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手の甲ではぜる、雨粒の
ふれた先から
鈍い痛みをかかえだす
埋もれる町並み
*
葉脈からめぐる
漸近線は
まのびしたまま
行方知れずへ
*
花を手折るように
....
(輪郭)
こんこんと湧き上がる花の火の
みみへ伝わる振動が
つれてゆく
うまれたての湖の静寂
くちびるの隙間から
こぼれてゆく言の葉が
切りとるいっしゅんは
つめたい石に閉じ込 ....
はんぶんの優しさをください
背中の割れた
脱け殻でもよいので
*
すいかの臍に
耳をあてれば
野菜であるという宿命を
粛々と背負う
胎動がきこえる
まだ生まれてもいないの ....
舌の上でざらついたようかんの甘さは
窓辺でゆれる風鈴と似てる
初めて泣きながら目覚めた朝に
やさしい気持ちのありかを知った
あんざんではとても追いつかないくらいの
雨の染みた ....
うすむらさきの雲の向こうで
夕日がしずむ
水羊羹の表面を
スプーンですくうように
なめらかな冷たさを泳ぐ
信号機が ぱっぽう、と
くりかえし諳んじて
歩道橋はひとの重みにたわむ
み ....
たわむれに/リングノートを引き裂いて張りつめる夜に恋路占う
低滑空、保持をするのは難しく 人目を盗みたまに足着く
袖通すたびに締め付けられる呼吸 を、掻きむしっては{ルビ爛=ただ} ....
えんぴつの先をねぶると
木のぬくもりと
黒鉛のつめたさ
三寒四温だよ、と
町角ですれちがった
親子の会話が
耳に残る
繊維に染みわたっていくのは
甘みではなく、
苦み ....