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  やさしいのか
  やさしくないのか
  雨の日のあなた


  約束の時間に
  遅れたわたしに
  何も言わないので
  カフェオレを頼んだきり
  わたしも黙って俯いてい ....
  胸の孤独に 居場所がなくなるとき
  懐かしい場所に帰りたくなる

  プラットホームの人混みに まぎれてしまえば
  夢を見ながらでも行けるはず

  時を止める力など ないけれど
 ....
書店で
なんとなしに手に取った本を
逆さまにして振ってみた

パズルのようなものが降るかと思ったのだけれど
うんともすんとも言わずに

  いや、空気はすんすん言っていた

なんだ
 ....
フルボリュームで
ヘッドホンを聞き
エコーバリバリ
エレキは叫ぶ

ピアノの音
癒してくれる
短調の物悲しさ
丁度良い周波数

明日も頑張るぞ
エンジン全開
順風満帆
苦しみ ....
今は 花屋さんにさえ あるけれど
わたしが子供の頃
すみれは

ひっそりと 一株
人知れず 咲いていました。

そんな すみれを 見つけると
いじめられた
ひとりぽっちの 帰り道も
 ....
生きている限り湧き上がってくる
もう駄目だと諦めかけた思いを
励ますかのように

五体のひとつひとつが
出口を求めようとさざめきだすのを知覚し

もうひとつの確かな意思
本能だとか呼ば ....
波打ち際で
砂に埋もれかけた
木製の小舟が
少年の夢にたたき起こされ
夕映えに浮かぶ

かもめが船頭になって
赤く染まった海を進んでいく
静まりかえった海面に敷かれた
赤い絨毯は
 ....
3つ葉のクローバーの様に思える

平凡な日々の中で

見落としていた4枚目の葉っぱを

見つける事が出来る人を

幸せな人って呼ぶんだよ
きみはパンダなんだから
ささたべて
ごろごろころがって
きままそのまま
パンダライフでいいんだよ

ってあなたはわたしに
いっつもいうけど

わたしホントは
パンダじゃないんだけど ....
相承とは

そんなからだの現象だった

結ぶ印の

そんなからだはなかにいた


しずかな鳥肌が立ち

筋肉ではないなにかが

からだを膨らませた


相承とは

 ....
真の賢者に
 恋の相談はしない

悩みとともに
 その恋からも 解き放たれてしまうから
幼い子の背をひらくと

痩せた背骨の喉奥を渉る
薄ぼんやりとした虹が、


そして

拾うように弾き上げると
それからは早かった。


飛んでいく静かな底の
透明な成長が、
 ....
「俺様がどれほど鮮やかな色で
みごと第一連を美しく染めたとしても
賛美の対象はあくまで作者だろが。
ふん、馬鹿らしくてやってられるかい!

こうして群青は捨て台詞をのこし
肩で風をきると、 ....
バランスが悪い
僕も悪い
君だって悪かった
時を例えるなら
物語とは
薔薇きちがいの
天秤の上で
気づくべき落差を
転げ落ちて
愛し合う意味の
足りない部分
とても遠いところで
 ....
精神だってそうなんだから

いのちも病にかかる

見えないものだって

病にかかるに決まっている


立川駅南側の商店街が

藍色のなかだった

硬質の光を放っている

 ....
眠れないからもう諦めることにして
空中に浮かんでいる音階を拾い集めては
群青の彼方へと放り投げている
あれがいつか星になればいいとおもう
幸福の置き場所は
海のにおいのするところ
大事な言葉が生まれたところ

風がとおりすぎて
小さな駅におりると
細い道の向こうがわ
手に持った荷物の
不安定な重さが
私であることの証
 ....
雪に閉ざされた街と
鉛に封じられた空が
防風林の向こうで
混じりあって、深藍に

   レールギャップを鉄輪が踏む音
   ポイントを焼く篝火の色

私は泊まる宿も決めず
真っ白な駅 ....
ぐっしょりと汗をかいて見醒めた日
私の中身は薄くなってた

シーツへと吸い込まれた
私の中身は
悪夢のもとから
遁れられたのが
よっぽど嬉しかったのか
いくら呼びかけても
もう戻って ....
切符を握った手が濡れてきたから
てのひらを上に向けて解放してやった
そうしたら切符は川になって
行き先はすっかり見えなくなっていた

川は
僕だけが感じる速度で流れ
薬指、から滝 ....
声を嗄らした鳥が
飛びたい、飛びたいと天を仰ぐ
煤けたビルの隙間を

あの泉は
光がはじけ
澄んで
湧きつづける
いつまでも
底には
泥もあったはずなのに

泥の中で
羽を引 ....
彼女は
僕の肩を
ベシッー!と
たたいた。

彼女は
僕の頭を
ベチッー!と
たたいた。

友だちが
楽しそー!と
言った。

友だちが
笑顔で
出て行った。

風 ....
お日様あれど

天気雨

例えば

林のよこの道


歩けば風の

舞いおちる


例えば

線路の上の空


雨の銀、線

斜のはしる


お日様あれ ....
声にならなかった
あらん限りの力を込めたはずなのに

例えばそれは
孤島に取り残されたおとこがひとり
遥か水平線に見え隠れする
船影を
蜃気楼だとはなから諦めているかのように

もし ....
白い俎板のうえに
水洗いした秋茄子をのせる
遣い慣れた指先でまず、
縦半分に切ると
紫に汚れた
君は構わず
それを乱切りした

その一部始終を
彼らは黙って
観ている
捨て猫に飼われている


私は 捨て猫に飼われている

飼われているから『捨て人』ではない

飼われ人なので
そのしるしに首輪をつけている
鈴もついてるので歩くたびに
リンリンと鳴 ....

口に酸素を含んでから
目を閉じて
美しい光景を思い浮かべる

すると酸素は舌の上で
ばらの味の二酸化炭素へ変わる

誰かがわたしに口づけしたときに
いい気持ちにれなるよう
 ....
二十歳の黒髪のような、
ブルックリン橋から、曙橋を繋ぐ空が、
未踏の朝焼けを浴びてから、
青く剥落して、雨は降ることを拒絶した。
とりどりの青さを、さらに青く波打って、
空は、傘を持たずに、 ....
野っ花


なんで花は

こんなに美しいのか

僕はいつも不思議に思う
ちょっとだけ
前向きな自分
ちょっとだけ
頑張ってる自分
そんな自分を
好きと思える自分

ちいさなしあわせ
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