少しずつ目蓋を上げよう。唇の形に広がっていく眼界には自室の玄関から去ろうとする女、幾人ものイメージが重なり識別することができない。色濃いものから抽出してみるか。生島先輩は再び目を閉じた。まず一人目を ....  
掌は舟
温かくて何も運べない
体液を体中に満たして
今日も生きているみたいだ
塞ぎようのない穴から
時々漏らしながら

階段に座って
ラブソングを歌ったり
駅前の露店で
プラ ....


昔、ひとりの修行僧がいた。彼は、心が完全に澄み、あらゆる悩みや欲望が彼を通過していき、何物にも動かされない境地を目指した。物事に動かされないようにと、彼はどんどん重くなっていった。瞑想や思索 ....
パレードの喧騒にわかに散ってゆくここから遠いこころを想う



思い出す前のぼくらは幸福で雨雲は必ずしも雨を孕んでいるのだろうか



マタニティブルーできみは海の中ほんと ....
固く握りしめた
拳をぶつけあうような
ギラギラした発芽だった
街をなぎ倒すような
雨が降り続く深夜
裏口からもぐりこんだ
潰れた小さなブティックのフィッティング・ルームで
言 ....

消費者金融の無人審査機の前で
背筋をこころもち曲げている女
どういう顔をしていたらいいか
分からないのだろう
真っ二つに分けた前髪の間からは
かきまぜたコーヒーに入れたミルク
みたい ....
秋は
もともとが 美しいものだから
心を奪われないように歩く

木琴の連打がやわらかな足跡をつけていくとしても

スリットのむこう
無言のまま去っていった あの
影のない犬の
ように
  1

姉は、猿が、親を殺している夢を、夜ごと見ては、
目覚める度に、硝子が砕けるように、怯えていた。
地味な窓から、手を伸ばすと、
裏庭の空き地越しに見える、マッチ箱の家たちは、 ....
遠い空の胸のうちには
一本の糸杉が、しん と立っている。
青く晴れた(夜ふけの雨後の)
明けすぎた真ひるの素顔。
さやかに風光りほほえみ
零しながら宙のゆびさす。
糸杉は、無風にないで ....
水打たれ倒れる薪 街の火がゆらゆら

反射面多彩に円をえがき地階の水

風に旗食蛾に耽る部下隠す

意中の目からビーム・矢印・分母より増え

鮮やかなトラック走査線で歪む

薪割り ....
 
会議室を人が歩く
金属や樹脂などでできた
冷水機のようなものがあって
その向こうに浜松町が広がっている
どこまで行っても僕には体しかないのに
ポケットに突っ込んだはずの
手だけが見つ ....
狐面のステフ飽きたら去る
頬に入る赤い線のうわべ美しく肌光り
つまりそれは僕に入るのだが
僕は枝分かれした通過点
アスファルトのいち疣

四方形の回転は終わりました
沙羅双樹に包まれて
 ....
今夜も
アオガエルのなき声のする田園を眠る
庭で白い芍薬が
ほのかに浮き上がる
視線の静かなまなざしで
満天のせせらぎの
おもい出のひかり
帰れない真夜中のいっそう暗闇をます
アオガエ ....
水のそばに
水の羽があり
四つの水を映している

ひとつだけ蒼い波が来る
ふいにひろがり すぐに消え
ふたたびふたたびをくりかえす

窓に打ち寄せ
つもる影
屋根のつら ....
ひねったら水が出ます ひかっています で? 好き、に理由なんてないよ


踊り場の全員うえを向いている スカートの嬌声がひびく、午後


うす目あけて口をあけてぎゅっとにぎってゴムふうせん ....

一か月が
余りに速く過ぎ去るような気がして
どうしようもない
服を着替える間もなく
あっという間に秋である
外ではまるで軍隊のように
流行なのか
同じ型の服を身につけた女子が
勇 ....
もう、ずっと、葬列のターンだ
山裾から行儀よく
山頂までの道のりを進む
お前たちの名前は
アダルベロ
だったり
クロデガンク
だったり
ジグラム
だったりする
高貴な熊や
有名な ....
右まわりに触れられ
そこにいると知る
笛の音の房
こぼれる鈴の輪


細い光がたなびき
夜を分けるのではなく
既に分かれて在る夜を
ふいに消えた家々を描く

 ....
世界中にできた闇の部分がすごいスピードでずれて
くちぶえが遠ざかり
輪郭線が地平線とまじわりながらかたちをかえて
あたしたちはまだうっすらと汗をかいて
雲の裏側にのびていく光の筋が不意 ....
 しまいには獅子舞と化し騒ぎに騒ぎ
 ローズマリーの壁へ荒ぶりを叩きつける
 荒ぶりの後「を」省略するかしまいか
 妹と小一時間協議するなどして日が昇る

 入らない入っていない
 砂漠の ....
遠い管楽器の呼吸が
校庭にゆき渡る
共鳴して震える放課後の
まぶたが橙色にうつ伏せて
伸びてゆく睫の影が、滲む


正しく失われたチャイムの
赤い、低い、余韻
その、金属の香 ....

掃除をすると
部屋の四隅から
無限に白い米粒が出てくる
表面は乾いて
埃にまみれて
まるで
昔わたしが産み落として
そのまま捨てた卵のようだ


遠くに見えるラブ・ホテルの ....
 島のことを思いながら
 島を眺めている
 島にはいない
 鳥は風穴も開けず飛んでいく

 船尻は尾ひれをつけてゆく
 吃逆の止まらぬ胸辺り
 持ち上がっては黙る気の迷い ....
星が見えない
猫が通り過ぎない
草木が繁らない
子どもが声を出さない
眠らない鉛筆
眠りたがる目薬
窮屈な列車と飛行機は加速する当てがない
止まった世界へようこそ ....
紙に書く言葉を選び
心の住む所を明かす
季節の中 暦に書ききれない
熱と冷気がある

何度も歩いた生家前の道
しだいにその回数が追いつく
婚家前の道

道すがら挨拶をかわした人々
 ....
 
なぜふたりでねむる
よるはあったかいの

黄金色のお月さまが
くちどけするように
やわらかく滲んでは
ひとつ、星が流れた


ああ白い
横たわるわたしの
鳩尾のしたに耳をよ ....
懐かしい雨の音がする、俺はとっくに不具合で、伸ばした指先は必ず何処にも触れられないでいるというていたらく、唾液を呑み込むことにすら痛みが走る、故障だ、故障だ、すべて .... 機を織る音は雨の音に似ている
人の心臓が脈打つ期待と怯えが
まったき雫になって林の上に降り注ぐ
神が御座においでになる
{引用=
  長い雨季がやってきた

月の半分は水がついてしまう ....
 午前一時 机に肘ついて 見えない国道を眺める
 建物の奥には陰険がある そして街中にもそれはあった
 ブランコをこいでるときに 
 どこか知らないとこへ飛んでしまうおそれなんか抱かなか ....
とおくの海岸線を見つめた
とおくの海岸線には
数え切れないほどのひかりがあって
まるで
とおい海の上に
もうひとつの
ひかりの海があるみたいで
きみは
そのまんなかで
あ ....
ピクルスさんのおすすめリスト(1095)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
_子供ではないのだから- 鈴木自由詩108-10-29
空の匂い- たもつ自由詩4308-10-29
神話- 葉leaf自由詩1208-10-26
今日ここから出て行ったものがやがてデッドエンドの果てからふた ...- 本木はじ ...短歌12+08-10-24
火傷- ホロウ・ ...自由詩4*08-10-24
すかんぴん(大変貧しく、無一文で身に何もないさま)- 吉田ぐん ...自由詩30+08-10-9
影のない犬- 角田寿星自由詩808-10-7
黄色の憧憬−デッサン- 前田ふむ ...自由詩19*08-10-7
稲穂- こしごえ自由詩5*08-10-6
薪薪曜- 黒川排除 ...川柳208-10-4
- たもつ自由詩33+08-10-3
_ステフ- 鈴木自由詩208-10-2
アオガエル- こしごえ自由詩9*08-10-1
時と音- 木立 悟自由詩708-9-30
蛇口- 石畑由紀 ...短歌16*08-9-30
せかいをいきる- 吉田ぐん ...自由詩5508-9-29
グランツ- 嘉村奈緒自由詩708-9-24
器と器- 木立 悟自由詩408-9-24
- モリマサ ...自由詩3308-9-22
_吹聴- 鈴木自由詩608-9-20
下校時間- A道化自由詩1108-9-16
家事- 吉田ぐん ...自由詩1908-9-12
おびれ(草稿)- れつら自由詩208-9-11
無日- ヨルノテ ...自由詩5*08-9-10
大地がみている- 砂木自由詩29*08-9-7
アクアマリン- フユキヱ ...自由詩5*08-9-7
雨にさらされる光のない世界だけが- ホロウ・ ...自由詩3*08-9-6
長い雨季- リーフレ ...自由詩708-9-4
永遠ブランコ- カンチェ ...自由詩908-9-2
ひかりの海- ホロウ・ ...自由詩3*08-8-31

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