今 私の中心に私はいない
好きだった男に 中心を持っていかれて
棄てられたから

私は スーパーのゴミ箱や
彼とはぐれた バス停に
私の真ん中が 落ちていないか探し歩いた
寂 ....
背後には柱が欲しい
何だか安心できるから

椅子か座れる何かが欲しい
そこで安心出来るから

甘えと不安の欲望の蔓を
伸ばして巻き付け依存する


寄りかかるものが無いと
 ....
あなたには、恋人がいますか。
掛け替えのない、人ですか。
賭け甲斐のない、人ではありませんか。
一緒にいたいと、思いますか。
ずっと、一緒にいたいと思いますか。
ずっとというのは、いつまでで ....
おしるしが来てから二日後
夜、下っ腹に引きつる痛みがあった

陣痛 前駆陣痛か はたまた胎盤が剥がれてしまったのか
ネットで調べる仰向けの オロオロ妊婦

これは我慢できる痛みだから 陣痛 ....
今のところ
許されて生きている

愛されて生きているとも
言うのかもしれない

幸せ者なんだろうと思う

でも
幸せだなあと心から思うには
私は歪みすぎていて

それはまったく ....
やまいは 至る所に
色をぱたっぱたっとつけていって
足あとのように
きれいに残っている
雨にぬれて溶けて
しまえばいいのにね
つながり つながっていく私と
切れないきずなを
ゆるしてね
少女の耳は
たくさんのこころをきこうとして
とっても
おおきく
あたまから
ひらきました。

中心部は
とっても
あつかったです。

あついあつい熱をじゅうじゅう持って
みんな ....
誕生日
私の多面体の面が
またひとつ増えた

生まれた瞬間は
まんまるだったはずなのに
歳を重ねるごとに
ひとつずつ面が増えて

今では寄せ木細工にも似た
得体の知れない多面体 ....
あなたはそれを
必然だと言う
わたしはそれを
偶然だと思いたい

あなたはそれを
どうしても運命にしたいらしい
わたしはそれが
無数の枝分かれの末端にしか見えない

この世界で ....
私は何も知りません
生きているか死んでいるかなんて知らないのです
私が知っていることは
この世界にいるというだけです
ただそれだけ
かるく、かるく、
つかれる羽は
かつて
どこかの空でした

あかるく、かるく、
つかれる羽は
かつて
どこかの水でした

まあるく、まるく
つかれる羽は
かつて
どこかの ....
お母さんが少女になった 
僕は大人になった
庭に種を植えよう
お母さんの好きな向日葵が
今年の夏に咲くように
沢山沢山植えよう
種が沢山落ちて
再来年にはきっともっともっと咲くから
二 ....
何年ぶりだろうか
生まれ育った町内をあてもなくブラブラと歩いた しとしとと雨ふる朝方に
こんなかたちでここに来るなんて思ってもみなかった
逃げるように戻ってきたし
ここにはもう僕を迎えてく ....
明るくふるまうのは
終わりを予感するから
‘おびえている’ なんて
いい気にさせたくないから

言いかけた言葉を
飲みこんだきみは
カモメを指さしてごまかす
中途半端なやさしさ
 ....
何か自分に
とても
くだらなく、
そして
やさしいことを
してあげたくて
3歳児が寝静まってから
缶ビールとスナック菓子を用意した
酒は苦手で飲めない
けれど
時給ベースの仕事で
 ....
ひとかき
ひとけり
その分だけ進む

ひとかき
ひとけり
私の力の分だけ進む

ひとかき
ひとけり
私が今出せる力の分だけ進む
それ以上でも
それ以下でもなく

しなやかで ....
お母さん 今日で8年経ちます
さっき シロップ入りのアイスコーヒーを注ぎました
ドトールのではないけれど

どうぞ飲みに来て下さい

   私は一分おきにグラスの減りを見てしまう

お ....
真っ赤な林檎の皮をするり剥きますと
白く瑞々しい果肉が微かに息づいて
頬張れば甘く酸っぱく
口いっぱいに広がっては
心地良く渇きをいやしてくれるのです

そのおんなもまた
高い梢に輝いた ....
土曜の朝 午前6時
寝不足気味の眼を擦りながらカーテンを開けてみれば
そんなあたしを嘲笑うかのような 雲ひとつない晴れやかな空


昨夜食べ散らかした 冷めてしまったデリバリーピザ
コロコ ....
鈍い痛みの中でめが覚めた
鳥の首を絞める夢を見た
窓の外はいつもよりも薄暗く
雲泥がたちこめている
分厚い緑色のカーテンは
陽光を頑なに拒む鎧戸のようで
その重たい質量に安堵する

 ....
本当のことがなくなって
何の味も感じない

これからどこへ行こうかな
そんなことを考えていた

いつでも空っぽな自分は
だからこそ必死にもがいて
何とかこの場を離れたくなくて
すべて ....
青い空が続いていた
僕は一人で長い間バスを待っていた気がする
疲れていた
一人で考えることの全てが虚しい


波の音を聴いた
そこへ緑の山の匂いが漂っていた
きっと もう訪れること ....
雨の音が聞こえる
雨が礫(つぶて)となって降っているのだ
雨の音が聞こえる
冬の雨は冷たい
雨の音が聞こえる
部屋の中にじっとしていられない
雨の中を歩くしかないのだ。

雨の中を歩く ....
わたし時間です
あなたの時間です
わたしはあなたの中にいます
だから
わたしとあなたは同じです

わたし時間です
似ていますが痴漢ではありません
でもあなたはわたしがうとうとしていると ....
僕の中の水
君の中の魚

穏やかな流れにさえ
魚はとどまらない

僕の中の土
君の中の花

地面に黒い影を落として
花は咲き誇る

僕の中の空
君の中の鳥

どんなに ....
君たちは分裂して数を増やす君たちは分裂して夢を数え上げてく、
何しろ満足しない方法を覚えたときから、
君たちは足を増やして切り落として、
切り落とした足を食べて生きているんだから、
そのために ....
雷師なぜ泣く。

何を呼んでいる。

何を示している。

 わたくしは、ここに居ます。
 射られるのには、きっと、未だに足りない葦。

雷師なぜ泣く。

昨夜から目立つ様に稲光に ....
理科室の骸骨が首を吊って丸さだけになり
一子は念願を遂げた
まるまると太った体を持て余し気味に
廊下をコロコロと転がる
ひとクラス四十二人分の牛乳瓶を運ぶ二人が
一子に出っくわしてぶちまける ....
うれしかったので
なみだがこぼれた

かなしかったので
なみだをこらえた

ぱせりせいじ
ろーずまりあんたいむ

あいしていたので
だまっていた
月は敵でも味方でもない
その光は冷え切ったこの身を温めてはくれない
ただいつも美しく
いつも見つめてくれるだけ
月は訴えることはしない
だが証人にもなってはくれない
寡黙な隣人だ
星もそ ....
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