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賞味期限を過ぎた牛肉の
醤油と塩胡椒を縫って口を浸す腐臭や
運動会のリレーにて根拠もなく裸足で走る際に砂利を踏んだ痛みに
蔑み、は似ていて
じきに平気な顔を作れるようになるものだけれ ....
少しずつ目蓋を上げよう。唇の形に広がっていく眼界には自室の玄関から去ろうとする女、幾人ものイメージが重なり識別することができない。色濃いものから抽出してみるか。生島先輩は再び目を閉じた。まず一人目を ....
狐面のステフ飽きたら去る
頬に入る赤い線のうわべ美しく肌光り
つまりそれは僕に入るのだが
僕は枝分かれした通過点
アスファルトのいち疣
四方形の回転は終わりました
沙羅双樹に包まれて
....
しまいには獅子舞と化し騒ぎに騒ぎ
ローズマリーの壁へ荒ぶりを叩きつける
荒ぶりの後「を」省略するかしまいか
妹と小一時間協議するなどして日が昇る
入らない入っていない
砂漠の ....
氷河の夜に
人、鳴動
かつて吼えたのは犬であった
白雲に閉ざされた暗色の宙を透けていく声は長い頭ゆえに耳の有無を己が羽で確かめることができない自称フクロウの考究に一抹の進歩をも ....
梅干めく祖母のたなそこに御影犬が四千歳
私は自分の頭を内側から食い破りつつある
きゃつ
きゃつ
噛み音に苛まれるのは忍ぶとしても
犬が耳から侵入しては心配
と祖母の詰めてくれた梅の汁が染み ....
とびちるこぼれるあふれる
亀裂は断続する黒点
から
ただれて
淡々と
丸いメロディ
一、二、四
円周率の汀に咲けなかった蘭の
つぼみ
ひらくたおやかな
ゆびへ
黄色い
なみだぼ ....
こんな湿気の多い午前は
ツタヤの試聴コーナーで過ごす
ひりつく音楽をちゃんとケースに戻せないんですかって
曇り空の上で太陽は御産しているんだ、父親は三百億光年先の、要は宇宙の向こう側 ....
壁
のひび割れを
空がうつろっていく
に
なりたい
あるいは気付いてほしい
私の複眼で
午前二時に佇む九段の鳥居は灯りを探し
一千里先で蛇が
黒光りをもって抜け殻 ....
或る三等星を巡る地球は虹に袂があって
生む糞は三千年の香り
春秋の朝日に照り映え雨露に溶けず佇んでいる
五寸ほどの身
中心を分かつひび
通る風が言葉を作る
一頭の牝牛が ....
一、チアノーゼ
国道の縁石にふたり座りこんでいたとき、アイビーは「美しいものが好き」って歌った。濡れた唇の築く透き通った楼閣をベンツが突き抜けて、砂塵に僕ら咳き込み涙目になりながら排気ガス ....
昨晩は錯乱して
まるで
密林で春をひさぐ女たちの
割烹着に付いたシミのよう
木漏れ日の夜を塞ぐバスクが
なりをひそめ
フランス調の哀歌が響くとき
騾馬に詩歌をつまび ....