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手にしたペンが
ここを握れと言っている
真っ白い紙が
これを書けと騒いでいる
すべての物が語りだす
物と心は離れない
物にも目や口や耳がある
その魂を描くとき
それは物語となる
物は ....
メールが来るだけで頬が緩んでしまったり、とか
声を聞くだけで胸がきゅうっと締め付けられたり、とか
顔を見ると心臓が飛び出してしまいそうになったり、とか
そんな甘酸っぱくココロを染めるよう ....
君は今どこにいるのか?
深い深い海の底で
さながら交換不可能な進化の果てにいるのか?
でも君は人気者だよ
今だってセカイジュウのケンキュウシャたちが
瞳を真っ赤に染めて
君を探してる
で ....
背中が守られている
抱擁でなく
囁きでなく
いつも見えない後ろが
守られて温かい
そんな気がしている
口元が護られている
くちづけでなく
言い付けでなく
冷たい言葉が洩れない ....
ことばなんて おぼえちゃいけないのかな
保育園の先生に さよなら を言いわすれた
ユキ姉ちゃんが
いつまでも半ベソをかいている
そのすぐ傍で たあくんが
「あびば ぷぅー」と叫びながら
そ ....
くちびるは人体で一番敏感である箇所
一番皮膚の薄い部分
誰よりも先にキスをした人は
それを知っていたのだろうか
やわらかくて あたたかくて やさしい
それはキスの相手が君だからか ....
少女を演じてるんです ホントは悪女なんです
男はみんなそうです これを好んでるんです
シイナリンゴを聞いてます 毎晩独りで聞いてます
だけど あの人の前では ドリカムばかり唄ってます ....
何の気なしにそいつを手に取ったのさ
わけなんてありゃしない
そこいらに落ちていたゴミを拾ったような
そんな気軽さ
赤茶色の表紙
そいつはずいぶんふてぶてしい面をしていやがる
まるで鏡に ....
セイタカアワダチソウは
他の植物の
成長を抑える物質を出し
いつの間にやら増えてゆく
あっという間に増えてゆく
あれ、なんか
どっかの誰かさんと似てません?
どっかの誰かさんは
....
コルトレーンのサックスが
僕のペンを踊らせて
水色のノートに
リズムを覚えた言葉達
派手に転んでは
また立ち上がる
詩がダンスなら
人生だってダンス
空白のページに
素敵な言 ....
砂浜のちいさなたそがれに汐風をうけて
ふとった子蜘蛛が舞い降り詩集の端の水をのむ
大気中のかなしみも八つにきざみ鋏角にはこび
せんべいのように噛みくだかれたこころ
わたしはお前に咀嚼されな ....
犬小屋で眠っていると、
きつねのこんに声を掛けられた。
「どうして、
そんなところで眠っているんだい?。」
ぼくは、
わるいこだから。
そう答える ....
露草色の空を
のどかな雲が流れて行く
いつか見た雲が白い蝶をかたどって
私の頭の上を
風に吹かれて飛んで行く
どこへ行くのと手を振ると
今度は白い子馬となって
東の空へ駆けて行った
....
私たちは互いを必要としながら
それぞれの場所で夕陽を眺め
明日の湿度を欲しがり飲み込む振りをする
あなたと私は
埋もれてしまったいつかの夏に
栞を置いたままかもしれない
そ ....
捨てられてた子猫
拾ってあげられなかった僕だから
ずぶ濡れの君を
ほってはおけなかったんだよ
優しいだなんて思わないでおくれよ
ただの罪滅ぼしだって
そう思ってくれてかま ....
たったひとつの言葉
大切な
なくしてはならない
いきている喜び
あなたのもとに届けたい
母の日のカーネーションのように
感謝も込めて
日中の眩い陽射しの下で
踊る蝶々も ....
裸足になって詩を読もう
どこか不思議と
目に入ってくる言葉が
そのまま受け入れられる
気持ちがこもった
言葉なのだから
肩を張らずに
裸足のままで
そのまま読めばいい
純粋な ....
窓際に並べた氷がとけていくのを眺めていた
わたし以外に誰もいない
広い部屋の中で
ひざをかかえるように小さくなって
息を潜めて
日が落ちて暗くなっていく
とけた雫か
わたしを伝って流 ....
現在形で突っ走ったので
少し汗をかいています。
未来形で懐疑的なので
いささか今日が懐かしいです。
過去形で憤慨しているので
どうにも目的を見失います。
あまりに精巧に構築され ....
2007/05/22
小笠原高気圧に追われて
やむなく上京したと
台風の息子たちが
小遣いをせびるので
梅雨のおかあさんに
怒られるから
内緒だぜと蝦蟇口から
....
地下鉄はきらいだ
そとは暗い
こんな朝に
あいさつを
したいのに
*
このうすいからだの皮膚に
染みだしたような
うわずみのような感情が潤んで
それを掬おう ....
生まれて
しまった後ならば、
二度と
生まれて
いけないだろうかと、
ひとりごとだけ
生んでみる
いくつになっても
守られるから、
さびしさは
無くならない
幼なじみ ....
春の水を取り
渓流に足を浸すと
新緑の夏は
そっと 足元を潤す
木漏れ日の交響を 響かせて
汗 拭く 額は生きつづけた
未だ来ぬ 時を
遡行する 魚にたとえ
君は詩を 夢 ....
流行のウイルスは たちが悪いみたい
君のことだから 不用心なんだろう
満月だからといって 明るいからといって
女がひとり夜道を 歩いちゃ行けないよ
....
蜘蛛の巣──繊細に張りめぐらせたレースの装飾
怖いもの知らずの蝶が飛び込んで
ゆれる ゆれる
蝶の羽も絡まる糸も光っている
ゆるやかな午後の陽に なお光を保ち
「死」んでしまったものが
ひとつもない
「死」においやられるものは
ごまんとある
「生」きているものが
ひとつもない
....
路地裏のちび猫は
突入する赤に
踏み出す肢を迷わせる
産み落とされた残り香
ずぶ濡れのステップ
行きずりのハーモニカ犬は
油のしみ込んだ木柱に
鼻先をふがふが押しあてる
かつて高く ....
境界のあやふやな 一日は
爪の間から 鱗が生えてしまう
空をつかむ その指には
退行の刻印のニキビ跡
夕暮を透かして 茜色
山の稜線が
青く 遠のく
空に雲は置か ....
きみどりの薄皮をひらいて
瑞々しい透明を露出させる
縦に切っても
横に切っても
どこまでもたまねぎだから
うれしくて
うれしくて
なきそうで
やわらかい切り口に
崩れそうになる
か ....
どちらを向いても なぜかいつも向かい風
「宿命なのさ」と笑う君
つないだ手さえ「宿命なのさ」と笑う君
向かい風にも ふたりで行こうね
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