水と同じ手をかざし
流れを曲げる生霊が居り
声と光を抄いとり
からのはらわたをのぞきこむ


手のひら 手の甲
水車の回転
既に無いもの 失いものの影
ひとつ余分 ....
あなたのライナスの毛布は
目には見えない形のない
責めることのない想い人
誰にだってある。あってほしい
毛布がわりに
こころからやすらぐもの
かぼちゃ大王を信じているライナス
母性をくす ....
10歳も年下の詩人の言葉。

訳知り顔で愛をかたり
人の眼を凝視する。

僕は見透かされている。
ただただ
負けまいという10年のキャリアという薄っぺらな矜持を持って
対峙する。

 ....
ありのままに
よごれていけたら、いいね

きっと、
すべてを
にくめぬように
そまればいい、
ただ

たとえ
だれかが
よごれ、とよんでも
それはかならず
うつくしい ....
 
存在しない
姉について思う

父が父であるとき
母が母であるとき
姉はどこにも存在しない

ある日子供が生まれた
ある家で
そこはわたしたちの家
わたしはそこに
存在しない ....
切れ切れの落ち葉は切ない
道の脇に沈みこんで
自分がどこから来てどこに行くのか
道行く人にかさかさと問いかける
けれど誰もその葉が何の葉であるかを知らない

女は三輪車に乗る子どもを道で遊 ....
          090205




祐乗、光乗、宗乗、三作の三所物
カラマンダーのかけ声に
驚いた振りをすると
乾いた金明竹が笑いかけるので
知らない振りをして
姿勢を正す
 ....
みずいろ
誰かの真似した色がこころに広がるの
じぶんはどこにあるんだろう
みずの中探しても
ゆがんでわかりゃしない
みずの中探しても
浮かんでさがせない
そらいろ
すきとおるように広い ....
水をあげ
花をあげ
鉄砲をあげましたら
喜んで命をくれまして

守りたくなってしまいました

と、古い手帳のすみに書かれてありまして
その言葉は
傷や破れがありまして
もっと破ると ....
 
小指をにぎる
強くて
弱い力で

たしかに
そこにいる

母さんの
子でよかったと
思う日も来るだろう
君にも

けれども今は
ひとまず母さんに
なれたみたい
よか ....
甲子園に行くためには名投手が必要である
バッテリーの才能がずば抜けていれば
守備や打撃にさして強みが無くても勝ち残っていける
二人の青年が呉琉紺駄高校に入学し、万年予選敗退だった野球部で
その ....
               090202



正直者の人間宣言
錯覚から生じた擬態
みたらし団子に群がる
蟻を見つめながら
不覚の覚悟を自覚する家の崩壊に伴う不確実な意識
覚醒 ....
 
心臓にも
記憶があるらしいんです、と
その透明な
心臓をもつ少女は言った

にくたいが
ほろびてもまだ
記憶というたしかなものが
あったとは

わたしは思って
しかし
何 ....
空に浮かぶ星に自分の名前をつけても
決してその星を手にすることはできないように

ただ遠くから眺めることしかできなくて
諦めることしかできないこともある

               ....
発せよ記せよ ことば ことば ことば
口唇のぬめりを 指先のしなりを 以って

意識の解体が世界を懐胎し 生れ落ちた ことば

語れよ残せよ ことば ことば ことば
眼球の視矢を 土踏まず ....
動物がほとんどいなくて、すきっ歯な林だけがあるような
そんな植物だけが林立する場所にも、空き缶は捨てられていた
その缶を水が徹底的に錆び付かせ、風が土に埋葬した
泥に溺れそうな缶詰の、淵が顔を覗 ....
 
ものごころついたときから
あるもよおしものが
そこでおこなわれていて

開催期間:ひとのきかん

とかかれてあるので
ふしぎにおもい
うけつけのおねえさんに
ひとのきかんとは
 ....
夕暮れの水位は
さざなみ
浅い胸に、さざなみ
空白で埋めたはずの
小さな画布が
素朴に満ちてゆく

海面に浮かぶ
危うい杭に
うずくまる鳥の
膨らませた羽から
零れる文字のやさし ....
生まれたての朝が
静かにベールを脱ぎ
胸の時計が刻んだ
コマ送りの世界の中で
思い描いた風景と
引き込んだ色とが
混ざることを拒んでる

緑に囲まれた空を
鳥たちが飛ぶことさえ
切 ....
東むきの窓から見えるマンションは
夕陽を眩しく浴びて金属質に輝いている

けれどそれは束の間のこと
引き潮のように暖色の光は消えていく

夜を招き入れるような小鳥たちのさえずりが届くと
 ....
冬のしぶきあげた 波を
しろいくじらが旋回 押しこめて
少しずつ降ってくる
わたの毛はほつれた傘たち

わたしのしもやけの手
いつか 治るよ
太陽が言った
だから信じてみる


 ....
 呼吸を取りに帰る
 瞬いてしまうまぶたみたいに
 あらがえないこともあるのだった
 息をひとつ
 死んだ誰かへ
 捧げるわけでもなく
 そこに酸素があるぜ、
 ということ
 ....
板のような
霧のなかの
岩をめぐる
冬のまぼろし


応えは応えつづけている
応えられぬものはないかのように
ひとつひとつこぼれゆく
ひとつひとつ消えてゆく

 ....
 明日の朝一のサプライズを準備していたら遅くなってしまった。その甲斐もあって机の中の仕込みはばっちりだ、驚く顔が目に浮かぶ。
 教室を出ると、職員室の方に先生達の気配がある位で、校内にはもう殆ど人が ....
 

野菜スープを
朝食と同じように,出す
雨は止み、妻帰り来る
夕食時

木曜日は絵を描く日
薔薇を四輪
妻にはまだ見せぬ
二人で外へ、傘をさす

雨の木曜日
木曜島という ....
仲違いをした日の夜には静かなキッチンで蝋燭に火を灯してしりとりをしましょうよ
私がまずあなたへ語りかけるの
「あなたはまるでタロットカードの太陽神のように輝いているわ」
「わからないな、 ....
雪の中に埋めたのは
秋に散った
桜の葉っぱ

雪の中に埋めたのは
頑なになった
感情の石ころ

雪の中に埋めたのは
大きな白菜
真っ白な大根

雪の中に埋めたのは
恋焦がれる ....
あいにくの雨。オマケに少し肌寒い。
普段通ってはいるものの、降りるのはホントに久々だ。

傘をささなきゃならないから、距離がとれてちょうどいいかもね。
街の光がいつもより沢山眼をに ....
 
雪のひとたちが
亡くなってしまった
雪のひとの魂を
雪の中に埋めました

雪のこどもは
なぜそうするのか
雪のお母さんに聞きました

雪の中に埋めたのは
またいつか
雪に魂 ....
寒い冬の日
凍った池の前で
あなたと二人
過ごしていた

言葉もなく
音もなく
赤色や黄色や茶色の
葉に敷き詰められた水面を
私たちは見続けていた

陽の光が緩やかに傾きかけた頃 ....
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