「東」


筋違いの愁いを下瞼に溜めたまま

勘違いの寝グセを直そうともせずに

東のゲートが開けば光とともに流されていく

煌めいているふりをしながら流されていく



 ....
トビが啼かずにまるく飛んでいる
白い朝の港の防波堤は
カラスの群れで
黒く染まっていた

ひゆん ひゆん ひゆん
と息をしている
ひゆん ひゆん ひゆん
と啼いている
ひゆん ひゆん ....
出張さきの宴席で地元の方々が
茶わん蒸しの唄をやってくれた

いつもそれを覚えようとするのだが
芋焼酎がぬけた朝には忘れてしまっている
だからその晩はDVDをおくれよと頼んでおいた

翌 ....
歩行する足と足の間に光は群れて


喉仏に蝶を飼う人


コツコツ ブーツの足音 世界が美しい


海いつとなく揺れ 波のはしる


詩歌集見ると舌舐めずりのロクロッ首

 ....
乳白色の制服がやぶれ去り
ひとつだけ取り残された違和感
ありふれた毎日を引き延ばしてやれば
いとも容易く包み込まれてしまう
そこまで小さく押し固めることが出来たのは
紛れもなく私自身だった
 ....
ジュリアーノ・ジェンマって俳優が好きだった
目深にカウボーイハット被り腰のコルトに手をやる刹那
呼ばれてもないくせしてサボテンの根元に転がる根無し蓬がわたしだった

ベッドのなかでもブーツ脱が ....
それは
口づけをせがむときの仕草で
そらに生まれたのでした
ふわふわと漂うようままに
虹色に、つややかに
とらえられない言葉で
とらえたまま
雲のすきまに
ずっと住んでいると
思 ....
私は私のできることをしているだけ
シンプルなメッセージはしかし
どこかで諦めながら、なお光を求め
小さな力/を信じる/に祈る/モノの
清々しい覚悟を露わにして
背筋を伸ばされる気がしたんだ
 ....
きいた風な言い回し、
人にそれを突きつけて
ああだこうだのお節介
誰も見向きもしないもの
書いてみたって白々しい
自己満足にもなりゃしない。

イメージ不能な自由律
人を小バカにす ....
「妖」


熟れた日常を引き剥がし

馴染んだ名前を脱ぎ捨てて

あなたの熱は儚く溶けた

残り香だけを朝に置き忘れて




「怪」


仄暗い四辻を右へ折れた ....
青い空
うろこ雲
空の端で
太陽はオレンジ色に染まり
今日にさよならを
告げる

歌を口ずさむ
随分冷たくなった空気と混ざり
微かに香る
金木犀を辿って
道路沿いの並木道

 ....
夕刻の列車
窓に頬を寄せて
待ち合わせの停車駅で
夕陽を眺める
ほんの九分間

たとえば
一日を振り返ってみると
夕食の献立が
浮かぶ
なんて、便利でいいのに

どんなときも
 ....
夜明け前、一本の道を歩いている
ほの暗い中、歩みに合わせて
さまざまなものが流れ来て
そして去っていく

どうしても分からなかった
いさかいの理由
あの時、君が呑みこんだ言葉
失くした ....
きょう
夕やけを見ていたら 空が
あかい舌をだした


飛行機にのって
船にのって
汽車にのって
ここまで来たんだよ と彼女はいった


空と海と陸地と
そんなにいろんな乗り物 ....
なぜかしら
私には聞こえてこない
どうしてかしら
あなたには聞こえない

携帯の着信音
サイレントにしてないのに

雨の音が
消しているのね
昨晩の
私たちの小さなすれ違い
排 ....
玄関は春です
別れと出会いが
毎日
飽きることなく
繰り返されるから
わたしは
いつでも花を飾ります
薄紅色の花が
一番似合うと思います



浴室は梅雨です
温かい雨が降る ....
傘をさした 太陽

ボクの前を 月

真夜中の 道化師

降らすは 色のない雨

流した涙の分だけ
あなたの浮力になればいいのに

空を 静かに
泳ぐ さかなたち


息 ....
二十歳すぎの男が
号泣という言葉にふさわしい
滂沱の涙を流して
人目を憚らず泣いていた


その涙は僕には絶対に経験できない

断言出来てしまう自分のこれまでの生きざま
が悲しいの ....
ときどき僕は
草のなかを歩いてみる
さらさらと風が流れてゆく
草穂が膝頭を撫ぜれば
なつかしい思いに満たされる


ときどき僕は
人に話しかけてみる
ときどき
誰とはなしに笑いかけ ....
泣いて
泣かないで
つめたい雨が心臓に流れこむ
あなた
わたし
だれか
いいえ あなたの
熱い 肩や指先の
感触たちがおしゃべりする
わたしのからだに
夏が帰ってきたみたいだよ ....
疲れ果てた顔つき
何の躊躇いもない秒針が羨ましく
刻み込みのリズムを子守唄にしたら
左手の力が抜けてゆく
ほんのわずかに視界が歪んで
部屋を真っ暗にしたくなった


家の裏にいた黒猫を ....
うつろな午後
昼食を終え
同じような犯罪を
同じように報道するワイドショーを消し
読んでしまった新聞を 畳みなおす
新陳代謝のように続く 不要な情報のループ
その繰り返しの外
離れた ....
魚な感じの魚が泳いで行って
すれ違いに
自分ってなに?ってって
金色?
赤色?
なんかそんな色で
キラキラじゃ無くって
ギラギラって感じで
瞬いて
眩しくて
眼が痛くって
喧しく ....
摩擦子音+母音の
「す」
を発音する時の
舌先をすり抜ける息の
すがすがしさが好き

破裂子音+母音の
「き」
を発音する時の
喉の奥で突き放す息の
いさぎよさが好き

「すき ....
十月の午前の窓は開いていた

どこか遠くで冷やされた風

部屋はあのときの青に澄んでいた


十年ほどまえ商用で行ったアルゼンチン

仕事を昼までに終え

通訳兼運転手の日本人が ....
どこまでも行くよ
そう言う必要のない
今はとても
穏やかに空の下で寝転んでいる

農家は汗水たらして
作物を実らす
我が家
みたいだな

家族の汗の染みこんだ洗濯物
放り込ん ....
五時半暖簾をあげる女将

 「やってるかぃ」
 「今あけた(開店した)ばかりだけど
  早いのね」

 「ご挨拶だなぁ
  今日は涼しいから燗つけてよ」


とり鍋ぼたんの斜向かい ....
手の甲ではぜる、雨粒の
ふれた先から
鈍い痛みをかかえだす
埋もれる町並み

 *

葉脈からめぐる
漸近線は
まのびしたまま
行方知れずへ

 *

花を手折るように
 ....
空の青さを集めれば
胸に芽吹いた
白が
私の体をいつか覆い
そのまま溶けてしまうのかしら

ゆっくりとしたリズムは
体の奥から
絶えず聞こえている
耳を澄まして
目を閉じて
身を ....
雨 降り始めの音 聞き洩らさず


寝室で眠っている犀を起こさぬように


音楽がそう聴こえたら大人だろ
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タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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