何千という群れを養う
豊かな牧草地の中で
音楽は再生した
静かに呼吸しなければ
その音に紛れてしまう
星の明滅よりも微かに
息をひそめて


やがて高音部が聞こえてくる
そして低音 ....
たとえば少年の溜息を
たとえば少女の独白を
空は拾いあげるでしょう

空にはみんなの星がある


たとえば背広の焼酎を
たとえば情婦の香水を
空は拾いあげるでしょう

空には ....
 平均台の上を歩くみたいに、生きてる


 両の手を横にのばして、バランスをとる
 あせってはだめ
 はしるなんて、なおさら


 足もとばかり、見ている
 けど、前を向いたほうがキ ....
 


    すべての星をつないで  ひとつの星座を作りたい


    火でできた椿の  輪を作りたい


    空に映る地の原に  咲く花を見たい


    海に落ち ....
いつもの駐輪場の屋根の上で
虎縞が昼寝をしていた

あいつめ、昨日俺の前に来て
にゃあと鳴きやがったが
今日はすやすやか

薄目を開けても
何もやらんぞ

ちんまりと背を向け
弛 ....
この世界には もう
ひとつも乾いた場所など無い と
そんな風に思うほど
360度 水浸しの溢れ出る水槽です。



窓を開けると 外は白い縦線で埋まる巨大な水鏡で
映った私の全身から  ....
男は冷蔵庫の中で傘を飼育している
夜の方が良く育つときいたので
朝になるとわくわくしながら傘に定規をあてるのだが
傘の長さが変わっていることはなく
その度にがっかりする
けれど男は知 ....
目を 吐き
草を 食べ
今生の 別れに今 抗うものがあれば


砂糖で できた林檎を
黒風呂敷で 包み
きびすを返そう

つかんだ者は やがて堕ち
つかまぬ者は 行ってさ ....
あなたは俺が生まれ育った場所を知らず
まるで外国のように感じている
だから楽園のような場所だと言うと
そんな所は無いと明るい声で言う
吹けば飛びそうな二人
町の手前で
恋をしている
お客 ....
無地のワンピースを着て
濃いめのカルピスを作った午後
汗の珠を額につくり
夏のにおいを、すこし思い出す

ベランダのコンクリートにできた
幼い模様に
ため息を吐いて
また高くなり始めた ....
ほほ、
雨上りの風が、
ほほをなぜてゆく
にわか雨の詩人は、
詩を吐いてまっかっか
死んじゃった

時は八月六日、
つるをのばしたつぼみの花は
夜空のかすみをうらめしげ
ええ、こと ....
壁の向こう側を
幻視する

真夜中の花火

身体は溶け出して
分解される

空中に映し出された
追憶の景色

クルクルと
鉄くずがまわると

小さく鳴り出す
不安定な ....
手をのばしかけてやめた
あの日の、すこし歪んだ夕方を
ねんどをこねるようにまるめて
食べた
ひといきで飲みこんだ

だってどうにか、前にすすまないといけない
わたしは何に悩んで
わたし ....
星空の下では今日も 
作業灯が明るい

掘り起こされる大地
積み上げられゆくコンクリート

道行く人は
まだか、と未来を吐き捨てる

けれども作業灯は
必ずの未来へと向かって
 ....
台所の隅でゴキブリが
腹を天に向けて死んでいる


死骸にざまあみろって言ってやったんだ
その死骸さえ嫌悪感を抱かせる


何もしていない彼らを殺し
何もしていない彼らを罵り
彼ら ....
揚子江の上流に見慣れない生き物がいて
現地の人は成人の儀式にそれを食べる
雨の降る夜はいつも
腹の中で卵が孵って
鼻の穴から糸が
するすると
巻き付いて
柔らかな
殻になる

 ....
時を刻むより他に
自分にはすべきことがあるんじゃないか
時計は思った
けれど何をしようにも
手も足も出るわけがない
ただ柱にぶらさがって
そこはそれ時計の悲しい性なのだろう
正確 ....
ほら、見てごらん
無数の蛍  
無数の蝶々

せっかく部屋を暗くしたのに

ほら、見てごらん
僕らはすっかり取り囲まれてる


吐息、ひとつ
(甘く、美味)

喘ぎ、ひと ....
いずれ姿を消す
だろう月光
光を失った者の記憶には残ら、ず
されどその引力は
植物の{ルビ枝葉=しよう}に
昆虫の触角に
魚の尾びれに
爬虫類の肺に
鳥の翼に
哺乳類の脳に
空の風 ....
かけおりた坂道のおわりには
ボーダー柄の、夏が
波のような顔をして
手をふっていた


それから、 と言ったあとの
あのひとの声が
ノイズにのまれて、ちらちらと
散ってしまったので
 ....
入院してる友達のために折ってるのと
その子はちょっと淋しそうに

鶴を折っていました

それを手伝おうと
わたしも折ったのですが
できあがった鶴の
羽を広げようとしたとき

その子 ....
私の獏は夢を食べない

捨て獏だったからかしら
母乳で育たなかったからかしら
理由はわからないのだけど
とにかく夢をさし出しても
ふんっと顔を背けてしまうから

長い長い格闘の結果
 ....
夏休み
街から人はいなくなった
窓という窓
木陰という木陰
ベンチというベンチ
そのいたるところから
少しの匂いと
体温を残して

静寂、というには
まだわずかばかりの音 ....
壊れかけたラジオが
なぜだか中国語の放送だけを受信する
意味はまるでわからないが
聞き覚えのある声だ

演説口調に冒されて
空間は異次元的に歪んでゆき
西壁はすっかり半透明の灰色の寒天に ....
寒冷に順応できず
やがて
命を奪われかけて
それゆえ
灼熱


灰と 火柱と 黒煙と


好き好んで
化身となったわけでは無いのに

ただ
寒さに耐えられず
ただ
冷た ....
今日いる場所も
明日いる場所も
ひとつの裏側
表側としか感じることが出来ない
かもしれない
ひとつの裏側
ここは寒いが
そこでは暑い
君はたしかな表側
同時に君は
ひとつの裏側
 ....
もともと
あてになる眼ではないけれど
それでも
夕陽の色彩くらいは
心得ている

川辺は 減速を始めている
木立は 瞑想を始めている
鳥達は 安息を始めている
あきらかに夕陽の時 ....
雲はかすかに薄い。満月はわずかに遠い。星
たちは月の輝く姿に目を細め身を寄せ合いな
がらその眩しさを囁く。塔の下ではいくつか
の波が押し寄せる。浸食は彼方の記憶。崩壊
は遥かな追憶。廻 ....
り りく 

蝶 の 足は
おもくなり

つかまっていた 草葉
そっと 目を 開ける

大きな杉の木 のてっぺん
見る間に越えて

生まれたすべてを かけて
のぼり ....
パラパラとガラスをたたく

大地から沸き上がるあつさと

ねつの滴りに

味サイが帽子を揺らす

アスファルトは硝煙のかおり

かさのはながさく

しばし 追憶にまどろむ
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