戦うことに理由を求めたのは

さて、何時の事だったろう

生きる事が戦いなのだから
産まれる前からすでに戦いは始まっているものを

今更
理由なんて
意味を持たぬというのに




キミはどうしても
何かの理由が欲しいのだね

理由を求めるという事は
自分なりの正義を求めるという事だ

誰かを傷つけてもかまわないという免罪符を
左手に掲げるという事だ

それもいいだろう

キミの様な人は
そうでもしないと生き残れない
ほとんどの人間がそうなのだから
そんな苦しい顔をする事は無い

キミは守りたいものがあるのだろう
その為なら牙を剥くのも仕方が無いと
自分自身に言い聞かせるのだろう

けれどこちらの事情は相手には関係無いだろう？

そこにあるのは
キミが誰かを傷つける
という事実だけだ

またそんな表情をして

肉食動物が草食動物を攻撃する時に
そんな事考えるか

弱肉強食だなどと
後から人間が免罪符を与えたがるだけだ

生き物の命を絶ってはいけないと
キミは絶食して飢えてもかまわないかい？

地球温暖化防止の為に二酸化炭素を吐き出すのを
キミは止められるのか

ヒトだから理由が必要なのだと
キミは言うけれど
ヒトは自分が存在すること自体が
悪なのだと知っているのに
浅ましく生きている唯一の生物なのだ

それでも
運命だか
遺伝子だか
神様だか
偶然だか
なんらかのせいで
奇跡的に生まれてしまったのだから

もういい、と神様に肩を叩かれるまで
浅ましく生きろ

格好のいい理由なんて
後付けで沢山だ

そうだろ？