を住処としたわたしは
眠らない深海のさかな
見えないものは無いわけじゃない
何度もなんども、ただ気付く
深 ....
キミのあいさつは
風が頬をなでるみたいで
キミの哀しい歌は
心の奥で優しく響いて
キミの世界には
朝露のひとしずくにも光があふれてた
風がやんで
歌もやんで
静まり ....
まだ遠い夏を
まだ梅雨さえ来ない5月の空に描いて
貴女は揃えて広げた掌に息をかけ
ふうっと、飛ばす
果てしない宇宙の
一番身近な部分を
少しだけ切り取って描いた世界は
たんぽぽと
ラベンダー
....
さやえんどうのかわをむく
ゆびのさきがみどりになって
ぷんとあおくさいにおい
うまくいえへんこと、いっぱいあるよ
っていいたかったのに
なかなかいえなかった
....
このからだをすぎるものらの
なんとせわしく弱いことか
流木が凍り
骨の道に沿う
いくら望んでも
いくら願っても
手のひらより大きくなることはない
....
090521
五重塔と三重の塔
どちらが偉いのかと考えた
五重塔
がっしりと重厚な三重の塔
十兵衛が守る背高の五重塔
守られなくても強い三重の塔と
....
赤い電車も地下を走る
インバーターの
メロディーを奏でて
浅草/日本橋/銀座/新橋と
旧き佳き時代の繁華街を結び
雑多な電車が駆け抜ける
三浦半島から成田空港へ千葉NTへ
インタ ....
描きかけた まるい絵を
仕上げた事はなかった
曖昧な空に 風船を放つ
重さなどは いらない
この世界のたくさんの声が漏れて
帰り道、溶けそうな歌声に酔う
わたしはわずかに軽い
....
{引用=草っていうのは
好きなことばのひとつです
あといくつか好きなことばがあるのですが
そこに石があってもいいし土も
あるだろうし水たまりもあるし
雨がふっていてもそれはそれで
....
くるぶしを浸した
海の底の
遠ざかる砂に
裏返る
また少し君のこと
舞いあがる
風のゆくえに
どんな不自由をみたの
何もない空に
探してる
君の糸口
いくつかの土くれは
....
流星に穿たれて
君は人魚になった
まだ名前を持たない朝に
瑠璃色の鱗を散乱させながら
尖ったガラスの破片で
静脈をなぞると
霧に包まれていた避暑地の白樺の
腕から熱い血が流れ出した
....
遊覧船に乗って
母がやってくる
薄い和紙のような島から
幾重にも重なった白い線を越えて
母がやってくる
手土産は櫛団子
毎年のことだ
おれは知っている
甘いのだめなんだ ....
パン作りに悪戦苦闘する教室の扉をそぉっと開くと
可愛らしい眼でこちらの様子を窺いだす
仲間外れされているとかの感情より好奇心が勝っているようで
親指を口に含みながらきょろきょろしてる
手足 ....
羽生さんが氏名を説明するたびにやさしい口調で羽が生まれる
初夏がきてみかがみのような水田の空にむかって落ちてゆく羽
ケチャップの湖沼に沈める手羽先をお箸でさくのが彼女の ....
090517
お茶碗を落っことす
がちゃんという音
鋭い破片が飛び散って
皮膚を破り
鮮血を散らす
のはずだったのに
を期待で ....
春になったら
当たり前のように聞こえてくると思っていたんだ
にわか雨と土の香
遥か陽射し、青々とした歌
太陽が落ちた場所から染まっていく
冷えた腕を隠す前に
呼ぼうとして心に刻んだ名前 ....
僕たちは
諦めることに慣れていたのかもしれない
だから
島の美しさとか
戦の悲しさとか
人の優しさとか
全部全部押し付けて
なけなしのプライドで生きてきたのだ
....
本に読まれるな
本を読もう
服に着られるな
服を着よう
時間に追われるな
手玉に取ろう
難しい。できれば笑顔。目下の目標。
風をひとにぎり
テーブルに集めて
太陽のひとかけらを
ポットにそそぐような
やわらかな
白い花を添えて
そうして
優しく
わらうのです
しあわせは
こんな場所にあると
私は思 ....
スライドする
月が笑う
夜の窓辺
憂鬱を孕んだ
胸が冷える鼻先
わたしはわたしの行方を
ポケットに押し込んだまま
吸い込まれる
終電の渦
たった1mgの錠剤で
繋ぎ ....
お酒は重めのモルトがすきで
お菓子ならビターチョコレイト
煙草は赤いマルボロ
食後はコーヒーにお砂糖を入れて
ボトムはいつもジーンズ
バイクはマグザム
サングラスはポリス
ネックレス ....
闇だと思っていたのは
毛布にくるまった僕
悲しいくらいに晴れ渡る白黒の世界
吐き出す不満と
ぼやけてく視界
もう少し深く
潜り込んでいけば
二度と戻れない
自由の世 ....
千面体は ひかりを砕いてまきちらす
こまかい粒子になったひかりの粒は
ひとつひとつが硬質なつぶてのように
まわりにあるすべてのものを うち叩き続ける
そのおとは
くも ....
新しいドライヤーだけれど
白くてやわらかい
両輪がふたつに割れる
夢に見たんだよ
耳の後ろの痛さを
口ばしる
側に
置いておいてくれる人の大切さで
判ろうとするのは
恥ずかし ....
たとえばあなたの
ことばひとつひとつが
あたしの細胞の
いちいちに染み込んで
思想からからだまで
みるみる変えていくことや
うまれて初めて
悲しみからでない溜息を
つくりだして ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40