しがらみが
やさしくて痛い
振り切ってしまえばいいのに
そうできる青さが欲しい
飛び込む勇気をください
たった一言でいいから
振り切ったら
新しい世界が待っている
知っ ....
ひとしずく
ほほの目方をふやしてく
ひとしずく
夕陽は目方をへらしてく
ぼくらは肯いた
つつむ
こころを
その手で
そっと
つつむ
いのりを
ひとり
その手で
つつむ
その手は
あの手を
つつむ
そして
手は
ひかりを知った
....
ポテトを食べている
短いポテトをつまんで拾いながら時々長いポテトを食べる
店の中は客でいっぱい
僕だけがひとりだ
一人でポテトを食べているのでいろんなことを考えるほんとうの思考は無心のときし ....
私の中に
深く 深く
埋められたものたちを
日々に 深く
掘り返している
とても
大きな穴が
あく
おまえは いらない と
なにか かたちのないものが
あらわれて いいつのる
そんなことはない
わたしは ここにあるべきだ と
わたしも ぶつぶつと
いいつのる まいにち
それでも ....
掴むべき対象は、いつでも飛んでいってしまう。
霧がかかった森の中にいるような感覚
自分は存在しているのに、包む環境があやふや。
そのうち、自分すらも靄がかかってしまう気がする。
....
小さな庭に
骨が積もった
息子は
動物だと思っていた
獣のように叫んでいた
その時あれは狂気そのものだった
何故そうなったのかは覚えていないが
あれが何やらわめいていたのだけは覚えていた
そしてそのままベッドに倒れこんで
今ようやく ....
夕陽のあたる背表紙にする
「た」行まで来た
この書架で
冬も越す
みず色の空に 浮かんだ
白い月
明けたばかりの朝
洗濯物を 干す
厚着をして でた外は
首もとから 冷えていく
夜を終えた 世界に
濡れた 竿から 雫が 落ちる
寒 ....
からだをまるくちぢめて
うたえないうた
かけないことばを
つぎからつぎへと
もてあそぶまよなかに
ただひとつのこる
ほんとうのことは
かなしい
かなでてしまえば
もうそこには ....
都市では
すべての生きて動くものはその死の時に
鳥によってついばまれる
そのようにして葬られる
人も 例外ではない
夕陽が昇るように沈み
そのかたわらでくるった金星が
美しくほくそ笑む時 ....
いちばんうつくしいものは
いきて うごいているもの ですが
つかれはて とまりはてて
くずれさってゆくものたちの
なんという いとおしさ
なごりのかたちばかりを
とどめて うごか ....
すべてを失いました ほんとうにすべてです
そこで手に入れたのは、ちっぽけなタネです
でも、信じてしまう
みんなだってそうだと思います
だから、たいせつに水を与えつづけます
一日はそのように始まって
一日はそのように終わっていく
きっと
部屋の隅、テレビの上
ほんの少しの暖かさ、の裏側で
空が重心を失って色を零していく
十時十分
並んでいる時計の ....
傷ついて
しまった者
遠くからみてる
見守っている僕は
朝
傷だらけの朝
まどろんでいる
ねぼけた手つきで
昔を
まさぐって
あんまり欲情しない
大丈夫かな
おんなのこと思う
....
秋のこがねに
ざざめく山の
ざんざと落ちる
もみじ葉に
分けいりたくもないわと
言うに
うでを掴みし
指の強きに
あゆみ とふとふ
ついて ま ....
薄暗い軒先で
植えてもいないのに咲いている
高貴とは程遠い
紫の嫌な匂いを放つ花を
じっと 見ていた
「毒に彩られた花やね。」と教えてくれた
少女の丸くかがんだ背中から
....
雲色のインクで
書いた文字は雲色
すこし湿った
すこし陰った
僕の色
その雲から雨が
落っこちないように
こらえながら
こらえながら
がんばりながら
がんばりながら
....
浮浪者がひとり
ホームの支柱に寄り添いながら泣いていた
灯りを落とした回送列車が
静かに通り過ぎていった
駅員がひとり
チリトリを持ったまま
トンネルの奥底を見つめ ....
(ここでは宇宙をスプと言います)
最前列右の左のスプを見た見たもの全て衛星で死亡
(ここでは宇宙をンと言います)
ンの声がロケット破壊しつくしてβ・γ線上の{ルビAir=アリア}
....
一つ
二つ
数えながら歩いている
わらった わらった
影を数えている
花火の影が網膜にちらついているので
手をひいて二人で夜道を帰った。
消えいくものはすべて
かつて私 ....
影を切り絵にする
凍てつく月夜
わたしの秘めた暗闇を
湿った地面に縫い付ける
月をみたか
わたしには
眩しすぎる
宇宙は極上に澄んでいます。
美しい漆黒に漂う、
つやつやした青色の星は
エイリアンの観光名所になっています。
月から地球を見るのが
最も美しいそうです。
宇宙は ....
季節は
数式みたいで
夏から戦争を引けば 秋だ
傷痍軍人は退場を
嫌って
冷や冷やしている
彼らは
草むらを
不眠不休で
コオロギを集め
どぶに捨てた
月曜の晩
フェリーに ....
真夜中の
骨の色素が熱を帯びて
暗く
暗く蒸発してゆくのです
未だに守れぬ約束へと
恐ろしく白い
わたしの骨は
いったい何を支えている
夢か幻か否現実か
未来は己で決める
....
雨の森 羽の音
言葉にこぼれる
声の水音
透きとおった殻のなかで
生まれ出ようと旋るもの
空が融ける
雲の一角
灰の放射が
ひとりのまぶしさが
おそ ....
破裂する宇宙服からこぼれ出すはるかな草原駆けゆく少女
一片の光は遂に熟れ過ぎて落下してゆく宇宙の果実
むらさきの虚無が飛来す青空の上で吐血す宇宙飛行士
太陽のひかりときお ....
焼き鳥が
香ばしい匂いを振りまきながら
暁の空を行く
カルシウムでできた複雑な骨を失い
たった一本の竹串を骨にすることで
初めて得た飛行を
力の限り大切にしながら
もうコケコッコ ....
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