石なげて しばししてより音のする
ダムの高さに心おののく

静かなる師走のダムに労務者の
網引ける声 四方にこだます

つぶらなる茨の赤き実の陰に
するどきトゲが短陽に透く

 ....
(天井にはたくさんの実がなって、今にも落ちるような気がする)

犬と抱合しましたの。 痩せた短毛の犬です。
私は十六日前に生まれた女。唖です。
この骨の肉は、絡み合ってようよう見えそう ....
雨やみて雲雀の飛んだ水たまり

何を見て驚いたのか鯉のぼり

紫陽花がたくさんのいろ人みたい

桃をむく香りと北へ寝台車

空目指し向日葵たちが背比べ

アリが来てわたしの足を ....
井戸掘の職人たちは泥つけし
顔そのままにしばし仮眠す

階下にて九州土産の風鈴が
台風予報の風に音たつ

名月に逢ふひとときを足らひゐて
たゆたいがちに春間近かなり

【昭和四十八年 ....
手に届く場所にあること。化石は青かった。この皿に、ワタシハ上ト下ヲカキワケテ。
新しい宗教が生まれる度、医学書に項目を加える夢。それでも、裂傷は点を結んで、形をととのえる。ノゾク。沓と傘を。
狩り ....
里芋の葉に露玉を宿らせて
風も光りて土用に入る日

身体ごとゆるるが如き北山の
杉のみどりが視野に広がる

微熱ある夜を目覚むれば
枕辺に誰がつけくれしか蚊取香匂ふ

熱湯の ....
あやめ草あやに恋しき君なれば
  夢も染むらむ花むらさきは



名にし負はば紫野辺の夕やみや
  見せようつつに千代の面影



ときじくの花にはあらで露の花
  ただ ....
I miss you 呟いてみる午後三時アールグレイに満たされてゆく


木苺のタルトをさくりとかじるときグレーテルの声が聴こえた


空白の手帳に記す明日もなくガトーショコラはほ ....
うちわをあおぐ
私は
縁側で
入道雲を{ルビ見遣=みや}る

庭では生垣が
真っ青な息をしている
深い静けさに みちて
遠くで ひもす鳥が ないている

山の ふもとを流れ ....
症状が 表情が 賞状が 処女が
ギギギギギ銀行からカネをおろせ パンツおろせ! そのまま座れ!
そのまま吸われろ オレは銀行強盗だ 手を挙げろ!
母の日はカーネーションだ 忘れるな 用意しろ!  ....
 
バスに乗る
名前だけが剥がれていく
何かの間違い、というより
むしろ略式でも正しいことであるかのように
良かった、わたしたちは
バスに乗られることがなくて

席に座り
バスの一番 ....
繰り返される福祉が、
新しく歓迎の声を受けて――、
福祉は、いくつもの、与えられた菓子を食べる。
なかには、埃を被っている、
国民精神総動員要綱も、
    遠くに、ちらついて揺れている。
 ....
暑い夏だと、手がひとりでに動く。
発せられなかった声も、潮風の涙腺にとけて。

装飾のための深い窪みまで、
透き間なく、枯れている、古い桐箱に眠るフィルムを、
年代物の映写機に備え付ける。
 ....
薔薇食む墓場のランタンと
タルトタタンを焼く釜戸
薫る薪の火泣く音色
ネイビー展がる夜のビロード
溢れる熱の鳴咽の煤で
すっかり黒く、染まる空飾る
六花の星座は地下の骨
墓場に響く言い得 ....
ストーブの上に煮つまる匂いして
今宵は独り本に寄りゐる

支えゐる心重しと思ふ午後
陽ざしがいつか雪となりゐし

いやされし言葉を胸にあたためて
ショールに頬を埋めて帰る

 ....
通り雨を
息継ぎしながら
ぼくたちは急いでいた

離れることを
急いでいた


 手のなかの熱は
 次から次へ
 一秒後

 つよくなろう、と
 {ルビ翳=かげ}りをひそ ....
晧々、繋ぐ道

くしゃりくしゃなり
草いきれに隠れて耳を当て、浅緑を喰む羊の腹にもたれかかる。いつしか眠りに落ちた(べったりと頬から鼻腔、この匂いを識っている


立ち上がり、方々の出口へ ....
あ から を までの過程をたどる
日本語というのは あ から を までの流れのなかで
ことばが組みあわされ、いろんなおもいを伝えるわけで
さいごに ん で輪を閉じる
ん。っていったらしりとりで ....
碧に緑で描かれた円が
四羽の鳥となって飛びたつ
地には器と光が残され
祝いの言葉に響きつづける


泣いてはめざめ
泣いてはめざめ
水をほしがる子の手を握り
しずくの径に消え ....
すべてのロールプレイングゲームをクリアした後に

俺たちは眠い目をこすらないまま

ラストオナニーをはじめる

すべてのロールプレイングゲームのエンデイング

すべてのロールプレイング ....
夜が、二足歩行で
足早に通り過ぎていく音を
淡い錯覚にくるまりながら、聴いていた
抱きしめあう行為は どこか
呼吸と似ていて、ときどき
わたしたちは声を漏らす
ともすれば ....
黒になる。全てが黒になって沈んでゆく。ぼくらは恐怖ではなく、惑星に同化する幸福感に包まれる。呼吸が面倒に感じた。夜光虫というものを体感したのもこのときがはじめてだった。赤潮だとも知らずに、はしゃい .... あなたを睨む

眼が痛む


守り隠すように
あなたは柔らかな腹部を下にして
その為に息苦しい眠りの上表には
あなたの背が波打っている
私は扇風機を止める
 ....
梅雨空の比叡の山に雲低く
梔子匂ふ川風吹きて

何やらむいぶかりて見し窓の外
夜に入りて降る雨しぶきなり

もの忘れひどき此の頃 娘が笑い
用多き故と言いわけをする
 
 
水底に
動物園はあった
かつての
檻や
岩山を
そのままにして
いくつかの動物の名は
まだ読めたけれど
散り散りの記憶のように
意味を残してなかった
あなたは月に一度の ....
七分袖のボーダーTシャツに
リネンの濃紺ジャケットを羽織り
干して乾いたチノーズを穿いているけど
やっぱりチノパンは塩水に濡れて
少しダボダボになったやつが好きだナ
 (不自然に重いし、
 ....
ひらひらと蝶と魚影に紙吹雪

風の支配 村人たちは生き戦

外した眼鏡を水田に蛙現れる

花多く残像にして這う稲妻

錆びるまで湖にすそひたす喪主

ミカの怒り裏返しに口だけ見え
 ....
散歩より帰りし犬の足を拭く
吾が顔のぞき されるがままに

くちなしの{ルビ香=かおり}ただよう くりやべに
千日紅の赤が寄り添う
消えるまで見てあげたこと無いね虹


泣いてるとこれでもか的日本晴れ


茶柱が人相を見て思案する
「腹が減っては女も犯せん」

三度三度の食事が何よりも大切な
実験艦シュレスヴィヒ・ホルスタインではこの度
今次航海の慢性的(万世にあらず)生鮮食料品の不足を解消するため
クランケ艦長のポ ....
ピクルスさんのおすすめリスト(1095)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
35P_「短歌2」より- むさこ短歌7*07-7-16
トロツキーの口唇、眩惑。- ミゼット自由詩8*07-7-16
雑季- たもつ俳句13*07-7-16
34P_「短歌2」より- むさこ短歌5*07-7-15
偏在や躁暴- クマクマ自由詩607-7-15
33P_「短歌2」より- むさこ短歌12*07-7-14
あやめも知らぬ恋の道_____■古語の宴参加作品■- Rin K短歌16*07-7-14
おやつの時間- 落合朱美短歌1507-7-13
終日_(ひねもす)- こしごえ自由詩21*07-7-13
小常識_賞状式_症状- 狩心自由詩4*07-7-13
ひきつづき- たもつ自由詩1807-7-12
幸福のデッサン——デッサン- 前田ふむ ...自由詩31*07-7-12
包まれる夏の風景___デッサン- 前田ふむ ...自由詩33*07-7-11
暗い日曜日- 六崎杏介自由詩8*07-7-11
31P_「短歌2」より- むさこ短歌9*07-7-11
飴細工- 千波 一 ...自由詩21*07-7-11
放牧- 日向夕美自由詩11*07-7-11
あをの過程- mizu K未詩・独白21+*07-7-10
つばさいす- 木立 悟自由詩1407-7-10
ラストオナニー- 馬野ミキ自由詩2807-7-10
リスク、- 望月 ゆ ...自由詩61*07-7-9
Soundness- はらだま ...自由詩10*07-7-9
初夏の人- A道化自由詩18+07-7-9
29P_「短歌2」より- むさこ短歌5*07-7-9
動物園- たもつ自由詩2907-7-9
デッキシューズと貝殻- atsuchan69自由詩11*07-7-9
ファブリカハウ- 黒川排除 ...川柳907-7-8
平成十九年七月六日_十八時八分- むさこ短歌9*07-7-8
こっそり川柳- しみまん川柳7*07-7-7
冷凍船を拿捕する実験艦シュレスヴィヒ・ホルスタイン- 大村 浩 ...自由詩4*07-7-7

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